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異世界転生術師  作者: 青山春彦
第4章 ベルンガ国王暗殺未遂
40/176

40話 アレの正体と封印

 昼食を食べ終え、弁当箱を【ストレージ】にしまっていた。


「そういえば、なんだかこのお弁当ヒナタさんが作るのとは違う味付けがしますがライオネルさんが作ったのでしょうか?」

「確か春人殿、朝早くに厨房(ちゅうぼう)の方に入っていくのを見たのですが、もしかして……」

「やっぱりトワの舌は誤魔化せなかったか」

「誤魔化すも何、初めから隠す気なんてありませんでしたよね?」

「まあ、それはそうなんだけど……」

「というか、春人って料理出来たんだ」

「これでもちゃんと調理師免許(宮廷)を持ってるんだからね。一応料理の腕もそこらの料理人に負けるつもりはないけど基本的には自分から料理をする事はないかな」

「なんでですか?自分で作った方が美味しいのでは?少なくとも、春人様の料理は他の方と比べてかなり美味しいですよ」

「単純に作るのが面倒というのもあるけど、なんか作ってるとついつい熱を入れてしまって普通の料理にしようと思ってもレストランみたいな感じの料理になってしまうんだよね」

「それはまた、すごい、ですね……」


 弁当箱類をしまい終えて、テーブルや椅子は【デリート】を使って消去する。


「今の魔法はなんですか?一瞬で消えたように見えたのですが……?」

「この魔法は【創造】と対する無属性魔法【デリート】だよ。【創造】が作るのなら【デリート】は物質を消す魔法だね。魔力さえあれば形ある物はどんな物であれ消し去ることが可能なんだよ。それこそ生物だったり村や大きな街さえもね」


 そう言った瞬間、みんなの顔が少し青ざめていた。

 そりゃあ青ざめるか。なんせ、この魔法ひとつで街だけではそこに住む人々までもが一瞬で消滅することができると言っているんだからな。


「少し脅かし過ぎたな、すまん」

「いいえ、大丈夫ですよ」

「それにしても、ここにかつて王城があったとはとても思えませんね。崩れ方といいまるで何かから逃げたかの様に瓦礫が放置されてますね」


 このベルンガ王国は他の国とは違い、唯一王城を別の場所へと移動した国であるので、スターズならば何か記録が残っているのではないかと思い、昔少し調べたことがあったのだが、ただ移動したという記録しか残っていなかったのだ。

 この世界に約8000年前に突如としてやってきたというドランクは当時の文明であるアバロント文明などの文明が崩壊されたが、ある日突如そいつらが姿を消して当時のスターズはドランクが完全に世界からいなくなったと思い解散しようとしていた矢先に一体だけだが姿を現したことを受けて解散をすることなく今に至る。

 以前、当時のことを知っていそうな方に聞いたが、その方でさえ詳細は分からなかった。

 あの方とは、この世界での剣の師匠であり黒鋼(くろがね)の二つ名で呼ばれていたリビュゲート様(本名リビュゲート・エルモス様)は、旧シャドウ評議会のNo.1だったが、スターズを引退してからはソーラルがNo.1となりそれからは現在のメンバーままほぼ変わっていない。

 閑話終了。


「さあな。私も以前調べたけどただの移動という記録しか残っていなかったよ」

「あーあ、なんか王の隠し財宝とかあったら面白かったのに」

「ただの移動なのですから全て持って行っているはずですよ」

「ただ言ってみただけよ」

「ですが春人様。もしかしたら持っていくのを忘れたのもあるかも知れませんからアイリスさんの言っているのもあながち間違っていないかもしれませんよ」

「もう、わかったよ。調べれば良いんだろ、調べれば」


 仕方なく【サーチ】を辺り一帯に広げていった結果1つだけヒットした。


「……引っかかった」

「「「「え!?」」」」


 ダメ元でやってみたがやってみるもんなんだな。


「で、どっち!?」

「……こっちの方からだな。それにしてもなんか変だな」

「 変とはどういうことです?」

「引っかかったのはかなり大きな物なんだ。大きさから言えば、高さおよそ2m、横1m、厚さ1.4mだから忘れた様には思えないし、わざと置いてあったのか、あるいは後から何者かが置いていったという線もあるな……」

