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異世界転生術師  作者: 青山春彦
第3章 新たな仲間
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34話 支部での会議と訳あり商品の購入

 馬車を近くにあったベルン亭へと一旦置いておくことにした。もちろん、代金は払ってるからな。

 ベルン亭ならいろいろと話かけてくるだろと思うかもしれないが、ここにくる途中に私の分身体を1体ベルン亭へと向かわせて、事前に仕事の関係で王都には初めてだということにしているから内密に頼むと言っておいたのである。

 といった感じに馬車は一旦ベルン亭に置いて、私達は商店街の方へとやってきていた。


「じゃさっき言った通り、それぞれ日暮れまでは自由行動で、集合はここで良いよね?」

「問題ありません」

「同じく」

「それで構いません」

「それでいいわよ」

「それじゃ、また後で……」


 そこからは、みんなと別れて私は、西側の方へと向かった。

 しばらく歩き、店舗と店舗の間の狭い裏路地(うらろじ)をさらに少し歩いて、ベルンガ支部に着いた。

 そして、中に入り会議室へと案内された。

 会議室には、この支部の支部長やその他の各責任者が集まっており、その中にあったひとつの空席に座った。


「これで全員、(そろ)ったようですね。では、これより緊急会議を始めます。まず、お手元にある資料を見てください。皆も知っての通り先日、クラウディウス大公爵の御令嬢(ごれいじょう)、アルトリア・フォン・クラウディウス嬢が何者かによって拉致されそうになったが、幸いなことにその場にそこにおられるダークロード様によって阻止された。尋問(じんもん)の結果、拉致しようとしていた者は何者かの命令で動いておりこの犯人はただの捨て駒だった事は判明した。この命令を出した者はわかってはいないが、ダークロード様の見解では、獣人差別派の筆頭とも言える貴族である、ブラン侯爵の可能性が極めて高いとのことだ。その証拠として本部から別任務でこの国に来ていた諜報員が、このブラン侯爵の屋敷から出てきたこの黒フードの男が襲撃犯の特徴と一致した」

「お言葉ですが支部長、これだけではまだその襲撃犯だという証拠にはならないのでは?」

「確かにその通りだ。だが、今はその襲撃犯に接触する事は少し困難だ。その犯人は現在、ベルンガ城の地下牢の奥に厳重な警備の下、幽閉(ゆうへい)されておりその者と接触できる者も限られているからだ」

「では、他に証拠はないのですか?」

「それについては私から説明する。正面のスクリーンを見てくれ」

 

 スマホを使ってスクリーンに写真などを映し出した。


「現在本部では、このブラン侯爵を奴隷売買やその他の罪で捜査中だ。だが、税金を私有化しているものや、バルハラン王国のある民族から狩猟用の毒物を購入した契約書が見つかっている。おそらくだが、ベルンガ国王を暗殺しようとしているのではないかと思っている。現在は、その点も視野に入れながら本部は捜査を進めてある」

「それだけの証拠があるのであれば、拘束する事は可能だと思われるのですが?」

「確かにその通りなのだが、まだ肝心(かんじん)な誘拐と暗殺についての証拠がないため、それらの証拠が揃ってから逮捕する予定だ」

「その間に国王が暗殺されてしまえば、大惨事ですよ!」

「わかっている。だが必ず国王には生きていてくれなければ困るから、殺させはしない」

「そうですか……」

「では、この会議が終わり次第、捜査部隊を編成(へんせい)し本部の指示の下捜査にあたれ。以上、解散!」


 会議を終えてその場にいた捜査部隊に関わる責任者達は先に部隊編成をしに戻った。


「それにしてもいつその情報を?確か今貴方は民間人と一緒に活動をしていると伺ったのですが……」

「そんなもの思念伝達(しねんでんたつ)だけで充分だろが」

「そ、そうですね」


 春人は、さも当然のように話しているがこの思念伝達が現在できるのは少なくなってきている。

 理由は、通信機器の普及にある。

 それ(ゆえ)にそのことを知らない春人は当然のように話しておりその理由をなんとなく察した支部長のテツガ中将は思わず引きずった顔になった。

 

「私はそろそろ出るぞ?そろそろ何か買って戻らなくては怪しまれてしまうからな。それに少なくとも私がダークロードだと知っているトワは怪しむと思う」

「ちょっ、ちょっと待ってください。なんで貴方の正体を知っているのです!?」


 そりゃあそうか、普通の一般人ならば私の正体どころか、スターズの存在さへ知らないからな。

 テツガ中将が驚くのも無理はない。

 

