2話 異世界の大地
ここが異世界……なのか?
見た感じはそこまで地球と変わった感じはないけれども。
まぁ、とりあえず近くの村か街に行ってみるしかないか。
私はスマホを取り出しマップアプリを開く。
あ、やっぱりこの世界仕様になってるや。いや、むしろなってない方がおかしいし困るんだが。
そしてマップを見ると、ここがベルンガ王国という国の領内でさらにこの近くにアバリアという街があることがわかった。
そのままアバリアへと向かおうとも思っが……。
流石にこのままの服では目立つな
死んだ時のまんまだし、この服は向こうの世界でも目立つからなあ。
どうしたものか。と考えていると。
あ!そういえば確か無属性のなかに【魔法創造】とかいう魔法があるとか言っていた気がしたな。よし、とりあえず試してみるか
念のため、近くにあった木の影に隠れて【魔法創造】をおこなった。
そして完成した魔法の名は【服創造】である。そして、【服創造】で作った服に着替えて、まぁこれでそこらへんの一般人とはほぼ変わらない服装になったはずだ。
そして、街へ向かうとした時、突如として、空間が裂かれその亀裂の中から全身が真っ黒のまるで、土蜘蛛のような魔物(?)が目の前に現れた。
「空間が裂けるなんてことは普通ならありえない。ありえた
としたら、現世とあの世の狭間に異常が生じた時だけだ。だが、この世界では普通のことなのか?」
すると、そいつは自分の脚を使って私を串刺しにしようとして来た。
うおっと!危なかった。
どうやらこいつは知能が低いようだな。
「とりあえず、攻撃的な性格のやつみたいだな。それに近くには、マップで確認したがアバリア以外にも小さいが村もあったしここで倒した方がいいのは明確だな」
この世界に来て使えるようになった魔法の一つである無属性魔法【ストレージ】を起動させ『SFP9』という9mm拳銃を取り出しそいつへと何発か撃った。
しかし、そいつの身体 には傷一つ付けることが出来なかった。
SFP9は、ドイツの銃器メーカーであるH&K社が2014年に製造しその後、自衛隊に採用された自動拳銃である。
おいおい!いくらなんでも硬すぎだろ!この銃で駄目ならば……。
服の内ポケットから一枚の術式が刻まれた式札を取り出し術式を唱える。
『火炎の術式、豪火の術』
豪火の術は、火炎の術式の中でもかなりの威力をもっている術式である。
そこらへんの拳銃の弾丸よりも威力の高い攻撃だ。
いくら硬いとはいえ多少の効果はあるはずなんだが……。
だがそいつは、身体が少し溶けてはいたがそいつの核の部分までは、溶かすことが出来なかった。
「仕方ないか。効果はあるかはわからないけれどもあれを撃ち込んでみるか」
あれとは、『カールグスタフM2』である。
そのカールグスタフM2をストレージから取り出た。
ところでなんでこんな武器を持っているか疑問に思っているだろう。その答えは、私が元陸上自衛隊の一等陸佐の階級に位置し、さらにはそこの『特殊作戦群』、通称、『作戦群』または『S』などと呼ばれるところに所属していた経験がありかなりの武器なども扱ってきた為、ストレージの中には当時から扱ってきた武器やそれぞれの銃器の予備弾丸もたくさん入っているのである。
話しはされたが、そいつに試しに撃ち込んでみると、私の予想よりも効果があり見事そいつの核に届き砕くことができた。でもなんで『豪火』よりも威力が劣る攻撃のほうが効果が高かったんだ?
まさか、爆発系の攻撃が効果が高いのか。
そしてその爆発による強い振動による影響により核が砕けたのか?
