3話 スターズ入団試験
転移魔法によってスターズの本部の入り口前へとやって来ていた。
それを目にしてそこはもはや、言葉が出ないほど近代的な造りだった。
待て待てちょと待て!!いったんとりあえず落ち着け。まずは少し頭の中を整理しよう。えーと、確かこの世界って中世ヨーロッパあたりまでの文明レベルだったはずだよな……なのになんで、入り口に自動ドアがあるんだ!?しかも警備のやつらまで、なんで特殊部隊の戦闘服みたいなのを着ているんだよ!?
「試験には、少し準備があるため、そうだなぁ1時間ぐらいで大丈夫だとは思うがその間この施設を周ってみるといい。
まぁ、貴方一人ではなくて案内役が付くことになるけれども。その案内役はこの者だ」
「初めまして。私はアラリと申します。本日の案内役としてわからないところがあったりしましたら遠慮なく聞いてくれて構いません。それでは本日はよろしくお願いします」
「はい。それじゃあお願いします。早速なんですが、お手洗いはどちらにあるか教えていただけませんか?先程からその、我慢してて」
「わかりました。お手洗いはこちらですので私について来てください」
トイレでこっそりとメールを確認しないとな。
さーて、メールの内容はっと、えーと何々。
『突然のメール申し訳ございません。今回は貴方が使える魔法の機能などについて少しご説明しようと思いメールをさせていただきました。それでは、ご説明させていただきます。それと説明は五つにわけています。
・ストレージに入れたアイテムについてですが、ストレージ内で複製したいアイテムの具体的な個数を念じそして、
『複製』と心の中で唱えるとそのイメージした個数の分だけそのイメージ通りにコピーをすることができます。
・無属性魔法についてですがおそらく今使える魔法は【創造】【魔法創造】【複製】【消去】【探索】【改変】の六つの魔法を使えるようにしました。ですので、これらの魔法を上手く使いこなし、新たにオリジナルの魔法を増やしたり改造などをしてみてください。
・貴方には、特別にその世界に馴染んでもらうためと、貴方自身の負担を少なくするため『シエラ』というアシスタントスキルを差し上げますのでどうぞご活用ください。また、シエラには権能と呼ばれるものがありその権能は……『魔法詠唱破棄』『鑑定』『思考加速』がありこの思考加速は最大九十倍まで引き上げることが可能です。そして、貴方にはさらに『魔眼』と呼ばれる特殊な眼を与えたのですが間違えて『鑑定』を魔眼と権能を同時に付けてしまいました。まぁ、魔眼とシエラの権能では仕様用途や性能が少し違うのでその、いいかなぁと思ってしまって……。
・魔法の使い方についてですが、様々な魔法の能力や性能、使用方法などは貴方の記憶に直接植え付けたので多分大丈夫だとは思います。
・その世界でも、貴方は確かに最強の部類に入るだけの力を持っています。ですが、決して油断だけはしないでくださいね。今の貴方の力では勝てない相手もいますから。
………特に、『スターズ』という組織には』
メールはこれで最後か?
なるほど、スターズにはかなりの強さを持ったやつらがいるのか。
……流石にこれ以上長くいると怪しまれるか。
「待たせてしまってすみません」
「いや、べつに構いませんよ。それよりも先程、試験の準備が完了したとの連絡がありました。それでは、会場まで行きましょう」
そして、会場まで案内されて、試験を始める。
「これより、スターズ入団試験を開始する。また、受験者は自分の武器を用いての受験も構わないものとする。ただし、
刃がある武器の場合刃は落とすことまたその他の武器はもし
くは魔法は一撃で死亡するような殺傷レベルの高い攻撃はいっさいを禁止とする。そして今回貴方の入団試験の試験官はこの方がおこないます」
「よう、お前が今回の入団希望者か?早速だが始めるぞ。もしお前が俺を満足させられるだけの戦闘能力があれば戦闘能力試験はお前が負けても合格とするから安心していいぞ」
「あはは、ありがとうございます」
と引きずった笑顔で答えた。
にしてもこいつ随分と余裕そうだな。
自分が負けるとはこれっぽっちも思っていないなあの顔は。
その油断が後々後悔することを思い知らせてやるとしようか。
「それでは、これより戦闘能力試験を開始する」
その開始の合図とともに両者がお互いの剣をぶつけ合った。
こいつ、あれだけの大口を言うだけあってまぁまぁ強いな。だが、これだと私の方がまだ上だなっと。こいつの攻撃パターンは大体わかったしそろそろ終わらせるとするか。
そして、春人がある程度距離をとると凄まじい一撃を放ち、相手を吹き飛ばした。
「……!そ、それまで!勝者、望月春人。よって、戦闘能力試験を合格とみなす」
「あーいてて、お前強すぎないか。『シャドウナンバーズ』の一人でNo.4であるこの俺がわざわざ試験官として出てきたのにまさかこうも簡単に負けてしまうとは。これだけ思いっきり負けると逆に清々しいな」
シャドウナンバーズていうのはいったいなんなんだ。
そのことについて聞いてみると。
「あぁ、シャドウナンバーズの説明の前にまず、シャドウについてだが、このシャドウていうのは、このスターズ内において最強のやつに送られる称号であると同時にコードネームでもあるんだ。そして、現段階ではNo.5までいて、多分そのシャドウナンバーズの一人であるこの俺を倒したからお前もシャドウナンバーズの一人になれると思うから六人になると思うんだが」
……ていうかこいつ、スターズ内では最強の部類に入るのか?