「とりあえず、その場所に行ってみませんか?」

「確かにそうだな」


 そしてとある廃墟(はいきょ)を【サーチ】で感じたまま進み、やがて崩れ落ちた瓦礫の跡地の手前まで来た。

 ん?この崩れ方、まさか。


「この瓦礫の下にあるみたいなんだが、この瓦礫の崩れ方さ、どうやら人為的に置かれたみたいなんだよね、これ」

「という事は、下に何かあるのでしょうか?」

「そうだとは思うけど、だかしてみない事にはなんとも……」

「そんなのあの【デリート】とかいう魔法で消してしまえば良いじゃない」

「【デリート】というのは消す物を具体的にイメージする必要があって、下手にこれを使ってしまうと余計な物まで消し去ってしまう可能性があるからそう簡単に使うわけにはいかないんだよ。まあ、今回はこの瓦礫だけだから多分なんとかなると思う」


 【デリート】を発動させ、瓦礫だけを消し去る。

 すると、消し去った瓦礫の下には魔力石で作られた二畳程の石畳があったがその一部が欠けており、そこを詳しく調べてみると鉄…いや、闇の魔石が埋められた黒塗りのミスリルで出来た両扉だった。

 一体なぜこんなところに……。

 そして、その扉を開けると地下へと続く石の階段が地下深くまで続いていた。まるでダンジョンみたいだな、これは。

 その中へとみんなで入り、中級光魔法【ライト】で辺り一帯を(とも)した。

 それにしても以前ならトワはともかくとして、他の3人は無詠唱だけで驚いていたが、もう無詠唱では驚くことはなくなった。

 階段は螺旋状になっていて、やがてその長い階段の終わった先に、広い石造りの通路が現れた。

 その通路は、ひたすら真っ直ぐに延びており、その先は暗闇で見ることができない。そして、地下ということもあり湿度が高くじっとりとした空気がまた、不気味な雰囲気を出している。


「なんか、気味が悪いわね。幽霊でも出そうな、雰囲気というか……」

「な、何を言っているのですかアイリス殿!幽霊なんて出るわけがないじゃ、ないですか!?」


 アイリスが言った言葉に過剰に反応をする信女。

 怖がるのは勝手なんだけどさ、とりあえず歩きにくいから私のコートを引っ張るのをやめてもらってもいいかな……。

 怖がる姉のアイリスとは反対に平然と進んでいくトリス。

 そして、通路を進んでいくたびに段々と通路が大きくなっていき、やがて大きな広間へと出た。


「一体、何なんだこれは……!?」


 私たちの目の前にあるのは、壁全体に描かれた、何かの文字らしき物だった。高さ6m、長さ13mもの巨大な壁一面にびっしりと書かれていた。


「この文字は一体何なんだ?見た感じ、魔法文字ではないし、古代エルフ文字でもない……精霊言語に近い文字だな。だが、精霊言語で読んだら変に翻訳ささるし……」

「春人さん、そんなにたくさんの文字を読むことが出来るのですか?」

「一応ね」

「あの、春人様。先程、精霊言語ならば読めない事はない程度のことを言ってましたが、精霊言語で翻訳したらどんな言葉になるのですか?」

「わかりにくいけど良いの?」

「はい。お願いします」

「我らは、赤色の民なり。この封印、解く事、許されん。この先に、封印せしは、世界を脅威に、晒した、異界の、悪魔なりって訳すことができるんだよ」


 世界に脅威を晒した異界の悪魔、まさかな……。


「なんか嫌な予感しかしませんね」

「ええ、特に封印というのがかなり気になりますね」

「でも、とりあえず行ってみませんか?」

「あ、行く前にちょっと写真撮ってからでもいいかな?」

「かまいませんよ」


 とりあえずスマホを取り出して、壁の写真を何枚か撮る。


「皆さん。こっちに来てください」


 広間の右壁側を探索していたトリスがどうやら何かを見つけたようだ。

 それぞれ別な場所にいたまみんながトリスの方に集まると、トリスがとある部分を指差した。


「ここに、土の魔石が埋まっていました」

「なるほど、この土の魔石に魔力を流せば良いのか」

「それ、罠の仕掛けが機能するとかだったりのやつじゃないの?」

「確かにその可能性は否定できない。あの壁の文字からして封印を解かせたくないみたいだから可能性は高いと思うけど、その心配は無いよ」

「どうしてそこまで言い切れるのですか?」

「どうしてって、【サーチ】を使って直接確かめたからに決まってるでしょ?」

「春人様、この魔石に魔力を流して下さい」

「私がかい?」


 トワの言葉に疑問系でついつい返してしまった。

 私の問いに答えたのはアイリスだった。


「だって、土属性の適正を持ってるの春人だけでしょ」


 アイリスは無、トリスは火、水、光、トワはアイリスと同じく無、信女は適正無し。そして私は全属性だ。この関係からしたら私がやるしかないか。

 ……って、おい!


