4話 最強の集結
「こちらが貴方のお部屋となります」
寮の部屋というからもっと狭いと思っていたけれども思っていた以上に広いんだな。
でも、これどう見ても3〜4LDKぐらいの間取りはあるだろこれ……。
こんなに広くてもいいのだろうか?
「広さに関しては心配ご無用です。むしろシャドウ様である貴方様は他の者達に対して威厳がなくてはならない存在であるためシャドウの称号を与えられた方専用のお部屋がいくつか存在しております」
「先程から聞こうかと迷っていたのですが、貴方も構成員ではあるんでしょうけれどもいったい何者なのですか」
「そういえば自己紹介がまだでしたね。私は今回貴方の案内役を務めさせていただいています。アラリ伍長です。ちなみに、ほとんどのスターズ職員には、コードネームや二つ名が与えられていますが、それでも未だ名前だけの者もいます」
この人、私よりも上官だったのか。
てっきり同じぐらいの階級かと思っていたのに思っていた以上に階級が高いとは思わなかった。
「上官とは知らず失礼しました」
「あはは。べつに今更上官だからって態度を改める必要はありませんよ。それにナンバーズ会議が終わればおそらく私よりも階級は高くなると思いますから」
いったいどういう意味なんだ?
「シャドウは、スターズ最強をあらわすコードネーム兼称号なんですよ。そんな方が最下級の階級にいたら他の上位階級方に叩かれてしまいます。それに下位階級にいるよりも上位階級にいた方がスターズにとっても非常に都合がいいんです」
なるほどね。だからさっきから自分よりも階級が高くなると言っていたのか。
「これでお部屋のご案内は終わりましたので次は人事局の方へと移動しましょう」
そうこう話したりしながら我々は部屋の鍵を閉めそしてアラリ伍長から部屋の鍵をもらって部屋をあとにした。
人事局までの移動中何か妙に目立っているような気がしてその事をアラリ伍長に聞くとなんだか少し呆れたような顔をして答えた。
「そりゃあ目立つのは当然ではないですか。入団戦闘能力試験で現役のシャドウナンバーズであらせられるソクショ様を倒して、そして本来ならばほとんどありえない入団当日でナンバーを与えられ、スターズ最強の肩書きを持つ方がこれで6人目となったんですよ!目立って当然ではないですか」
「あ、はい」
アラリ伍長の勢いに負けて、少し腑抜けた答え方をしてしまった。
確かにそう言われるとそうだな。
「それに制服ではなく別な服を着ていることも目立っているのではないかと思います」
そうこうしていると人事局の入り口前に到着した。
やっぱりここも普通に自動ドアだし。自動ドアもそうだがスターズの施設はいったいどうなっているんだか。
そう思っているとアラリ伍長が局長室前までやってきて、そこにいた警備員に話しかけた。
「人事総合担当課のアラリ伍長です。局長にお連れするよう命じられた、No.6様をお連れしました。それにしたがい局長にお会いしたいのですが」
「わかりました。すぐに連絡致しますので、しばらくお待ちください」
アラリ伍長て人事局だったんだな。それにしても人事総合担当課てなんだ?普通は、人事課や人事担当課もしくは、人事総合課でもいいはずなのになんでこんなわざわざ長い名前にしたんだろう。
「許可が得たためどうぞ中にお入りください」
「それでは参りましょうか」
そう言って私達は局長室の中に入った。
「失礼します。アラリです。ご命令通りNo.6様をお連れしました」
「うむ。ご苦労だったアラリ伍長。二人ともとりあえずそこの椅子にかけてくれ」
「失礼します」
言われるがままに座った。
「二人とも突然呼び出してすまなかったな。まずは私の自己紹介をしよう。私はこの人事局の局長を任されているイェーズン大佐だ」
流れ的に私も自己紹介をした方が良さそうだな。
「私は……」
私が自己紹介をしようとするとイェーズン大佐がそれを止めた。