まぁ、今はそんなこと考えても仕方ないか。
「やっと倒せたか。見た目は土蜘蛛にそっくりだが、こいつはやつより硬いしそれに普通の土蜘蛛に比べて、知能はかなり低いな。これで知能が高かったら多分勝つこと事態は出来たと思うが今の倍の時間はかかっていたかもしれんな」
そのようなことを考えたりしていると、その瞬間、黒ずくめのまるで身を隠すように服を着ていて、いかにもどこかの諜報部隊っていう格好をした人物(?)に話しかけられた。
「そいつは君が倒したのか?」
こいつらは、こいつについて何か知っているのか。それにしても、こんな見る限り怪しげな人物いったいどこに潜んでいたんだ。
これでも一応戦いながらでも周りの気配を察知することは可能なんだが一切気配がしなかった。
とりあえず冷静を装って答えた。
「だったらなんだというのですか?」
「あ、いやね、こいつを倒すことは普通だったらかなり難しいし、それに我々が君に声をかけたのは、君がさっきまで使っていた武器に関して興味が出たからなんだ」
「そちらの質問に条件付きで答えましょう」
「その条件とはいったいなんだ?」
「条件と言っても簡単なことですよ。ただ私の質問に答えてから答えるだけですので」
「わかった。その条件をのもう」
「話が早くて助かります」
「あなた方は何者なのですか?」
「我々はこの世界のどの国にも属さない諜報機関だ。まあ、君達が一般的に考えたら構成員の人数は一国とさほど変わらないのだけれどもね。そして、この組織名を『スターズ』という。我々はそのスターズの上級部隊に分類されている部隊のひとつから、ここで空間の歪みが検知されその歪みの調査そしてもしもこいつが原因だった場合はそのまま速やかに排除せよ。との命令を受け今ここに来ている」
「あなた方のことは、大体わかりました。けれども一つだけ。こいつはいったい何なのですか?」
「こいつは『ドランク』と呼ばれる全身が黒いスライム状の液体のようなもので出来ている魔物みたいなもので、こいつはこの世界ではなく異界からこちらの世界へと空間を裂いてやってくる。だが、こいつらを一般人に見つかったり知られて騒ぎにならないよう、我々がこれを密かに討伐し痕跡を消したりしているんだ」
……こいつらは何で、この世界ではこいつらにとって一般人に過ぎないはずの私に対して、こんなにもベラベラと喋っているんだ。
私はこいつらにとって一般人だと思われていないのだろうか?
《スターズについて僭越ながら私がお教え致しましょうか?》
!? なんだ、今の声は……気のせい、だよね。
《失礼ですね。気のせいではありませんよ。あ、失礼しました。私は、マスターが神界でお会いした女神、最高神であらせられるエルナント様によって創られました。これよりマスターであらせられる春人様のアシスタントを務めさせていただくアシスタントスキルの『シエラ』と申します。以後、よろしくお願いします》
《それじゃあ、早速で悪いんだけれども、スターズについて教えてくれる?》
《スターズは表向きには、この世界には存在しない組織とはなっていますが、実際には組織は存在しておりまた、その存在目的は、汚職をおこなった王侯貴族や悪徳商人などの暗殺やスターズにとって重要人物の密かな護衛まで、幅広く活動をしておりそして、暗殺をするまででない者は、国にその
者がおこなった犯罪の証拠などを匿名で提出し国に捕縛させることを目的とされているのが、スターズの表向きの内容です》
……さっきから表向きの活動って言っているがそれじゃあ裏、本来の目的はいったいなんなんだ?
……!まさか、さっきの異界からの魔物だというあの魔物の討伐。
いや、この世界で発生した空間の歪みの調査などが本来の目的なのか?
「そういえば、君はこんな場所でいったい何をしていたんだ?それに君が使っている武器についても我々は非常に興味がある。すまないが少し詳しい話しを聞かせてはくれないかな?」
《ここは、素直にこいつらの指示に従ったほうがいいのかな?》
そう、悩んでいるとシエラが
《ここは素直に、この者達の指示に従うべきだと推測します》
ですよねー。わかってましたよ。
「あの、一ついいですか?」
「何だ?」
「あなた方のスターズでしたっけ、それに入るには、いったいどうしたらいいのですか」
スターズに入れば、この世界の情報についてもいろいろとわかるはずだ。
「……スターズに入るには」
「ちょ!ま、待ってください隊長。一般人にこれ以上は流石に」
「ドランクをこんな短時間で、しかも、たった一人で討伐している時点で、ただの一般人ではないのは明らかだろうに。もしかして、お前達はこの者がどれだけ凄い存在だとわからないのか?」
「いえ!その者が只者ではないことは承知しております。ですがもっとこのも者を調査したうえでですね……!そういうことであれば、わかりました」
おーい、出来ればこっちにもわかるようにしてほしいんだが。何勝手に自分達で理解しちゃているわけ
「さっきの話しの続きだが、まず我々スターズの本部へ行きそこで様々な適性検査を受けた後にその他にも試験をおこない、結果次第で合否が決まり、また、その後にどこかの部隊の配属先かがこの結果で決まってくる」
そういえば、さっきからスマホにメールが来ているんだが今の状態から考えるとどう考えてもあの女神様が送ってきているよね。今すぐメールを確認したいところだけれども今見たら絶対にスマホについても聞かれるだろうし、はっきり言ってめんどくさい。
後でこっそりと見れば何の問題もないだろう。……多分。
「それじゃあ、我々スターズの本部へと行こうか。一応念のため目隠しはさせてもらうよ。あと、本部までは転移魔法を使って移動するためそう時間はかからないから安心してくれ」
そう言われると目隠しをされて、転移魔法によってスターズの本部へと向かった。
これからこの世界での生活が始まるのか。
そう考えながら異世界というワクワク感と未知の不安を覚えながらそいつらと一緒に転移魔法にて転移した。
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