42話 事件前日
ベッドから起き上がり、そのまま下にある食堂へと降り朝食を食べて、また部屋へと戻る。
私が部屋へと戻ると、部屋の中には何人か私の部下が待機していた。
「お待ちしておりました。シリウス様」
その呼び方で呼ばれたのは久しぶりだな。
「以前のドランクの件ですが、提出してもらった写真に写っていた文字の解析を行いましたが、スターズに登録されている文字を全て調べましたが一致する文字が無いため解読が不可能でした」
「そうか。わかった」
「お役に立てず申し訳ありません」
「お前達が気にする必要はない。私でも少ししか解読することが出来なかったんだ」
「あ、それともう一つ報告が……」
「なんだ?」
「はい。先程、ブラン侯爵に動きが見られおそらく明日行われる両国親善協議会での作戦の決行準備に移っているものと思われます。現在、他の小隊が証拠品の押収に向かっております」
「違和感を持たせるなよ。もしバレた場合、ああいった輩はどういった手を使うかわかったもんじゃないからな。だが、もしバレた場合は、無理矢理にでも拘束するのと同時に、ブランの余罪を含めた捜査を行いつつ速やかに処分しろ。いいな」
「了解」
「それと逮捕状はいつ発行される?」
「証拠品が押収され次第です」
「……そうか」
「では、我々はこれで失礼します」
「ああ」
やっぱり、ブラン侯爵とやらも明日の両国親善協議会へ向けて動き出したみたいだな。
この機会にこの国の貴族の獣人差別派を根絶やしにするのも悪くないかもな。
一応、獣人差別派の貴族のリストアップは既に完了しているからあとは、そいつらを奪爵させるように仕向けるしかないな。
とはいえ、ブラン侯爵は奪爵 させるだけの証拠は十分揃っているし、私の神級魔術師の権力を使えばやつを処分する事は可能だ。
※数が少なく、一人でも国を滅ぼせる力を持つ神級魔術師には、その力故にほとんどの国では、国王とほぼ同等の権力を持つことができ、国王代理として活躍する人間もいたりする。ただし、神級魔術師が多数存在するフルア魔法王国では国王ではなく、宰相と同等の権力を有する。
まあ、神級魔術師ならば容易く王城内に入ることが出来るし、明日両国親善協議会が終わったら国王と相談するか。
となれば、私も神級魔術師の立場を利用して参加するのもありかもな。……たぶん。
「それはともかくとして、念のため解毒剤でも作っておくか。まあ、あいつらがミスをするとは思えないが」
今回使用される毒は確か、バルハラン王国の南にある精霊の大森林に住む、狩猟民族が狩りの時にしようする遅効性の毒だったな、確か。
精霊の大樹海は、その全てがどこの国の領土ではなく、さまざまなな種族や民族が住んでおり、その大樹海を守るのがこの大樹海の名前にある通り、樹海の精霊だか、大樹の精霊だかが守護していると以前聞いたことがあったな。
と考えつつ、解毒剤を2本ほど作った後、【ストレージ】に収納した。
ふと外を見てみると、もうすでに日が沈みそうになっていた。思っていたよりもかなり時間が経っていたんだな。やっぱり歳を取るとこういう時間感覚が自分が思っている以上にズレてくるもんだな。
下の食堂へと降りると、すでにみんな夕飯を食べていた。
君たち夕飯早すぎないか?
「ねえ、春人。今日全然見かけなかったけど、どこにいたの?」
「ああ、部屋で書類の点検だったりをしていたんだよ。それとさ、君たち夕飯食べるの早すぎないか?」
「だって、今日はそういう気分だったし、食べる時間くらい自分で決めたって良いでしょ」
「いや、そこまで言ったつもりはないんだが。もし不愉快な思いをさせたんならごめん」
「こっちこそ、言い過ぎてごめん」
「春人様も食べませんか?ヒナタさん。春人様の分の夕食をお願いします」
「はいよ。今準備するからちょっと待っててね」
「わかりました」
「春人さんは確か明日、お城の方に行くんでしたよね」
「そうだよ。だから明日は朝からいないから依頼は受けられないよ」
本当は少し行くのが面倒だから、部下に任せたつはいたがなんだか少し嫌な胸騒ぎがするんだよな。
「はい、お待たせ」
ヒナタさんが目の前に夕食を並べる。
夕食のメニューは、煮込みハンバーグ、野菜サラダ、ふんわりした丸パンである。
このうち、煮込みハンバーグと丸パンは私が作り方を以前教えたものである。特に煮込みハンバーグのソースは私が考えたオリジナルのもので、とてもワインとの相性が良いようなに作ったものである。
私だって酒ぐらい飲むし、むしろ好きなくらいだ。けど、ドワーフ族よりも酒好きではないし、ドワーフみたく酒を水みたいに飲む事はできない。
ちなみに私が好きなのは、ピノ・ノワールの赤ワインと日本酒である。
夕飯を食べ終わり、部屋に戻る。
「それじゃ、私は部屋に戻ってるね」
「ええ」
「わかりました」
「少し早いですけど、おやすみなさい。春人様」
「ああ、おやすみ」
部屋へと戻り、入り口近くにあるポールハンガーに【ストレージ】から取り出した神級魔術師のローブをかけた。
その後、私は机に置いているノートパソコンを開き、明日の作戦に参加することを支部に連絡をして、ベッドに座りマガジンに実弾を入れて銃に入れる。
ちなみに今回の作戦に使用する銃は、ベレッタ 90-Twoである。
そして、少しの間スマホを使って久しぶりに地球のサイトにアクセスをして、新しい武器などがないかと見てみる。
へぇー、凄いな。防衛省で航空戦艦とか取り入れたんだ。
なんか向こうの世界がどんどんSF世界みたいな装備まで取り入れ始めてるんだが……!
どうやら宮神家のやつらを上手く抑え込んでいるようで良かった。
それにしても、こっちの時間軸よりも早いからもう向こうの世界では四百年近く経っているからそろそろ宮神と決着をつけてほしいところだが、やっぱり目ぼしい人材があまり生まれていないのか?
やっぱり、元の世界に未練が未だに残っているみたいだな、私は……。
「さてと、そろそろ23時になるし、寝るとするか」
そして、部屋の明かりを消して眠りについた。
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