「べつに自己紹介は構わない。君のことは知っているからね。それにシャドウのナンバーを与えるのを許可したのは何を隠そう、この私だからね。入団戦闘能力試験において現役のシャドウナンバーズのお一柱を倒し、魔力量をほぼ無限に持ち更にはスターズでもかなり少ない全属性持ち人事局で君のことを知らない奴はいないさ。話はされたがそろそろ本題に入ろう。今回君をわざわざ呼び出したのは、これからの配属先についてなんだ。まあ、ナンバーズ会議でもおそらく配属先は同じになると思うけど。配属先はスターズの上位部隊のひとつで、シールズの第一部隊に新しく新設される、第九班の班長になってもらいたい。班の人員はだいたい10〜20人規模の小隊となっている。ちなみに一つの部隊の規模はだいたい80人だが第一部隊だけは90人規模の中隊となっていてシールズ全部隊の規模はだいたい680人の大隊となっているな」
大、中、小、全ての部隊規模が大き過ぎるでしょうが。
そう思っていると伍長が。
「お話中申し訳ないのですが、ナンバーズ会議の準備が完了したため来ていただきたいとのことです」
「それじゃあな」
そのまま話しを終わらせて伍長とともに評議会が行われる会場へと向かった。
そしてその会場の扉はまるで日本の国会議事堂のような扉の造りをしてつい驚いた。もちろん顔には出してはいないが。
望月家の当主として何回か国会議事堂には行っているしその扉自体も飽きるくらい何回も見ている見間違えるはずがない。
扉の前には、警備員と思わしき者が二人立っていた。この二人は軍服のようだったがその腰には日本刀と思わしき物を挿していた。ていうか今更だが人事局長も同じ制服だったな。厳密に言ったら同じではなく階級章と思わしき物が少し違ったが。どう考えてもあれって階級章だよな。
私が知っている階級章のまんまならあの二人の階級は准尉だよな。
「人事局人事総合担当課のアラリ伍長です。ナンバーズ会議の招集によりシャドウNo.6様をお連れしました」
そう言うと制服の内ポケットから身分証を取り出したがそれに思わず声を出して驚きそうになってしまった。いやむしろこれで驚かないほうがおかしいだろうが。だってその身分証があまりにも警察手帳と似ていたからである。
警察手帳ならばストレージから取り出すことは可能だが当然ながらスターズには対応していない。
なんでストレージから警察手帳が取り出せるかだって?そりゃあ、私が元キャリア組の警察官だったからね。ちなみに所属は警察庁警備局警備企画課で、階級は警視だったけどね。
………!?ていうかまだ制服とか身分証とかもらってないんだけど!そう思ってこっそりと伍長にこのことを聞いてみると。
「その件に関しましては心配ご無用です。その事は他のシャドウナンバーズ様も含め十分にご理解なさってきださっているので安心してください」
なら良かった。
「私はこの扉の先へは入ることができませんので、こちらで待機していますね。それでは、手続きが終わりましたのでどうぞ中にお入りください」
そしてその扉はゆっくりと二人の警備の者達によって開かれていった。
この扉の先にこのスターズで最強称号を持つ者達が集結しているのかと思い、息をゆっくりと吐いて中に入った。
部屋の中に入るとそこは思っていた以上に広くおそらく空間魔法で広げているのか? そしてその部屋の中央には、大きな丸テーブルがと六人分の椅子が既に用意されておりその用意されていた椅子には私以外全員が既に座っていた。
「どうやら皆さんをお待たせしてしまったようで申し訳ありません」
「べつに構わない。それに我々がわざと遅れてくるようにしたのだからな全然問題ない」
「それじゃあ全員揃ったことだし、これよりナンバーズ会議の開催をここに宣言する」
とうとうナンバーズ会議が始まったと思った途端、一気にその場の空気が先程までの緊張感が他の人達から感じられなくなった。
なんで始まった瞬間に空気が和らぐのだろうか。
