24話 新たな始まり
ここからは、二章目となります。引き続きご愛読の程、よろしくお願いします。
アリスや桜が支配級ドランクに殺されてから早くも二年が過ぎていたが、まだあの日のことを忘れることが出来てはいなかった。
そのせいか、私は以前よりもかなり仕事でのミスなど、仕事にも支障をきたすことが多くなっていた。
ドアのノックの音に気づき、開けて入ってくるように言い入ってきたやつからこれからシャドウ評議会を行うため来てほしいということだった。
私は仕事を急いで片付け、いつもの会議室へ向かった。
「これからシャドウ評議会及び五星使徒の合同会議を開催する。まず始めにいつも通りの定例報告から始める。まず、ソーラルから」
「こっちは前回と特に変化は無くまた、ドランクに関連する出撃件数は減少傾向にある」
「次にカーラルから」
「こっちも特に変わったことは無い。……だが、なんだか妙に嫌な予感がしてならない」
「そうか。では次に、イレルリカから」
「こっちも特に異常は無いわ。だけど先程、支部から空間の亀裂を確認したと報告があってね、とりあえず今は、その亀裂を常時監視をさせてる。何か異常があったら報告をするよう今は命じてあるわ」
「他に何か報告をすることがあるやつはいるか?いない様だな。ではこれにて合同会議を閉会する」
「あ、俺から少しある」
「なんだ?」
「春人、お前についてだ」
「私が、どうしたというんだ?」
「お前最近仕事に集中出来ていないよな?以前はあんなに仕事をきちんとこなしていたのに今では、仕事のミスが少し多い気がする。もしかしてお前、まだあの日ことを気にしているんじゃないだろうな?」
「だったらなんだと言うんだ」
「あの日のことは出来るだけ早く忘れろ。そうしなければ今度はお前が死ぬことになるかもしれないんだぞ」
「忘れろだと?ふざけたことを言ってるんじゃねぇぞ!!こっちは仲間というだけではなく、大切な妻と娘の二人を殺されたんだぞ。しかも、あの時私は近くにいたしすぐに助けることだってできた。しかし、支配級をアリス達に任せたせいで死んでしまった。あれは私が殺したようなものでもあるんだ。それを忘れろというのは不可能だ!」
「そうか。ならば春人の処分を決める。ここには今、全シャドウがいる。お前も知っての通りシャドウの半分以上が決めたことは例え元帥だろうと従わなくてはならない。つまりここの半分以上が決めれば、お前の処分が決まる」
「確かに最近、春人がなんとなく仕事のミスがあることは知っているわ。そろそろ私達も決める時なのかもしれないわね」
「私はどんな処分も受け入れるつもりだ。その処分を受けるだけのことを私がしたということなのだから」
「ならば早速言いたいと思う。俺が与えたいと思っているのは、元帥から特佐への降格処分、並び無期限の謹慎処分としたいと思うが、他はどうだ?」
「降格処分はともかくとして、無期限の謹慎処分は流石に問題があるのでは?春人が抜けてしまっては今後のドランク侵攻への対処が難しくなってしまうわ」
「確かにイレルリカの言う通り、無期限の謹慎処分はこちらにも影響を与えかねないとは俺も思う。だが、これはあくまでも表向きの処分内容で、謹慎という名の強制休暇みたいなものだ。気持ちを整理してもらうためにな。だが、ただで休暇を与えるわけにはいかないから、特別任務としようと思う。この世界で、冒険者として、冒険者ギルドに登録をし、一般人視点からこの世界を見てほしい。そうすれば我々が掴めなかった情報が掴めるかも知れんしな。どうだ春人、やってもらえるか?」
正直意外だな。
私はてっきり、もっと重い処分が下るものだとばかり思っていたが、これでは処分は実質一つではないか。
まぁ、この世界をスターズの人間としてではなく、普通?の人間として見るというのもありなのかもしれんな。
こっちとしても、どんな重い処分が下っても受け入れるつもりだったんだ、これくらい受けるに決まっている。
「元々、どんな処分だって受け入れるつもりだったんだ、その任務、喜んで引き受けたいと思う」
「それじゃあこの話しは、ここで終わりにして、次に元帥を決めなくてはな」
「後任の元帥についてだが、推薦したい人物が1人いる。そいつに任せたいと思っているのだが良いか?」
「そいつが、元帥にふさわしい理由が明確であるのならば構わないが、とりあえずは、その名前を言ってくれないか?」
「ああ、私が元帥に推薦したいと思っているのは、白夜お前だ」
これは、ずっと前から決めていたことだ。
自分自身でも最近仕事に集中出来ていないという自覚はあったし、もうそろそろ元帥を白夜に譲っても良いかと思っていたからな。
それに仕事以外でもこの世界を見てみたいと思ってもいたし、この話しは私にとって渡りに船だった。
「白夜を推薦した理由を聞かせてくれないか?どうせお前のことだ。ただ、自分の息子だからっていう理由ではなかろうて」
「当たり前だろ。元帥の推薦で私情を入れるわけないだろうが。まぁ、確かに白夜をずっと見ているからっていうのもあるが、ただ自分の息子だからっていうのは全然違うからな」
「わかったから。そろそろ、その理由を聞かせてくれないか?」
「そうだな。まず白夜は、下の者達のことを気遣うことが出来る。これは、指揮官としてはかなり重要な能力のひとつとも言える。次に、感情のコントロールが私よりも上手いことだ。緊急時においても冷静な判断を下すことが出来るというのは、これも先程と同じ様に指揮官としてはかなり重要な能力のひとつだ。他にも推薦する理由はあるが、主にこれら2つが私が白夜を推薦する理由だ」
「なるほどな。確かに元帥としての資格を持っているとも言える。これならば白夜が元帥になることは反対はしない。だが、問題がある。それは、元帥が特将中から選ばなくてはならないということだ。これは絶対に変えることができない『スターズ憲章』に記載されていることだ。んー、いったいどうしたものか……」
ならいっその事、白夜を特将にしたら良いのに……。
それでは、駄目なのか?
