27話 ギルドでの初仕事
朝起きて身支度を終え、朝食を食べるため食堂に下りて行くと、既にアイリスとトリスが食事をしていた。私も席につくとヒナタさんが食事を運んで来てくれた。
朝食はパンにブルーベリージャム、に野菜スープと朝食らしい朝食だった。
朝食を食べ終わり早速三人でギルドへ向かった。ギルドは街の中央から少し東側にあり、ギルドの中に入ると、一階は受付とちょとした飲食店となっていて、そこでは冒険者が酒を飲み騒いでいた。
おそらく今依頼を終わって飲んでいるのだろうか。
私達はそのまま受付カウンターへ向かった。
「ギルド登録をお願いしたいのですが」
「はい。かしこまりました。登録されるのは貴方だけですか?」
「いえ、この2人もです」
「わかりました。3名ともギルド登録は初めてでしょうか?」
「初めてです」
「でしたら簡単に冒険者ギルドの登録の説明をさせていただきますがよろしいですか?」
「お願いします」
「まず、ランクについて説明の説明をします。ランクは、上から順にS、A、B、C、D、E、Fとなっており皆さんはこの一番下のFランクからになります。続いて、依頼の受付内容はその冒険者のランクに分かれて受け付けます。まぁ、無理な依頼を受けるのを防ぐためですね。そして、依頼失敗の場合は、内容にはよりますがほとんどで違約金が発生しますので、依頼は慎重に選ぶようにして下さい。さらに複数回依頼に失敗し、さらにそれが悪質だと判断された場合、ギルド登録を抹消というペナルティも課せらます。そうなると、どのギルドでも再登録が不可能となります。その他にも、5年間依頼をひとつも受けないと登録失効になる、複数の依頼は受けられない、討伐依頼は依頼書指定の地域以外で狩っても無効、基本、ギルドは冒険者同士の個人的な争いには不介入。ただし、ギルドに不利益をもたらすと判断された場合は別……と、いろいろあります。以上で説明を終わらせていただきます。わからないことがあればその都度、係の者にお尋ねください」
「わかりました」
「では、こちらの用紙に必要事項をご記入下さい」
受付の人が用紙を3枚、私達に渡してくれ、必要事項を記入した。その内容は……。
自分の名前、得意な武器または魔法の二つだけだった。ただし、武器や魔法は記入しなくも構わないとあった。
受付の人が登録用紙を受け取ると真っ黒いカードをその上に翳して、なにやら呪文のような言葉を呟く。その後小さなピンを差し出し、それぞれ自分の血液をカードに染み込ませるように言われた。
言われるがままにピンで指を刺し、その指でカードに触れると、じわっと白い文字が浮かんできた。そこには、左上にFそしてその横には自分の名前と周りには闇属性の魔力紋が刻み込まれていた。
あれ、私って闇属性が得意なんだっけ?ま、いいか。
「このギルドカードはご本人以外が触れておりますと数十秒で灰色になる魔法が付与されております。偽造防止のためですね。また、紛失された場合は速やかにギルドへ申し出て下さい。お金はかかりますが、再発行させていただきます」
私のカードを受付嬢が手に取って、しばらくすると黒かったカードが灰色に変化した。再び私が触れると一瞬で黒に戻る。意外とちゃんとした仕組みを導入されてるんだな。
「以上で登録は終了です。仕事依頼はあちらのボードに添付されていますので、そちらをご確認の上、依頼受付に申請して下さい」
三人で依頼が貼り出しているボードの前に立つ。私らのギルドカードはF、初心者を表している。ランクが上がればカードの色とランクの表示が変わっていくらしいが、今はまだ初心者のFランクの依頼書しか受けられない。
私達はどの依頼が良いか考え込みながら、一枚一枚読んで検討している。
ゴブリン七体の討伐にブラックウルフ5匹の討伐などなど……。
「ねぇ、トリス。これどうかな?報酬悪くないし、始めのには良いんじゃない?」
「確かに悪くないと思う。……春人さんはどうですか?」
「う〜んこっちは特には無かったよ。そっちはなんかあった?」
「紅魔の森でこのグレーウルフ6匹の討伐。強さはそんなに心配いらないから私達でもなんとかなる、と思います……報酬は、銀貨1枚と銅貨5枚です」
「じゃあそれにしようか」
「わかった、受付に申請して来る」
アイリスが依頼の貼り紙を引っぺがし、依頼受付に申請しに行った。グレーウルフは、その名の通り灰色の姿をしたウルフ系の魔獣らしい。
銅貨合計15枚……3人で分けると1人5枚か。まぁ悪くはないのか?
