20話 緊急
私の力を自然と与えてしまっていた事はわかったが、それはそれで別に問題はない気もするし、寧ろ強くなれば任務での死亡確率が格段に下がるからありがたいな。
私が聞きたかったことやそれ以外のことも聞けたことだしそろそろ帰ろうかな。
「エレナント様」
「なんですか?」
「そろそろ帰りますね。あまり長居していたらエレナント様の仕事のご迷惑になるでしょうし、それに私も仕事がありますし」
「そうでしたね。こないだ会った時よりもかなり出世したのですから仕事も以前よりも多いんですよね。私も最高神に就任したときは随分と大変ですから、今の貴方の気持ちはなんとなくですけど分かりますよ」
へぇ、エレナント様って、最初から最高神だったってわけではなかったんだな。
「そりゃあ、私にだって新神時代くらいありましたよ」
いったい、エレナント様の新神時代はどんな感じだったのかが少し気になるな。
「と言っても私は、2代目の最高神なんですけどね。神にも様々いて、地上で育った者が神の力を手に入れ私や初代の最高神の許可のもとに神界の神となる者や最初から神界で育ち、神となる者の二択となります。私は後者の神界で生まれ育ったになります。ちなみに、私がまだ最高神でなかった頃は上級神の全能神という役職でした。ですので、現在は最高神兼全能神として活動しています。そして話を戻しますが、初代が神として許可した者で今現在も神を続けているのは私と時空神くらいですね。そのため、初代最高神を知っている者も今では少なくなってきてしまっていて猶且つ、この神界について詳しいのがいなくなってしまうのは忍びないです。それでですね、春人さん。もしよろしければ貴方も神となる気はありませんか?」
「残念ながら、私は神となる気はありませんよ」
「神となったら地上では出来ないことも出来るのですが、それでもなりませんか?」
今日は、なんかやけに迫ってくるな。
そんなに私のことを神にしたいというのか。
どんなに良かったとしても私は神になんてならない。
もし私が神となったとしても何千何万年の時が経てば、もしかしたら邪神となって脅威となってしまうかもしれない。
そうなってしまうかもしれないから私は神にはならない。
あんなのになるなんてまっぴらごめんだ。
「その申し出はありがたいのですが、先程も言った通り、私は神にはなりません」
「そうですか。わかりました。すみません急に変なことを言ってしまって」
「いえ、べつに構いませんよ。それにエレナント様のことも少しは聞けましたし。それでは、私はそろそろ帰りますね」
「はい。お気をつけてお帰りください。あ、それとアリスちゃんと子供達にもよろしくとお伝え下さい。と言っても春人さんの子供達とは未だに会ったことがありませんし、私が此処から見て知っているだけなんですがね」
エレナント様は、そうほくそ笑んだ。
そして私は、エレナント様に別れを告げて帰った。
と、まぁそんな勘違いをしていた。それに、地上にいる神は最初に本当の神界からそれぞれ担当となった地上の神界へと派遣という形で行くのだがそのほとんどの神は、下級神だったりその下の神なのだがそれをまとめる神として、中級神がその地上神界の最高神として君臨するってのが普通だ。
地球では、ゼウス神が中級神となる。
まぁ、そんな事は今はどうでもいいや。
話を戻して、とにかく私やアリスそして子供達がどんな感じなのかがわかったのはかなり大きかったな。
そんなことを思い出しているとアリスが尋ねてきた。
「あの〜、春人さん。急に黙ってどうしたのですか?」
「あ、いや、なんでもない。ただ、さっきの話しで思い出したことがあっただけだよ」
「思い出したこと、ですか?」
「ああ。前に母さんから聞いた話しを思い出していただけだよ。ああ、今思い出したんだけどさ、なんかアリスによろしくってさ」
「それ、言うのかなり遅くありませんか?」
「そこら辺は、勘弁してくれ。私もうっかり忘れていたんだよ。それと、いつか子供達とも会いたいって言っていて、もしみんなで会える日があれば教えてほしいとも言っていたな」
「みんなで休暇でもとって、会いにでも行くか」
「五星使徒とシャドウ評議会のメンバーが5人も一斉に休暇をとったら任務にも支障をきたす可能性がありますが。大丈夫なんですかね?」
「まぁ、そこら辺は、私の方でなんとかするからたぶん大丈夫だと思う」
「いったい何をするおつもりですか?」
「仕事をみんなの仕事を一気に片付けてしまえば良いんだよ」
「お言葉ですが、春人さんは元帥なんですよ。そんなことをしてしまえば他の者たちに示しがつきませんよ。それに今現在、一番仕事が溜まっているいるのは春人さんではありませんか。それでよく、みんなの仕事を一気に片付けるなんて言えますね」
「なんかごめん。それに溜まっているのは書類仕事だけだから、あの量だとそうだなぁ、二日で終わらせられるな」
「あの量を二日で終わらせられるのですか!?全く、本当に春人さんには敵いませんね。武力も知力も……」
そんなに思い悩んでいたのか。
そう思うのも当然か。 アリスは、私よりも長く生きそして私よりも長くこのスターズの五星使徒(旧シャドウナンバーズ)として働いてきたんだ。
それが、いくらこのスターズが実力主義の組織とはいえ、今でこそ私もスターズでは、古参の一人になったとはいえアリスよりも若い私が元帥となったうえにしっかりと元帥の仕事をこなしているんだ。
アリスがそう思ってしまってもおかしくない。
「アリス。私が言うと嫌味に聞こえてしまうかもしれないが、それでも聞いてくれ。スペックだけ見れば、確かに私の方が上かも知れない。だが、アリスの方が上のだってある」
「あなたより高いものなんてあるのですか?」
「ああ。私よりも情報収集能力が高いこと。家事能力が高いこと。子供達のことを誰よりも大切にしているところなどと、私よりもアリスの方がすごいところだってあるんだ。だからそんなに気負わないでくれ!」
そう、アリスに説得する。するとアリスが笑い出した。
「あははは。なんですか、それ。最初のふたつはまだ、私のことを励まそうとしているのはわかりますが、最後のは、ただの良いところになってますよ。でも、ありがとうございます。私を元気づけようとしてくれたのですよね」
「やっぱりバレてたか。だが、急に笑い出すなんて酷いじゃないか。こっちは、必死になって頑張ったってのに」
「すみません。ですが、春人さんのおかげで自信を取り戻すことができました。ありがとうございます」
「それなら良いんだけどさ」
どうやら本当に自信を取り戻したようだな。
そう楽しく笑っていると勢いよくドアを開いてやって来た人物がいた。
「き、緊急事態が発生しました!!」
「ノックをせずに入ってくるとはいったい何事だ?せめてノックをしてから入れ」
「も、申し訳ありません。お叱りは後ほど受けますので。ですが、今はそれどころではありません」
「それほどまでに慌てていったいどうしたと言うんだ」
「それが、ダンバタ王国付近のダンバタ砂漠の中央付近にてドランクの出現兆候あり!その数、1000は超えるもよう!!」
「なッ!?1000を超える程の数がダンバタ砂漠に出現すると言うのか!とりあえずわかった。この事は、他の五星使徒やシャドウ評議会には?」
「既に緊急通達済みです。そして、皆様には、大至急、大会議室に集結せよ。との連絡も受けております。至急、大会議室に向かって下さい!」
「ああ!分かった!!」
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