45話 犯人の確保と王女からの結婚前提の告白
あれから数分が経った頃、アイツ以外の人達が到着した。
「では皆さん。先程説明した通りにお願いします。これは、アイツが犯人であるのを自ら自白させるのと、他の差別派が勘付かないようにするためです。アイツの余罪の中には人身売買も確認されていて、捕まったままの者も確認しています。作戦が失敗した場合、捕らわれている者達の命のが危なくなるので失敗しないようにしてください」
「わかりました」
「了解」
それからしばらくすると、本命のやつが現れた。
これで役者は全員揃ったな。
「いったい何のようだ……へ、陛下、お身体はもう何ともないのですか!?」
まあ、殺したと思っていた相手が目の前で普通に立っていたら驚くのはわからなくもないな。
「ああ、ここにいる宮廷級医師免許持ちであり我が国唯一の神級魔術師である春人殿が助けてくれたのだ。いや、危ないところだった」
ベルンガ王がそう言った瞬間、ブランは凄い形相で睨みつけてくる。
その様子を見て心の中で思わず大きいため息を吐く。もう少しわかりにくくした方が良いのにというか、分かりやすすぎて逆に困るな。
「ところで、私達を集めて何をするのですか?」
ブランに勘付かれないようにこれから何をするのかをレベッカ名誉子爵がさりげなく尋ねてくる。
「これからある実験をおこないます。とりあえず何も言わずに会食時の席に座ってください」
「そもそもなぜお前なんぞに指図されんとならんのだ!」
「ブラン侯爵、忘れているようだから教えてやる。神級魔術師は国王と同等の権力を持っている。つまりお前よりも立場が上だということだ。わかったら座れ」
チッという舌打ちが聞こえて来たがここはあえて無視する。
「さて、皆さんに座ってもらったのは事件当時の状態を再現するためです。そして、ここに事件に使われたのとは別の高級ワインです」
そう言ってテーブルにワインを置く。
そして、全員に国王専用のワイングラスの中にワインを注ぐ。
「とりあえず皆さん一旦注いだワインを一口飲んでください」
その瞬間、同時にワインを飲む……ただ一人を除いて。
「なぜ飲まないのですか?ブラン侯爵」
「飲めないなら俺が飲ませてやろう」
「や、やめろ!」
「はい、それまで!余計なことはしないでもらえる?レオナルド将軍」
私は、手を叩いてそう言う。
勝手にシナリオにないことをしないでもらいたい。
「飲めない理由教えてくれませんかねぇ、ブラン侯爵?」
「そ、それはだな……」
「なら、代わりに私が答えよう。お前が飲めなかった理由は、あらかじめこの国王専用のワイングラスすべてに毒を塗っていることを知っていたとうか、実行犯に指示を出したからだろ?実行役は大方、給仕か毒味役といったところか?」
すると、捜査に行っていた部下達が機械戦闘着の転移機能で戻って来た。
「失礼します。報告に参りました」
「やっとか。して、どうだった?」
「実行犯は料理人と給仕そして毒味役の計四人でした。そして、指示を出した真犯人も間違いありませんでした」
「ブラン侯爵、お前がおこなっていた獣人差別による国王暗殺未遂だけでなく、他の余罪の証拠もこんなにもあるぞ。人身売買、誘拐教唆、横領、脱税などなど…よくもまあ、こんなにもやったもんだな。だが、これだけの証拠があるんだ。諦めて国に捕まったらどうだ?あ、それと、お前の屋敷の地下牢に捕らわれていた奴隷はお前がここに来たタイミングで私の部下が保護した。人身売買や監禁についての情報はその人達が証言するだろう」
そう言って、部下から受け取って書類にまとめ上げたのをタンタンと二回ほど叩いた後にテーブルに書類の束を置く。
すると、ブランは勢いよく椅子から立ったと思ったら入り口方向へと逃げる。
「逃がすかよ!」
懐からベレッタ 90-Twoを取り出しヤツの左足に撃つ。
そして「ギャー!!」という醜い声を出しながら撃たれたところを傷を押さえながら床をのた打ち回っていたが、数秒すると懐から短剣を取り出して、今度はこっちに襲いかかって来たが、短剣を刺しに来て腕を伸ばした瞬間に一本背負で床に叩きつけた。
おっと、ここから先は子どもは見ない方が良いな。
「これから先はエリアリア王女は見ない方が良いです。とても子どもに見せられるものではありませんから」
そう言って、なんとなくこれから起こることを察した国王がエリアリア王女の両目を手で覆ったのを確認してから、動けなくなっているところでやつの首を直接握って上に持ち上げて問いを投げかける。
「お前が差別派で獣人が反対というだけならば好きに言えばいい。だがな、自分達の主張を相手に無理矢理押し付けたり関係の無いやつにまで被害を出すどころか、剰え殺そうというのは言語道断!決して許されることではない!!」
「だ、だま、れ……!」
やつを上に投げて落ちてくる瞬間に後ろ回し蹴りでやつを入り口とは反対方向の壁へと、蹴り飛ばしてやつが壁にぶつかると鼻と口から血が出ていた。耐久値だけは無駄に高いなコイツ。
やつの右肩に一回撃って、床に仰向けにした状態で闇属性魔法の一つ【シャドウバインド】で固定してから私は話を続ける。