その後武器屋へと向かった。ストレージに入っている武器でも良いと思ったが、銃とかを使うわけにはいかないと思い代わりとなる飛び道具(投げナイフ)などの暗器になりそうなのが売ってないかと思い行くことにした。
入口の扉を開くと、カランカランと扉に取り付けられた小さな鐘が鳴る。その音に反応してか、店の奥からのっそりと大柄な髭の中年男が現れた。
「らっしゃい。なにをお探しで?」
「ナイフとかってあります?」
「解体用ですか?」
「いいえ、暗器……投げナイフに使えそうなナイフなんですが」
「お客さん、暗器使いですか?でしたらこれはどうですか?」
試しに手に持って見る。特に問題無さそうだな。とりあえず10本くらい購入しておくか。
「このナイフここにある10本全てお願いします」
「金貨1枚ですね」
金貨1枚を手渡す。
「毎度ありがとうございます。もし良ければ他の武器も見てみませんか?」
「ちょっと、ここでそんなお金使ったら後に大変なことになるわよ」
「大丈夫だよ。お金にはまだかなり余裕があるから」
「なら良いけど。ほどほどにしておきなさいよ」
「すみませんが、今回はナイフを買いに来ただけなので。ですが、武器のメンテナンスならお願いするかも知れませんがね」
「どうぞ、これからもうちをご贔屓に」
武器屋から出て紅魔の森に向かった。道中、ふと気になったことを聞いてみた。
「ねぇ。ところで気になっていたんだけど、アイリスは格闘戦を得意にしているのはわかっているけど、トリスはどんな戦闘をするの?」
「私は、魔法を使った戦闘をします。一応火、水、光、の三属性の適正を持っていてちゃんと中級魔術師の資格は持っているんですよ。ほら」
そう言われ、トリスが中級魔術師の証明の一つである中級魔術師の杖を見せてきた。どうやら本当らしい。
「そう言う、春人さんは、どんな戦い方をするのですか?」
「私はほとんどだね。魔法も近接戦闘も遠距離攻撃もできるよ。一応魔術師の資格を持ってるよ」
「どの階級なのですか?」
「ちょっと待っててね」
そう言ってストレージから取り出そうとしたら……。
「それ、なんですか?」
「これは、【ストレージ】っていう無属性魔法だよ。あ、ちなみにこれ一応上級だからね」
「上級って、宮廷魔術師でも上位の存在ですよ。その階級をそんな簡単に言うと言うことはそれ以上の階級ということですよ。春人さん、一体何者なのですか?」
そう聞かれたのでそれを答えるためにストレージから神級魔術師のマントを取り出した。
「……!?もしかしてそれは、し、神級の!」
「そう。この間、この国で神級魔術師が出たという噂があったよね?」
「はい、たしかにそんな噂もありました。まさか……!」
「うん。その噂になっていた神級魔術師というのが他でもない、私のことだ」
「まさか、神級魔術師様だったとは……今までご無礼お許しください」
「今さら畏まる必要なんてないから。今まで通りで良いよ」
「ありがと。にしてもあんたが神級魔術師だったなんて驚いたわ」
まぁ、今 世間一般的には神級魔術師は、魔術師協会に登録されている魔術師の中でも数が圧倒的に少ないらしいから驚くのも無理ないか。
「まぁ、驚くのも無理ないから仕方ないけども魔法もできるが一応剣術や体術も魔法と同じくらいにはいけるから、私のことは気にせず君たちのやり方でやれば良いからさ」
「なんだか私たちの方が春人さんの戦闘の邪魔をしている気がするのですが……」
「大丈夫だよ。君たちは何も気にすることはないから」
「はい」
紅魔の森に到着し、森の中を散策しながらグレーウルフを探す。
ん?こちらに対して明らかに敵意があるな。この空気の流れ方からしたらおそらくウルフ系の魔獣だな。数は六か。グレーウルフか?
