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異世界転生術師  作者: 青山春彦
第4章 ベルンガ国王暗殺未遂
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44話 国王の解毒と毒物の検知

 一番奥(国王の部屋)を厳重に警備をしていた、近衛騎士(このえきし)が大公爵に気づくと、頭を下げて後ろにある大扉を開けた。


「兄上!」


 大公爵が部屋に入るのに続いて、私も部屋の中へと入る。

 中に入ると、高級素材(こうきゅうそざい)を使った天蓋(てんがい)ベッドカーテンがついたベッドの周りに王妃(おうひ)であるエレン王妃、その国王との娘であるエリアリア王女、王国軍軍団長で、将軍であるレオナルド・マッカーサー伯爵(はくしゃく)、王国騎士団団長であるアルフレッド・アーベル伯爵、宮廷魔術師団団長であるレベッカ・アルナス名誉子爵(めいよししゃく)王家専属医師(おうけせんぞくいし)である宮廷医師のガウス医師がいた。

 私が入ってすぐ、こっちに気づいたレベッカ名誉子爵が声を出そうとしていたので、自分の口に人差し指を当てて言わないように合図をする。

 それを理解したようで、自分の口を押さえた。

 そして、大公爵がガウス医師に話しかける。


「兄上の容態は!?」

「私もいろいろと手を尽くしてはみましたが、このような毒の症状は見たことがなく、私にできたのは少し症状を和らげることぐらいでした」

「そうか……。いや、症状を和らげてくれただけでも感謝する」

「こちらこそお役に立てず、申し訳ありません」

「それで、春人殿。兄上を頼む」

「わかりました。少し待っていてください」


 まず国王があとどれぐらい保つか確認するか。


「【ライフタイム/オープン】」

「これは一体なんなんだ!?」

 

 ベルンガ王の真上に現れたのはデジタル式で表示された、ベルンガ王の残り時間……つまり、寿命である。

 その減る時間は予想よりも速く進んでいた。このままでは間に合わない可能性もあるな。

 とりあえず、呼吸を少しでも安定させるか。

 【ストレージ】から医療用酸素マスクを取り出し、ベルンガ王に取り付ける。

 みんなこれを不思議がっていたが、質問する雰囲気でないことを察したようで、誰も質問をしてくることは無かった。

 ちなみに、このライフタイムとは、私が保有する無属性魔法のひとつで、この魔法の能力は、対象の死亡するまでの残り時間を表示するというものである。

 これは、医者にとってはその患者があとどれぐらい保つのかどうかを明確に表してくれるので、ある意味で欲しい魔法の1つなのだ。

 事前の情報通りなら今、私が持っている解毒剤で治るはずだ。

 急いで【ストレージ】から解毒剤と注射器を取り出し、解毒剤を注射器に移してベルンガ王に注射する。

 ライフタイムを見てみるが、時間の減る速さはあまり変わらない。もう一本打ってみるがさほど効果はなかった。

 再びライフタイムを見るが、やっぱり効果がなかった。

 いくらなんでもこれはおかしい……!!

 『鑑定眼(かんていがん)』でベルンガ王を鑑定して確かめてみると、事前に掴んでいた情報の毒の他にもう一つ別の毒があった。

 この毒は、バルハランの毒とは違って即効性だから倒れた原因はおそらくこの毒で間違いないだろう。しかも、この毒はアイツでは入手不可能な毒だ。

 考えたくはないが、この毒はスターズでしか生成することができない毒…つまりは、今回の作戦に『フェアラート』がいて、アイツに毒を渡した可能性が出て来たな。

 そして、どうやらこの毒が、解毒剤の効果を無効にしていたようだな。

 仕方ない。シエラ、今すぐ【魔法創造】を発動しろ。魔法のは能力はどんな毒だろと完璧に治す万能解毒(ばんのうげどく)と、その毒による体力低下の回復とする。

 そうシエラに命令をした瞬間、私を取り囲むように私の周りに魔法陣が展開される。

 周りの人達はその光景に驚いていたが、【魔法創造】の方に集中していた私はそれに気づくことはなかった。


《【魔法創造】の展開準備……完了しました。続けて、魔法陣の構築……完了。続けて、魔法情報の構築……完了。全ての構築…完了。これより【魔法創造】を展開完了。無属性魔法【ポイズン・ヒール】を創造完了しました。これにて【魔法創造】を終了します》