「そうか、お前は初めてだから知らないだろうが、確かにナンバーズ会議の開催を宣言した。しかしそれは表向きの言い方であってな。実際のところこの会議はただの話し合いの場となってはいるが一応最初と最後は形式的にやらなくてはならないからやっているだけだがな」
なるほど。だからさっきまであった緊張感がこうも一気になくなったってわけね。
「でも今回はただの話し合いと言うわけにはいかないんだ。理由はわかっていると思うけどまずは、お前さんの配属先や階級についてだ。だが配属先については、人事局長からもあったと思うからその配属先にしようと思うが異論のある奴はいるか」
見渡す限り誰もいないようだな。
「じゃあいないって事で配属先は人事局長と同じという事でナンバーズ会議もその配属先への配属を許可する。次は階級についてと思ったが、春人はまだNo.6、ソクショ以外とはあっことがないし階級の話の前に自己紹介でもするか。まあ、シャドウナンバーズは、ここにいる全員番号が違うだけだし、それぞれ自分の番号と本名そして階級を言ってくれ。それじゃあまずは俺からだな。俺はNo.1のソーラル・クリムゾン中将だ」
ソーラル中将の髪、瞳ともに明るい系の紅色をしている人で、制服からでもかなり鍛え抜かれている肉体だということがわかる。
「私はNo.2のカーラル・クラリウス少将だ」
カーラル少将は髪、瞳ともに碧というよりは、紫に近い色をしていた。
「私はNo.3のイレルリカ・タイガ、大佐よ」
イレルリカ大佐は、髪は少し白くボーイッシュな髪型で、瞳は明るい系の青色をしていた。そしてシャドウで二人しかいない女性の一人でもあった。
「俺とは入団試験いらいだな。まぁ、さっきも名前を言われてるし他のやつらよりかは知ってると思うが、俺はNo.4のソクショ・ダプシェ大佐だ。これからよろしくな春人」
ソクショ大佐は髪、瞳ともに薄い金色をしていた。
こいつは声が大きくて少し苦手なタイプである。
「私はNo.5のアリスロード・クリステル大佐です。一応貴方と同じく全属性持ちの神級魔術師なんですよ。これから同じシャドウ仲間としてよろしくお願いしますね。春人さん」
アリスロード大佐は他の人達と違いお淑やかな印象が持てる人で髪、瞳ともに桃色をしている女性だった。
神級魔術師って一体何なんだ?まぁ、そんな事は今はどうでも良いか。
それにしても、もう私の番か。少し早くないか?まぁいいか。
「新しくスターズに入りそしてシャドウNo.6となった。望月春人二等兵です。これからよろしくお願いします」
「そんじゃ、自己紹介も終わったことだし次の問題である春人の階級についてだ。今のままの階級ではシャドウナンバーズの威厳が少なくなりかねないし、直接命令も出しにくいためこのナンバーズ会議が持っている権限を使用して、春人の階級を8階級昇格させて少尉としたいんだが、これに異論のある者はいるか?」
「「「「意義なし!!」」」」
「満場一致で春人二等兵をナンバーズ会議の権限において少尉とする。尚、この階級の任命は今この時とする」
8階級昇進なんて聞いたことがないがいいのだろうか。
《少尉への昇進おめでとうございます。マスター》
《ありがとなシエラ。でもなんで不機嫌そうな声をしているんだ?もしかして、少尉への昇進が不服なのか?》
《はい。マスターならば少尉ではなく少なくとも少佐にするべきなのに。その方がスターズにとっても都合がいいはずなのになんで少尉なのかが、私には少しわかりません》
《8階級昇進でも凄いことなのに12階級も昇進してしまう
となにかと問題があるため少尉が妥当なんだよ》
《わかりました。先程はあのようなことを言ってしまい申し訳ございませんでした》
《べつに謝らなくてもいいよ》
シエラと頭の中で話していると。
