43話 ベルンガ国王の暗殺事件と獣人差別派の強硬
今日の朝は久しぶりにスターズ本部の食堂で朝食をとることにした。
なぜ、本部で朝食をとっているのかというと、本部で先にやることが少しあったからである。
「で?ドランクの出現兆候があったのはどの辺りだ?」
「はい。出現兆候があったのはバリハラン王国の南東方面にあるタキハスという小さな村の付近で、すでに歪みが民間人に目撃されていますが、いかがなさいますか?」
「いかがなさいますか?って言われてもな……。記憶処理をするわけにもいかないしどうしたもんか……?」
「まあ、目撃したのはそのタキハス村に住む子どもですので、大人は子どもの勘違いや見間違いだと思っているようです」
「なら、勘違いさせた状態のまま我々が秘密裏に処理するしかなさそうだな。そういえば、出現数はどのくらいなんだ?」
「それが、下級が1体だけです」
「はぐれのドランクか?」
「その可能性が高いかと思います」
「そうか。なら出現と同時にそいつの撃破と万が一のことを考慮し、村の住民の避難もできるようにしておけ」
「了解!これで報告は以上です」
「うむ。ご苦労」
それにしても、よりにもよってバルハランに下級のはぐれがくるとはな。
まあ、はぐれ一体程度なら支部でもどうにかなるし、今回は本部の出番はなさそうだな。
そう思っていると、ピピー!ピピー!というけたたましい緊急音が私のスマホが鳴った。
私宛の緊急連絡?えーと、発信は…ベルンガ支部か?
「私だ。一体何があった?」
「申し訳ありません!!」
「一旦落ち着け。何があったのか順を追って説明しろ。でないと状況を明確に判断することができん」
「失礼しました。まず、単刀直入に言いますと、ベルンガが毒を盛られました」
「なんだと!?支部のやつだけでなく、本部の……私の部下も潜入させて厳重に監視していたというのだぞ!それなのに何故!?……とにかく、状況は理解した。私がすぐに王城に向かうと向こうのやつらにも伝えろ」
「わかりました」
チッ、まさかあの野郎、本当に実行するとは……。この忙しいときに余計なことをしよってからに!
あの毒は少し独特だから解毒が難しいうえに、解毒剤を持っているのはたぶん私ぐらいだから私が行く必要があるし、そろそろブラン侯爵とその親族一同が筆頭となって続いているベルンガ王国での貴族による獣人差別にもそろそろ決着をつけるためにも行くしかないか。
そして私は、神級魔術師のローブを身に纏って、その後すぐに王城の城門前ら辺に【テレポート】を使って転移した。
「うわっ!?な、何者だ!」
門番が突如現れた私に警戒して、槍をこっちに向けて構える。
まあ、普通だったらそういう反応になるわな。と思っていると、後ろから一台の馬車が猛スピードでやって来た。
「春人殿、一体何故ここに!?」
その馬車の中には、クラウディウス大公爵が乗っていた。
「その説明は後です」
「クラウディウス大公爵様!その者はお知り合いでしょうか?」
「ああ、そうだ。そして春人殿はこのローブを見ての通り、神級魔術師だ」
「し、神級魔術師!?た、大変失礼致しました!!」
「気にするな。それよりも早く中へと通せ」
「失礼しました!」
「早く行きましょう」
「そうだな」
そして、大公爵と共に城門を潜り王城の中に入って、さらに大階段を上がっている途中で上の方から一人の男がこちら(正確には大公爵)に話しかけてきた。
「大公爵殿下、お久しぶりでございます」
「……ブラン侯爵……!」
この男がブラン侯爵か……。なんだか確かに、いろいろとやってそうな顔をしているな。
大公爵もあからさまに睨んでるし…。
それにしてもなんかイラつく顔だな。まるで豚とカエルをミックスしたような顔でニタニタと笑いながら言われるとさらにイライラするな。
そのまま大階段を上がろうとした瞬間、ブラン侯爵がとんでもないことを言い出した。
「陛下を狙った者はこの私めが取り押さえましたぞ」
「なに!?」
「陛下を狙った者はあろうことか、バルハラン王国の大使だったのです。バルハラン王国の大使を取り押さえた経緯としては、バルハラン王国の大使が贈ったワインを飲んだ瞬間倒れたため、取り押さえました」
「そんな馬鹿な……!」
確かに、その話だけ聞くと、確かに逮捕する分の証拠としては現行犯で逮捕することは可能だな。話を聞くだけだとな……。
だが、残念だったな。ブラン侯爵。
我々スターズはとっくにそんなこともあろうかと、それ以上の証拠を押さえているんだよ。
だがその前に、バルハラン王国の大使の冤罪を晴らしてからでも遅くはない。
私はアイツへの嫌がらせとして、大階段の下る際に引っかかるであろう場所に魔力糸を張った瞬間、見事に顔面から大階段を最下段まで見事に転げ落ちていき、「グギャ!」というなんとまあ、気持ち悪い声を上げる。
その様に思わず笑ってしまうところだった。
そして、八秒ぐらいすると平然をよそおいながらヨロヨロしながらも立ち上がりながらその場を去って行った。
その様子を周りから見ていたメイドや警備騎士、軍の兵たちが笑いを一生懸命こらえて震えていた。
チッ。あの野郎なんで無事なんだよ!
って、そういえば、あんなやつにからんでる時間ないんだった!
私の様子を見て大公爵が私がさっきのをやったのに気づいたようで、少し呆れた顔でこっちを見ていた。
いやだって、あんなムカつく顔をしてたらやりたくなるじゃん。
「そ、それじゃあ行きましょうか」
「ああ、このようなことに無駄な時間を取らず、なるべく急がなければ!」
そして再び大階段を上がり、国王の自室のある階に着き、その真っ直ぐな廊下を歩きながら【ストレージ】の中にある医療用白衣を取り出して、代わりに神級魔術師のローブを収納して、医師の服装に歩きながら着替えて国王がいる、この廊下の一番奥にある国王の自室へと大公爵とともに向かった。
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