 この魔法を早速ベルンガ王に向けて発動する。


「【ポイズン・ヒール】」


 魔法を発動した瞬間、ベルンガ王が嘘のように回復してベッドから起き上がる。


「お父様!」

「あなた!」


 残り時間が伸びたのを確認して【ライフタイム】を閉じる。


「【ライフタイム/クローズ】」


 ベルンガ王に縋り付くエリアリア王女とエレン王妃を優しく頭を撫でた後に3人で抱きしめ合った。

 その風景はまさに、仲の良い家族そのものだった。

 

「それにしても、先程までの苦しみが嘘のように消えている。一体どうなっているんだ?」


 ガウス医師が手首に手を当て脈を測ったり、目を覗き込んだりして診察をする。

 

「……健康体そのものです。助からないと思っていたのですが、こんなことが起こっているなんて……私は夢でも見ているのでしょうか?」

「現実逃避をするでない、ガウス医師。これは現実である。これは私の無属性魔法最強と言っても良い神級魔法のひとつ【魔法創造】によってたったさっき完成したばかりの無属性魔法【ポイズン・ヒール】だ。この効果は、どんな毒だろと完璧に治す万能解毒と、その毒による体力低下の回復だ。これによって、ベルンガ王の体中を巡っていた毒素を完全に消滅させ、その後に毒による体力低下に対する回復もおこなった」

「ところでフーリン、なぜ春人殿と一緒にいるんだ?」

「陛下、この春人殿をご存じなのですか!?」

「知っているもなにも、この者は、我が国唯一の神級魔術師殿だぞ?そうか、そういえば其方(そなた)たちは知らなかったな。知っているのはこの場では、私とレベッカ名誉子爵だけだったな」

「それで兄上。話は変わりますが、兄上に毒を盛った犯人としてバルハランの大使がブラン侯爵に囚われております」

「私に毒を盛ってバルハランに何の特があると言うんだ!この犯行は、バルハランと同盟を結ぶのを邪魔に思う差別派の者の犯行だ!」


 そう断言するベルンガ王だが、今のあなた達では大使の容疑を晴らすことなんてできんぞ。

 仕方ない。ここはひとつ協力してもらうか。


「ベルンガ王。陛下を暗殺しようとした犯人の特定ならび証拠品は、すでに私たちが押収済みです。ですが今のままでは、大使の容疑を完全に晴らすことはできません。ですので、私の作戦に協力をしてはもらえませんか?」

「いろいろ聞きたいことはあるが……協力とは何をすれば良いんだ?」

「その前にこの作戦には今回の事件に関わった人が全員集まる必要があるので、まずは大使に会いましょう」

「そうだな。レオナルド、大使を謁見(えっけん)の間に連れて来てくれ」

「かしこまりました」


 その後すぐにレオナルド伯爵は大使を謁見の間に呼ぶために大使の元へと向かった。


「あの……!お父様を助けてくださりありがとうございました」


 エリアリア王女が自分の父親を助けてくれたことに礼をする。

 歳は確か今年で13だったか……。


「いえ、お気になさらず。本来ならばベルンガ王が毒を摂取することはなかったわけですし、防ぐことが出来なかった我々の責任です。それでアルフレッド伯爵、今すぐこの紙に書いている名前の人物ををここに連れて来て欲しい。全員今は厨房ら辺にいるはずだから、私の名前を言えばすぐに来るはずだ」