「トワに正体を教えたのは本部の許可を得ているから問題ないし、あいつは意外と口が(かた)いから心配いらない」

「そうですか……なら良いのですが」

「そういうことだ。ブラン侯爵の件、本部の指示の下よろしく頼みますよ」


 そして街中に戻り店をどこか良い店はないかと探し周る。

 するとあるひとつの店に目が止まった。

 そこは、他の店よりも格式がありそうな煉瓦(レンガ)造りの建物だ。

 店の中に入るとそこにあったのは魔力付与(まりょくふよ)された武器や防具が多い。

 どうやらここは、『ベリラ』という魔導店(まどうてん)のようだ。


「いらっしゃいませ、ベリラへようこそ。失礼ですが身元を証明できるものはお持ちでしょうか?」


 そうか、確かここは貴族やその関係者だけが使用できる店だったな。

 クラウディウス大公爵家のカードを見せた。


「確認しました。それで本日(ほんじつ)はどのようなご用件でしょうか?」


 特にないのだが、さすがに何か目的がないと追い出されそうだし、買い物をしにきたというしかないだろうな。


「魔力付与のされた防具を買いに来たのだが、欲しい防具がないか見せてもらう事は可能だろうか?」

「かしこまりました。こちらへどうぞ」


 店員に案内され、店の奥にある防具コーナーへとたどり着いた。

 そこには、そこには(きら)びやかな輝きを放つ(よろい)から一般的に見れば安そうな革防具(かわぼうぐ)だがかなりの魔力付与のされたものだったりと様々な防具があった。

 ここら辺はアセドライン商会よりも取り扱いがすごい。

 やっぱり高価なだけあって貴族とかには人気が高く売れているようだな。


「ところでここにある商品は全て魔力付与されているの?」

「はい、例えばこちらの『銀翼の盾』は、重力魔法とかなり高い魔力防御が付与されており、特に重力魔法に関しては、盾に魔力登録をすることによってその持ち主は軽くなりますが、登録をしていない他の人物が持った場合かなりの重さとなります。ですので盗難防止に心配いらない商品となっております。そしてこちらの『竜の(うろこ)』は、筋力・破壊力増加の付与が(ほどこ)されております」


 確かにまあまあの魔力は感じるな。

 確か通す魔力が多ければ多いほど、効果が上がるんだったよな。


「それで、お客様はどのような商品をお求めでしょうか?」

「重くなくて、動きやすい防具が欲しいのだが……」

「では、こちらの革ジャケットなどはいかがでしょうか。こちらには、耐刃、耐熱、耐寒、耐雷の魔力付与が施されております」


 確かに性能的には悪くはないんだがな、流石にこのデザインは派手すぎて目立つ。

 もっと目立ち難いのはないかと辺りを見渡すと、店の(すみ)にかけられていた一着の黒いレンチコートが目についた。

 その黒いレンチコートは、ダブルブレス トベルト付き 長袖折り(えり)がついたものだ。


「このコートは?」

「こちらのコートには、耐刃、耐熱、耐寒、に加えて非常に高い耐魔の魔力付与が施されておりますが少々問題がありまして……」

「問題?聞く限り特に問題はないと思うんだがな」

「問題は耐魔の効果にありましてですね。実は、この耐魔の効果が発動できるのは装備されている方の魔法属性しか、発動することができないだけでなく、適性のない属性の魔法攻撃の場合その逆に倍化する一種の呪物(じゅぶつ)のような商品となっておりこう言ってはなんですが……あまりオススメできない商品で……」


 確かに一般的にみたら適性のない属性の魔法攻撃の場合その逆に倍化するなんてもの不良品と言われても仕方ない?のかも知れないが、まあ、どちらにしても全属性持ちの私にとって全然関係のない話なんだけど。


「これって試着できる?」

「どうぞ」


 うん、軽くて動きやすいしサイズも丁度いいな。それに黒という一色のデザインがまた良い。

 これは良いな、気に入った。

 ……てか、今更ながらいつも黒の服しか着ていない気がするな。まぁ良いか。


「これって、いくら?」

「こちらは、人気のない商品ですのでお安くなっていて、金貨13枚です」


 白金貨1枚と金貨3枚だな。

 それにしてもいくら不良品とは言えども、他の付与の効果を考えたら安くないか?

 まぁ、安いなら安いで良いんだけどさ。


「それじゃこれを買うとするよ。お代はこれで」

「白金貨1枚と金貨3枚、丁度お預かりします」


 早速買ったレンチコートを着て店の出口へと向かった。


「ありがとうございました。またのご来店をお待ちしております」


 頭を下げる女性店員に見送られながら『ベリラ』をあとにする。

 思いがけなく良い防具を購入することができたな。

 ただ適当に寄った店だったのにな……。

 それにこれだけ良いものを白金貨1枚と金貨3枚で購入できたのはかなりの収穫と言えるのではないかと思う。

『良かった』、『続きが気になる』などと思っていただけたのなら、評価やブックマークをしてくださると、嬉しいです。投稿日時はバラバラですがどうぞよろしくお願いします。

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