まぁ、とりあえず言ってみるか。
「あのさ、ちょっと良いか?」
「なんだ?」
「そのさ、白夜を一旦特将にしてから元帥に昇進させるのでは駄目なのか?」
「…………!!それだ!ナイスアイデアだな春人。それならば、スターズ憲法を守りながら白夜を合法的に元帥にすることが可能だ」
思いついてもなかったのかよ。
私はそう思い少し呆れてしまった。
こんなんで、この先大丈夫なのかな。
「ならそれで行くか。では、今から白夜を特将とし、明日から元帥とする。これは今いる全シャドウ同意のものである。……これでひとまずは、元帥の件は片付いたな。まぁ多分、春人が降格処分になったことや白夜が元帥に昇進したことは明日にはスターズ内でかなりの噂にはなるとは思うが、そこら辺は俺達がなんとかするしかないか」
「すまんな。私のせいでお前達にも迷惑をかける」
「べつに気にすんな」
「ありがとな」
「話しは変わるが、さっき話した特別任務についてなんだがな、明日から頼めないか?」
「べつに構わないけど、ところで私はここにはこれから来ては駄目なのかな?」
「来ても構わないが、ああ、そういうことか。報告するという名目もあるから来た方が良いのではないかということだろ?」
「まぁ、その通りだがそれに、自分の家にも帰っては行けないのかとも思ってな。来ても良いと言うのならば安心して任務に行けるな。それじゃあ白夜、悪いが今後スターズのことは任せたぞ」
実のところ、そこが気になっていたんだよなぁ。
今後は、電話等でのやり取りのみで、招集がない時は来るな。みたいなことを言われるんじゃないかと、内心心配していたから良かったよ。
「お任せください。元、元帥殿」
「ああ、頼んだぞ。それとソーラル、もう一つ聞いても良いか?」
「ん?なんだ?」
「今後の私の立場はどうなるんだ?」
「そのことならば、既に考えてある。お前の古巣の総隊、シールズ。そこの名誉総隊長になってもらいたい。この役職は、新たに創設したものでつまりは、お前専用の役職だ。そして、もうひとつの役職だが」
「まだあるのかよ。とても処分対象に与える様な役職ではないぞ」
「まぁ、そんな細かいことは気にすんな」
「細かい事ってな……まぁ、それも今更か」
「そう言う事だ。でだ、その役職だが、人事局監察課課長とする」
「……!ちょ、ちょと待て、今監察課て言ったか?しかも課長!あそこは、我々の管轄外だって言うことを忘れてはいないだろうな?それに、最高幹部である我々五星使徒でさえ、あまり口出しが出来ないんだぞ?」
「もちろん。忘れている訳ではないさ。それにこれは、ある意味でお前に丁度いい役職なんだよ」
「どういう意味だ?」
「これからお前は世界を周る。その時に支部のやつらとも会うかも知れない。ようは、支部の監視役も特別任務の内容に加えるという意味だ。これはただの監察官では明らかに階級が高い。だからと言って監察室に配属させるのも問題がある。だから監察課長にしたという訳だ」
「なるほどな。確かに筋は通っているな。わかった。支部のことも出来るだけやってみるさ。あともしもの際には、下の階級の部隊ならば私が自由に指示しても問題ないよな」
「べつに問題ない。だが、できればそれは、緊急時の時だけにしてくれよな」
「出来るだけ、な」
「……本当に頼むぞ?」
「なんで疑問形なんだよ。まぁ、いいや。とりあえず明日ここから出ようと思う。最初は、ベルンガ王国のアバリアの街に行ってからそこで冒険者として登録をし、アバリアを拠点に活動しようと思う」
「それじゃあ、決まりだな。あと、ついでに神級魔術師になってみたらどうだ?確かベルンガでは、今、参加者を募集していたはずだ。試験を受けて魔術師になったら活動をしてみたらどうだ?まぁそれはともかく、そうしたら明日から頼んだぞ」
「ああ、任せろ」
翌日、午前六時頃
「とうとう、この日が来たな。確かアバリアの近くに転移してから街に向かうんだったな。その服なら普通の人間に見えるから問題はないな。偶には帰ってこいよ。それじゃあいってらっしゃい」
「ああ、それじゃあ行ってくる」
座標をこの世界に初めてやって来たに目を覚ました、あの木のところにし、転移するために魔法名を唱える。
「【テレポート】」
そう唱えて、転移した。
また新たに、この世界での生活が始まる。
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