「何逆らおうとしてるの?それに黙れ?それはどっちのセリフだ!あぁ!テメェみたいなやつに人の言葉を喋る資格なんてねぇんだよ!!」
そう言ってさらに両足の膝関節を撃ち抜く。
すると、さっきよりも大きな悲鳴を出す。
「さっきからうるせえんだよ!何さっきからこの程度で叫び声を上げてやがるんだ?どいつもコイツも我欲に溺れた者ほど叫び声は醜いものだと言うが、どうやら本当だったようだな」
「春人殿、いくらなんでもそれ以外は、流石にやり過ぎではないか?」
「外野は黙っててもらえますか?」
「は、はい」
殺気を放ちながら言うと、国王や周りの人達は放たれていた殺気に負けたようでそれ以上何も言うことは無かった。
その後にも何発か撃っておいた。もちろん急所はすべて外しながら撃ったから一応は生きている。
「お前ら、コイツを牢屋番号1033に収容し、やつの担当はそうだな……アスラルだ」
「コイツかなり重症ですがどうしますか?」
「収容してから回復魔法で回復させてろ。弾丸はすべて貫通しているから摘出の手間は省けるだろ?それと、やつが精神を崩壊しないように薬は投与しておけよ。やっている死ぬまでは精神を崩壊させないようにしなければやる意味がないからな」
「わかっています」
「ならば良い。後のことは頼んだぞ」
「ハッ」
「春人殿。すまないがその者の身柄は我が国で預からせてくれないか?」
「ベルンガ王。貴方は私が何者かぐらい今ので大体察しているのでしょう?いくら国王だからといっても、私の仕事の邪魔をするのであれば……容赦はしませんよ」
すると、レオナルド伯爵とアルフレッド伯爵それにレベッカ名誉子爵が国王を護るように固まりさらに国王直属の諜報部隊であるカメレオンの構成員が何人か降りて来て、ナイフを構える。
「お前ら程度が私に敵うとでも思っているのか?カメレオンや国王ならばダークロードと言えばわかるだろ?」
「う、嘘だろ……!?それが本当なら敵う訳がない……」
「わかったらそこで素直に大人しくしていろ」
ダークロードの名を知っている者ならばこの反応も当然のものだな。
「なぜダークロードがこのようなところに?」
「話は別室で王家の方々だけとお願いしたい。もちろん襲ったりはしないから安心してくれ」
「今の状態でそれが信じられるとでも?」
「確かにその意見はもっともだ。だが、君たちの主人達には手を出さないことをここに約束する」
「良かろう」
「宜しいのですか!?」
「ここまで言っているんだ。それに嘘もついている様子はないしな」
「ですが……」
「逆に聞くが、お前たちは春人殿に敵うのか?」
「そ、それは……」
「では、応接室に行こう」
「わかりました。行きましょう陛下」
応接室に移動してさっきの話を続ける。
「陛下はお気づきかも知れませんが、私はスターズの五星使徒の一柱であり、二つ名はダークロードです。そして私のコードネームはシリウスです。そう言ってもわからないと思うのでもう少し説明すると……とその前に、今回の事件についてまず謝罪をさせてください」
「なぜ春人殿が謝られるのですか?」
「この暗殺事件については前々から情報を入手していました。さらにブランが他にも他国に干渉という名の他国で拉致された人を奴隷として購入し、自身の屋敷の地下牢に入れていて、それに他の罪の証拠も集めたりで護衛は部下を数名配備すれば良いと安易に考えた結果、毒盛りを防ぐことができず大変申し訳ありませんでした」
「春人さんが謝る必要はありません。本来このようなことは外部ではなく内部で情報を掴まなければならないのですから気にする必要はありません」
「エレン王妃、ありがとうございます」
「春人殿、話は変わるが、今回の事件解決に何か送りたいのだが……」
「べつにそういったのは気にしないでください。私は私の仕事をしたまでのことですし、それに防ぐことが出来なかったのに受け取ることなんてできませんよ」
「そうか、残念だ」
「あ、そういえば大公爵、この間の印刷が終わりましたのでお渡しします」
「おお、そうか」
【ストレージ】から取り出した例の角2茶封筒を大公爵に手渡した。
「それはなんなんだ?」
「以前兄上にも説明した物です」
大公爵は封筒から何枚かの写真を取り出し、目の前のテーブルの上に広げる。
「まさか旧王城の地下に遺跡があるとは……」
「はい、驚きです。お父様」
「これについて何かお心当たりはありませんか?例えば、何かの言い伝えだったり本で見たりしたことはありませんか?」
「申し訳ないが、旧王城に関しての記述は一切残ってはいないんだ」
「そうですか……。まあ、スターズに残っていない記述が国に残っているとは思えませんから気にしないでください」
「スターズにも残っていないのか?」
「ええ」
残っていればこんなに苦労することなんてないんだがな。
「とりあえず、話すことや渡す物は渡したので、私はこれで失礼しますね」
それにしてもさっきから隣に座っているエリアリア王女の視線がやけに気になるんだが……。
「あの、お父様!」
「どうかしたのか?エリア」
「私、この春人様と結婚したいです!!」
「はい!?」
え?どういうこと?告白?しかもベルンガ王国第一王女であるエリアリア王女から!?