とても最高神であるエルナント様が心配するような強さを持っているとは、お世辞にもとてもそうとは思えんが。
まあ、シャドウナンバーズも五人いるって言ってたしもしかしたら他の奴らが強いのかもしれないな。
まあ、今はそんなことはべつにいいか。それよりも確か次の試験は魔力量の適性検査だったな。
「それでは、これより魔力量の適性検査に移ります。では、この水晶に手をかざして魔力を流してください」
確か魔力の流し方はこんな感じでいいんだったよな。
そして魔力を流したその時、同時に水晶が砕け散った。
「……魔力の測定結果ですが、測定不能です。魔力が多すぎます。これは単に私の予想ではありますがおそらくこの人の魔力量はほぼ無限に近いのではないかと思われます」
担当の試験官にそう言われその試験官の顔はなんだか私に驚きと呆れが混じった顔を向けた。
「次の検査は魔法属性検査ですが、ちなみに貴方の属性はいくつですか」
「一応全属性ありますけど」
そう言うとハァーと少しため息をつかれた。
「……では、後ほど試験結果等を担当者が報告に伺いますので申し訳ありませんが待機していてください」
先程No.4と言っていたやつが私に話しかけてきた。
「そんなに心配せずともお前なら合格だろうから安心しろ。この俺が言うんだから大丈夫だ」
なんだよそれ。まぁ、こいつなりに私のことを心配してくれているのだろうか?
「ありがとう」
「ふん。なに、後輩を心配するのも先輩の役目だろが」
そんなことを話していると担当者がやってきた。はてさていったいどんな結果だったんだろか。
「率直に言いますと結果は合格です。そして、人事局より貴方にはシャドウのコードネームが与えられることが決定いたしました。それにしたがいシャドウNo.1様より緊急のナンバーズ会議が開かれることが同時決定致しました。ですので春人様もこの評議会に出席するようお願い致します」
なんで、合格してすぐにシャドウになるんだよ。
どう考えてもおかしいだろ人事局!?
「了解です。それで、そのナンバーズ会議はいつなのですか?」
「え〜とですね。その……約二時間後でして。申し訳ありません。何分急だったもので大変申し訳ありません」
二時間後っていくらなんでもなんでも急すぎるでしょ。
「あとそれと現段階での貴方の階級は二等兵となっています」
なんか、軍みたいな階級制度になっている気がするが気のせいか?
「ちなみに聞きたいのですが、スターズの階級はどのような感じになっているのですか」
「スターズの階級は二等兵から始まり、一等兵→上等兵→兵長→伍長→軍曹→曹長→准尉→少尉→中尉→大尉→特尉→少佐→中佐→大佐→特佐→少将→中将→大将→特将→元帥となっています」
なるほど、シャドウだからといってすぐに上位階級になれるというわけではないんだな。
それにしてもスターズの階級って軍階級とほぼ同じなんだな。
けれどもスターズ独自の階級もあるみたいだな。
「それでは、これから時間まではまず最初に貴方の寮の自室へとご案内しその後、人事局の方へと向かう予定となっています」
「それとちなみにですが本来下位階級の者はそれぞれ個人の自室を持つことはできず一部屋で四人の相部屋となります。なぜならそうしなければ部屋が足りなくなってしまうからです」
確かにスターズの構成員は確か一国の人数に相当するとか言ってたし仕方ないのか。
それにしても、シャドウナンバーズに選ばれると、たとえ下位階級でも自室を持てるのは正直ありがたいな。
知られたくないことは隠しやすいし。
「それでは早速ご案内致します」
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