「そうだ春人。シャドウナンバーズ同士は対等な立場だから、番号呼びじゃあなくて名前呼びやタメ口でも構わないことになっている。俺もお前のことは春人と呼ぶからお前も名前で呼んでくれ。実はもう一つ今回は議題があってな。それは春人の持っている武器についてでな。みんなそれなりに興味があってこっちでもそれなりに調べたんだがこの世界には見つからなかったんだ。もちろん開発中の武器も含めて。つまり言いたいのは、だいたいわかるな?お前はこの世界の人間ではないな?」
やばい、とうとうバレた!そう思って急いで言い訳を考えていると。
「なんか誤解させたようだな。べつにお前が異世界人だからとか気にしてないしそれにもうお前はこのスターズに有害な存在だとは思っちゃいない。それにスターズにとってお前はもう必要な人材となっているから安心しろ」
それなら良かった。
異界からの侵略者である、ドランクとかの件もあるから異世界人は討伐だ!!とか考えてそうだったからな。
なんだか少し安心したよ。
「それでな、お前が持っている武器でスターズに提出できる武器ってないか?ほらさ、スターズの軍備強化をしたくてさそのためにまずは武器から強化をしようと思ってさ」
提出できる武器って言ってもな〜。まあとりあえず、ストレージから何か取り出してみるか。
そして取り出したのはH&K社の『MP5』という短機関銃とその他には米軍などに正式採用されているベレッタ社の『M9』拳銃の二つを提出することに決めた。
「ところで提出した武器はいったいどこにいくんだ」
「武器開発部門の一つの技術課に行くんだが、俺達が見たかったのはドランクを倒したという例の武器だったんだが。それはないのか?」
ああ、カールズグスタフM2のことか。
「あれは威力が高いし素人にはとても扱えるような物ではないしも攻撃に失敗したら周りの人も巻き込んで下手をしたら殺してしまうからだからあれはちょと提出しにくくてな」
そう、私が所有している武器は確かに強力だ。
しかしそれゆえに危険性の高い武器もあったりするのだ。
だが、『MK2』という手留弾ならばべつに構わないだろう。
MK2破片手榴弾は、通称パイナップルと呼ばれ陸上自衛隊が装備している手榴弾である。
そしてその手榴弾をストレージから取り出した。
「これは?」
「これは『手榴弾』っと言ってな爆発物つまり爆弾だな」
「爆発の危険性はないのか?」
「あぁ、この安全ピンと言うものを抜かなければ少なくとも爆発する心配はない。これもついでに提出しようと思ってな。これならば扱いやすく仕組みも単純だから大丈夫だと思ってな」
「了解。これらをとりあえず技術課に持って行くから何かあったら悪いが直接技術課のほうに行ってくれ。それでなこの評議会が終わったら食堂にみんなでい行こうと思っているんだがお前も一緒にどうだ?」
「ああ、是非」
「それじゃあこれにて、ナンバーズ会議の閉会を宣言する」
宣言した瞬間全員が椅子から立ちどうやら本当にこのまま食堂へ向かうようだ。だがシャドウナンバーズ全員で行ったら目立たないか?」
「食堂は普段からよく利用しているからそこまで目立つことはないだろう」
そして全員が部屋から退出した。
その扉の近くにはアラリ伍長が待機しており私が少尉に昇進した事。
そしてこれからこのまま食堂に行くことを告げるとどことなく少し呆れたような顔になっていた。
「まったく、あの方々は毎回ナンバーズ会議が終わったらすぐに食堂に行こうとする。例え他の仕事があったとしてもですよ!そりゃあ私だって呆れ顔にもなりますよ。ええ!まぁとりあえず少尉への昇進おめでとうございます。食堂までのご案内が私の最後の役目となります。何故なら貴方が配属となるシールズは人事局ではなく作戦局の部隊ですから」
それからさまざまなことを話しながら食堂に着いた。
「それでは、私の役目はここまでです。あとは違う者が担当いたしますのでご安心ください。では、これで失礼します」
そう言うとアラリ伍長はそのまま去っていった。
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