「二時の方向にウルフ系の魔獣の気配が六あり。アイリス、トリス。戦闘態勢に移行せよ」
「「え?」」
茂みからグレーウルフが6匹現れた。
出てきたのと同時に3匹のグレーウルフの頭にナイフを投げつけた。即死だ。
トリスたちの援護に行こうと思いトリスたちの方を見る。
「【炎よ集え、我が求めしは炎の槍、ファイアーランス】」
「吹っ飛びなさい!」
どうやら援護は必要ないみたいだし今の二人の攻撃で全部倒し終わったな。
「グレーウルフの討伐部位ってどこだったけ?」
「尻尾、です」
「ありがと」
そう言われて、討伐部位である尻尾をすべて切り落として、ストレージに収納し、ギルドへと戻った。
「はい、確かにグレーウルフの尻尾6本受け取りました。ではギルドカードの提出をお願いします」
カードを差し出すと、受付嬢はその上になにやらハンコのようなものを押し付ける。一瞬だけ魔法陣のようなマークが浮かんだが、すぐに消えた。後から聞いた話だが、依頼のランクにより押されるハンコが違うんだそうだ。カードには押されたハンコの情報が蓄積されていき、ある程度溜まるとランクが上がってカードの色とランク表示が変わるそうだ。
「それではこちらが報酬の銀貨1枚と銅貨5枚です。お疲れ様でした」
報酬を受け取り、早速3人で銅貨5枚ずつ分ける。
「初依頼成功を祝ってどこかで軽く食事でもしていかない?」
ギルドから出ると、アイリスがそんなことを言い出した。
考えてみたらお昼抜きだったことを思い出した。そう考えたら軽い軽食ならありかなと思った。
私達は早速、近くにある喫茶店の中に入ることにした。
「いらっしゃいませ。空いてる席にお座り下さい」
テーブルにあったメニューを見て頼む。
私が注文したのは、サンドイッチと水で、アイリスが注文したのは、リンゴパイとオレンジジュース、トリスは、パンケーキと紅茶を注文した。
この際だと思いアイリスに気になっていたことを聞いてみた。
「そう言えばさ、アイリスってなんか魔法使えたりしないの?」
「一応使えるわよ。私は、無属性魔法の【ブースト】ね。残念だけど使えるのはこれだけよ」
「そうなんだ。アイリスも【ブースト】を使えたんだ」
「も?ていうことは、春人も使えるの?」
「使えるよ。それ以外にも無属性魔法なら使えるしなんならその魔法の名前と能力さえわかれば、すべての無属性魔法を使うことができる。まぁ、こんなことができるのは元から私が保有している無属性魔法【魔法創造】と【複製】なんかのおかげなんだけどね」
「そんな魔法があるんならかなり便利ねぇ。無属性には例えばどんなのがあるの?」
「今言った【魔法創造】や【複製】の他に【サーチ】や【ストレージ】、さっき言った【ブースト】などまだあるけど説明するのも正直、言ったら面倒臭いからそこら辺は省かせてもらうよ」
「ねぇ、もし春人さえ良ければ一緒にパーティ組まない?」
一人で活動するよりかはパーティを組んで活動をした方があまり目立つ心配はないか。
「ああ。喜んで組ませてもらう」
「ありがとう」
「こちらこそだよ」
その後注文したものが運ばれてきてあれこれ話し合いながらゆっくりと過ごしたあと、宋花へと戻り、ちゃんとした夕食を食べたあと、部屋に戻って【ストレージ】からパソコンを取り出し今日分の提出用の報告書の作成&提出を終わらせて寝ようと思ったその時、突如電話が鳴った。
一体今何時だと思っているんだ?夜中の一時だぞ!
「ソーラルだ。突然ですまないが、明日仕事を頼みたい」
「まぁ、明日は特にないから別に良いけど、内容は何?」
「ベルンガ支部に行って、今お前のパソコンに送ったデーターを紙に印刷し直して渡してほしい。一応それ重要度レベル3だから扱いには気をつけろよ。それじゃよろしく」
そう言ってソーラルは電話を切った。
パソコンを確認してみると、確かにソーラルから重要度レベル3のデーターのところに送られてきていた。
この重要度レベルとは、スターズ内部の情報における重要度を表したレベルであり、このレベルは、一から五までの五段階となっていてレベル3がどれだけ重要度が高いレベルなのかがわかるだろう。
とりあえず紙に印刷して、とっとと寝た。
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