「わかりました。至急お連れします」


 それから2分後……


「お待たせしました。春人様」

「なぜ、私がお前達をここへ呼んだかわかるか?」

「毒の混入の件でしょうか?」

「ああ、その通りだ。私はお前達を信頼してここに潜入させた。なのになぜこのような事態になっているのか説明できるか?」

「ヒィッ!!」


 私が少し殺気を放ちながら聞くと、後ろにいた人達なら仕方ないとして、こいつらまで(おび)えてしまった。

 まったく、お前達はこの程度の殺気で怯えるなっつうの。


「我々が少し目を離した僅かな隙に毒を盛られたようです」

「全員が目を離すとは……一体何をやってるんだ……。せっかくだからお前達にチャンスをやろう。内容は簡単だ。大使が完全に無罪だという証拠を集めてこい。そうすれば今回の失敗は水に流す。いいな?」

「今すぐ集めて参ります!!」


 あいつらも行ったし、私も少しは動かないとな。

 すると、大使を呼びに行っていたレオナルド伯爵が戻って来た。


「陛下、大使を謁見の間にいつでもお通しできます」

「わかった。すぐに行く」


 謁見の間にて……。


「バルハラン王国大使が参ります」


 謁見の間に入って来た女性はやはり以前街中で助けた人狼族の女の子、ルリィの姉だった。


「マリィ・アーベント只今参りました」

「やはり、あなたがバルハランの大使だったのですね」

「あ、貴方は……!?どうしてここに!?」

「春人殿、大使と知り合いなのか?」

「知り合いというか、この前たまたま大使の妹が迷子になっていたのを助けただけです」

「あの時は、妹が大変お世話になりました」

「さて、話を戻しましょう。今からは神級魔術師、望月春人としてここにいますのであなたもそのつもりでいて下さい」

「わかりました」

「では、あなたは今回のベルンガ国王の暗殺に直接又は間接的にでも関わっか?」

「誓ってそのようなことはございません!!」


 一応、私の魔眼の一つである『真偽眼(しんぎがん)』を使って確かめたが今回の事件には巻き込まれただけのようだな。


「ベルンガ王、大使は嘘をついてはおりません」

「その根拠は?」

「私の眼です」

「眼?」

「はい。私はいくつかの魔眼を持っているのですが、そのうちのひとつで、相手の嘘を見抜く魔眼、真偽眼を使って嘘ではないと確認しました。まあ、これだけではなんの証拠にもなりませんがね」

「いや、魔眼のことに関しては人一倍に理解しているつもりだ。春人殿のことを信じよう」


 さて次は、ベルンガ王の毒がどこに仕掛けられているのかの確認だな。


「レオナルド将軍、ベルンガ王が倒れた会場はどこだ?」

「特別にセッティングした大食堂でおこなった。だが……それがどうかしたのか?」

「なるほど。現場はそのままの状態か?」

「毒の検査に回しているワイン以外は国王陛下が倒れたままの状態にしている」

「私をその大食堂に案内してくれ」

「わかった。案内しよう」


 その後、大食堂に案内してもらいさっそく毒物がどこにあるのかを探す。

 一応念のため犯行に使用されたというワインも一緒に持ってきてもらい【鑑定】してみるが、案の定ワインからは毒物は一切検出されなかった。

 室内を【ポイズンサーチ】を使って探してみると、毒がどこに仕掛けられていたのかがすぐにわかった。


「レオナルド将軍、ベルンガ王に先程伝えた作戦をおこなうのでこの事件に直接関わった人をすべてここに呼んで来てくれ」

「わかった。すぐに呼ぼう」


 我々が持っている証拠を提出しても良いが、ここはやはり直接本人が自白してもらうのが一番だ。

 それに、私も仕事をしなければならんしな。

『良かった』、『続きが気になる』などと思っていただけたなら、評価やブックマークをしてくださると、とても嬉しいです。投稿日時はバラバラですが、どうぞこれからもよろしくお願いします。

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