「……なぜ3人はそんな離れる」

「「「い、一応……?」」」


 そう答えるのは、アイリス、トリス、信女の3人だ。そんな3人をジト目で睨む。

 ちなみにトワは、私のすぐ左隣にいる。

 とりあえず壁に取り付けられている土の魔石に魔力を流し込む。

 すると、ドドドドド……と地鳴りがした後、壁の文字を避けて、光の線が上に到達した後、砂状になり全て流れ落ちた。

 念のために写真を撮っておいて良かったな。


「結構、大掛かりな仕掛けだな。よほどのものなんだな」


 そして、開いた入り口の先は暗闇が続く一畳半程の細い通路を突き進んでいく。

 するとその奥には、台座に鎖で固定されて置かれていた、何かがあった。

 その何かに付着した(ほこり)を手で払いその何かを覗き込む。


「一体何なんだ、これは……?」


 そう思っていると、なんだか部屋が少しづつ暗くなっていく。

 もしかしたらと思い、それを見ると赤いのが光り出していた。

 このまま【ライト】に使っている魔力を奪われるのはまずいと思った私は、急いで【ライト】を消した。


「ちょっと!なんで【ライト】消すのよ!!」


 アイリスが怒鳴る理由もわかるが、今はそれどころじゃない。

 そしてかなり赤くなった核を見た他のみんなも動揺し始めたりして、これ以上ここにいたら危険だと思い、急いで【ゲート】を開きみんなに言う。


「急いでここから避難するぞ!ここはもうすぐしたら崩壊する。さぁ、早く!!」


 みんなを開いた【ゲート】に無理矢理外に出して、最後に私が外に出る時に見ると、脚が再生し始めていて完全に再生してこの外に出るまで数十秒といったところか?と思い急いで外に出た後、開いた【ゲート】をすぐさま閉じ、辺り一帯に結界を張るが、あくまでもこれは時間稼ぎの結界であり、その間に準備をする。


「ねぇ、春人。さっきのアレってなんなの?」

「すまんが、アレについては今は詳しく話すことが出来ない。だが、ひとつ私が言えるとしたら、後もう少ししたらここは君たちにとってかなり危険な場所になると言うことだ。だから君たちは急いでここから避難してほしい」

「何を言っているのですか春人様!戦うのであれば私たちも一緒に戦います!!」

「……わかった。ならなるべく被害を最小限に抑えながら戦うぞ。アレについては後から私が話せる事は話すから、今は、私の指示に従いながら戦ってくれ。そして逃げろと言った時には、私が時間稼ぎをするからみんなは急いで逃げてギルドに救援を求めに行く事。頼めるか?」

「わかりました」

「そうならないようにするわ」

「それとトリスは、あいつに対して火属性の魔法は全て禁止と水属性は物理系の魔法だったら使用可。光属性の魔法に関しては味方に対する補助魔法ならび回復魔法の使用は可とする」

「なぜ、通常の攻撃魔法ではダメなのですか?」

「あいつは、魔力を吸収して、それを自身の力へと変化する能力を持っているから通常の魔法攻撃では魔法ごと魔力として吸収し、やつの力になってしまう。だから魔力吸収をされない物理魔法ならば効果があるが、正直言ってやつらはとても硬いから多少だけどもおそらくはやつには効くはずだ」


 やつは下級ドランクだ。さらに言うならば、封印をされて完全に魔力を消費した状態からだから大した力はないはずだが、私は大丈夫だとして、他の4人はやつとの戦い方を知らないし、攻撃の仕方もまた知らない。

 ここで逃してしまうと、近くにある村や小さい町ならばアレ一体で簡単に滅ぼされてしまう。

 おそらく今頃本部では、出現したのはわかっているはずだ。

 だとすると、この近くにいるベルンガ支部の者たちが対応に来るはずだ。ここでスターズのことをこの子たちに知られるのは少しマズイな。

 まあ、トワは知ってるから別に良いんだが、他の3人はそうもいかない……。

 すると、地下の結界や鎖が解けたようで、やつの核と同じ赤い光が地面から出てくる。

 その後地面が揺れたのと同時に、やつが封印される前の元の姿で私たちの前に現れたのと同時に信女が斬りかかりに行き、アイリスは【ブースト】を発動させた一撃を食らわし、私は銃を撃つが効果があったのは、銃弾によるダメージだけだった。