「理由を聞かせてもらっても良いか?」
「はい。春人様は、お父様を救って下さったときにまるで当たり前かのように助けていました。そして、そこからは邪念の一欠片もかじられないどころか、後悔の気持ちが強いように感じました。そういったところが素敵だと思ったからです」
「そうか、エリアがそこまで言うのであれば反対はしない」
「さっきからエリアリア王女はまるで私の感情を感じ取れたり魂の性質を読み取れているように感じられるのですが……」
そう質問するとエレン王妃が答えた。
「エリアは『慧眼』という物事の本質を見抜くことができる魔眼を持っていのですよ」
「なるほど、慧眼の持ち主ならば納得がいきますね。それにしてもエリアリア王女も魔眼の持ち主だったのですね」
「ホォー、エリアもということは春人殿も魔眼を持っているのかね?」
「ええ、持ってますよ」
「どういった魔眼を持っているんだい?」
「私が持っている魔眼は、『鑑定眼』、『透視眼』、『歪曲眼』、『隠者眼』、『天空眼』、『真偽眼』の六つですね。まず鑑定眼は、相手の情報や物の価値などを見分ける魔眼で、透視眼はその名の通り、壁の向こう側など、遮られた場所や物が透けて見えるようになる魔眼です。次に歪曲眼は、左右の回転軸を視界内で作り、物を捻じ曲げる魔眼で、隠者眼は、発動者を視認した瞬間に、目撃者は発動者を意識外に持って行かれて「居ない」ものと認識する魔眼で、天空眼は、自分を中心に360度を上空から見ることができる魔眼で、真偽眼は、相手の真偽を見抜く魔眼ですね」
「凄い数の魔眼と能力だな……」
「ただでさえ魔眼持ちは少ないというのに魔眼を六つも持っているなんて…それに確か春人殿は全属性持ちで魔力量も人智を超えた量を持っているときた……本当にスターズの最高幹部の中でも特に警戒されるだけのことがある訳だな」
「話を戻すが、エリア。春人殿を本当に好きならば反対はしない。だがもし国のことを考えているのであれば受け入れることは出来ない」
「私は、春人様のことを異性として……一人の殿方として好きです」
「それならば、反対はせん」
「ちょっと待ってください!いくらなんでも無理があるだろ。しかも王位継承権第1位であり、一人娘を裏の世界の人間に預けるというのは流石に問題あるでしょ!?」
そう思ってベルンガ王に抗議すると、エリア王女が私の袖をクイクイと引っ張っり上目遣いで問いかけてくる。
「私のことはお嫌いですか?」
「いや、嫌いとは一言も言ってはいないですが、貴女が私に仮に嫁いだら次の王位はどうするおつもりですか?」
「それは……」
「ほら、一時の感情で王女という身分の方が簡単に嫁ぐなど言ってはだめですよ」
そうエリアリア王女に説得をしている最中にベルンガ王が、エリアリア王女の後押しをするかのような発言をした。
「春人殿、後継ぎの問題は私たちの方でなんとかするのでどうかエリアのことをお願い出来ないだろうか?」
「ベルンガ王がそこまで言うのであれば……ですが後継ぎはきちんと選んでくださいね」
「もちろんだ」
「これからよろしくお願いしますね。春人様!」
「あ、ああ…」
ああ、いったいどうしてこんな事態になったんだろうか?私はただ、ベルンガ王の命を助けに来ただけのはずだったんだが……。
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