 

「なんていう硬さなんですか!?」

「いくらなんでも硬すぎるわよアイツ!」


 このままじゃ支部の奴らが到着するまでに倒すことができない。

 あまり見せない方が良いが、この子たちならたぶん大丈夫だろう。


「やつの弱点は、中央にある赤い核だ!アレを破壊しない限りダメージを与えられてもすぐに回復される。今から核を攻撃する上手くいけばこの一撃で核を完全に破壊することができる。その間……5秒で良い。こっちに近づけさせないでくれ」

「わかったわ。みんな行くわよ!」


 アイリスの言葉に頷き攻撃を与えながらこっちからやつの気を逸らす。

 その間に急いで【ストレージ】からカールグスタフM2を取り出す。ちなみに今回使用する砲弾は、HEAT 751 対戦車榴弾である。

 そして、撃つ準備が完了した。


「攻撃の準備が終わったから全員、そいつから離れろ!」


 みんなが離れた瞬間にカールグスタフM2の引き金を引き、HEAT 751 対戦車榴弾を撃つ。

 攻撃は見事命中し、かなりのダメージを与えることが出来たが、惜しくも核をわずかに欠けさせるところまではいったが、完全に破壊しない限り、核を攻撃できたとしても回復されてしまうため結果的に攻撃の意味が無くなってしまうのだ。

 やつが回復したのと同時に脚が伸び、再生している状態を見て呆然としているアイリス目掛けて攻撃をする。

 マズイ!このままではアイリスがやられる。もう二度と目の前で大切な人をお前らに、しかも下級なんぞに殺されてたまるか!!

 そして、足に【ブースト】をかけてアイリスの元へと急ぐ。 

 攻撃はアイリスに当たる事は無かった。……アイリスには。


「春人(様)(さん)!?」


 脚をアイリスには当たらずに済んだが、代わりに私の左肺を貫通してその場に倒れ込む。

 

「君たちはやつを倒すのに、集中、してくれ。これぐらい、なら、回復魔法で、治すから…」


 私は吐血しながらそうみんなに伝える。


「わかった。その間の時間は私たちで稼いでおくから」

「ああ、頼んだ……」


《激しい傷の損傷を確認。これより生命神の加護による回復を開始します。完全回復までの時間は、およそ4秒です。……回復が完了しました》


 左肺を完全回復させた後、【ストレージ】から私が持っている中でもかなりの切れ味を持つ魔剣グランダルクを取り出し、さらに剣神の加護による剣術強化とスキルのひとつである絶対切断を使ってやつの核ごと真っ二つに切った後、さらに核を細かく切った。

 そして、【ストレージ】にやつの身体を収納する。

 やつらの身体は、研究材料に使ったり新装備の開発実験に使われているため、死体は全て細かいのまで回収することになっている。冒険者なんかが身体の一部でも見つけてギルドに報告をされるといろいろとマズイからというのもあるけれども……。

 そうこうしている間に支部の奴らが到着してしまった。

 まあ、みんなにはこのことを口外しないように釘を刺しておかないといけないな。

 スターズの名前は出さないように話すとしてドランクの存在と名前は知られるけどそこら辺は別に構わない。というか、私と一緒にいる以上、ドランクの存在は遅かれ早かれ知られてしまうし、存在を知っていた方が助かる場合もあるかも知れないしな。


「この辺りで下級ドランクの反応があったのですが、どこにいるかご存知しょうか?」

「我々で既に討伐を完了した。お前たちは、この場にいる者以外に誰かいる場合は目撃者かどうかの確認の後、場合によっては記憶処理剤を用いての後始末並び他の痕跡(こんせき)等の後始末も諸々やっておくように」

『了解!』


 私はやって来た支部の者達へ指示を出した後、あの子たちの元へと戻りアイツらのことを口外しないように話す。

 もし口外してしまえば、最悪の場合暗殺される可能性があると言うことだ。

 だが、彼女たちは実力は同世代の子たちに比べたら高い方なので記憶処理をした後にスターズへ入らせるという可能性の方が高いが念のために口外しないようにお願いする。


「君たちには、あそこにいる者達のことに対する口外の一切を禁止します。もし口外した場合、それ相応の対応がなされます。どうか自分自身そして、周りにいる大切な人を巻き込まないよう賢明な対応をお願いします。これは、望月春人としてではなく、諜報機関の幹部としてのお願いです」

「春人さん、ベルンガの諜報員だったのですか!?」

「どこに所属しているかは、今の段階では詳しくは言えませんが、ただひとつ言えるとしたら、この国ではありません。この件に関してはこれ以上関わらないよう、お願いします」

「はい、わかりました」

「確かに、言い方からしてなんか嫌な予感がするし、もし言ったとしてもこんな事誰にも信じてもらえないと思うけど」

「賢明な判断、ありがとうございます」

「後処理完了しました」

「よし、ならお前たちはこのまま帰還しろ。そして、ここに封印されていた理由についても詳しく知りたいのでこのことを本部の方に報告して、他のシャドウにも情報が行くように私の印を押しておくから、支部長経由で私の方に送ってくれ」

「了解しました」


 そう言って、部隊のやつらは支部へと転移モードを使って帰還して行った。


「とりあえずは、ここのことを大公爵に話して調査を依頼するか」

「大公爵様に話して良いの!?」

「あの人は私の正体を知っている数少ない人だから問題ないよ」

「知ってるんですか!?」


 驚くとこそこなの、トワ……。

 その後、大公爵邸に訪れた私たちは、今回のことを大公爵に報告しに来ていた。もちろん、スターズは伏せて話したが、ドランクに関しては、ドランクの名前は伏せて存在だけを報告する。

 そして、遺跡の方もスターズの捜査隊のやつらと遭遇しないように日程などを調節して依頼することにした。


「そうか。あの遺跡でそのようなことが……近いうちに調査に向かわせるとしよう。それよりも君が持っているその「すまほ」と言ったかな、それは貰えたりできないかな?」

「申し訳ありませんが、これは私だけが扱えるアーティファクトですし、これが出回ってしまうと悪用されると厄介ですのでこれはそう簡単には渡せない……というか私が持っているほとんどは世間に渡ったらいろいろと面倒になるのでそこら辺はご理解下さい」

「そうか、無理を言ってすまなかった」

「では、明後日これに撮った写真を別に写して持って来ますね」

「? なぜ明後日なんだい?」


 この人、この感じ完全に忘れてるみたいだな。


「お忘れですか?明後日は『両国親善協議会(りょうこくしんぜんきょうぎかい)』が開かれます。もしものことがあった場合…多分ないとは思いますが、明日届けに来たとしても明後日くる口実が無くなってしまうよりはもし王宮に行く場合の言い訳ができるからです」

「なるほど、確かにその通りだな」

「そういうことですのでまた明後日」

「ああ、もし先程の写真の文字を解読することができれば、なぜあそこから今の場所に王城を移動したのかがわかるかもしれん」


 ……これは私の想像にすぎないが、王城が今の場所に移動したのはあのドランクのせいなのではないかと思ってならない。

 当時の高位の魔術師や騎士などがなんとかあのドランクを瀕死に追いやった後にあの地下深くに封印したのではないかと思う。

 もしそうだったとしたら、スターズにくらいは当時の記録ぐらい残っていてもおかしくはないんだがな。

 それともやっぱりこれはただの私の想像に過ぎないのかな……。

 今度、もう一度詳しくあそこのことを調べてみるか。そのうち、支部からの捜査報告書も届くだろうしな。


「春人殿。せっかく我が家に来たんだ。もしこの後時間があったらやらないかい?」


 え?この流れで誘ってくるか、普通……。

 それにしても、リバーシをそんなに気に入るってことあるか?

 それも飽きもしないでやり続けるとか、どんなに娯楽品に飢えていたんだって言いたくなるよ。

 大公爵の一人娘であるリアから聞いた話だと、(ひま)さえあれば、誰とでもやるんだそうだ。

 例えば、給仕係(きゅうじがかり)の人だったり、執事のジアスや休憩中の門番や衛士(えいし)などである。

 そのせいで、ある人は、リバーシを見ただけで気分が悪くなってしまうという人も出たらしい……。なんかその人には申し訳ない気持ちが出てくる。

 ちなみにリアは、何回かやった後すぐに飽きてしまった。

 そのせいか、大公爵はかなりの腕前となり私とも良い勝負をするようにはなったが、実力では私の方がまだ上である。

 そのせいで、他の人では当たり前だが、相手にすらならずこうして、ここに来るたび唯一相手をつとめられる私に勝負を挑んでくるのである。

 ああ、早く帰りたい……。

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