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異世界転生術師  作者: 青山春彦
第14章 日常?3
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137話 冒険者ギルドからの使者と昇格依頼

 執務室で、机に向かって書類仕事をしていた。書類仕事と言っても、回って来た書類にハンコを押したり、サインを記入したりの事務作業がほとんどだが……。

 すると、扉からコンコンコンとノックが鳴った。そして、シリカさんが部屋の中に入って来た。


「失礼します陛下。お客様がお見えですので、至急、謁見の間までお越し下さい」

「分かりました。申し訳ないが、客人には、少し待ってもらうよう伝えて下さい」

「かしこまりました」


 今、やっている書類を急いで片付けた後に、着替えてから謁見の間に向かった。

 謁見の間に入り、玉座に座る。

 今回の謁見予定の者は、冒険者ギルド本部の幹部職員らしい。


「待たせてしまって申し訳ない」

「いえ。お忙しい中、このような場を設けて下さりありがとうございます。あ、申し遅れました。私は、冒険者ギルド本部から参りました、シャーリーと申します」


 あくまでも本名は、名乗らないらしいな。だが、鑑定眼を使った結果、彼女の本名がシャーリー・ブラウン・フェイラーンだということが分かった。本名を隠す理由が名前から予想がついてしまった。

 そして私は、思わず彼女のことを見つめる。


「エルフを見るのは初めてですか?」


 動揺を悟られないように、エルフの方の話題にする。


「いや、そうではないのだが、ハイエルフを見るのは何十年振りだったものでな。不快な思いをさせたのなら申し訳ない」

「いえ、それは構いません。ですが、よく私がエルフではなくハイエルフだとお分かりになられましたね。大抵の方は、普通のエルフ族と区別がつかないのですが……どこで気付いたのですか?」

「眼と耳だ」

「眼と耳……ですか?」

「ああ。普通のエルフの眼と耳は、色素が薄く、長いのが特徴だが、ハイエルフは、眼の色素が濃く、人間よりは長いが普通のエルフよりも短いのが特徴だ。このふたつの観点から、ハイエルフだと思ったんだ」

「そうでしたか」

「ゴホン!」


 すると、隣にいた、宰相の高坂さんがそうワザとらしい咳払いをする。忘れて話し込んでいる訳ではないからな。


「話が逸れてしまったな。それで此度は、我が国に何の用で?」

「この国に冒険者ギルドの建設許可をいただきに参りました」

「なるほど。確かにギルドは、必ずその国の国王の許可がなければギルドの建設をしてはならないという決まりが、ギルド同盟の条約にあったな」

「仰る通りです。したがって、陛下に許可をしていただきたいのです」

「許可しよう」

「ありがとうございます。それと、陛下にはもうひとつギルド本部から依頼があります」

「依頼?」

「はい。Sランク昇格試験の依頼となります」


 ほぅ。Sランクの依頼か。


「現在、冒険者ギルド所属のSランク冒険者は、ユースティティア騎士王国の先王陛下とフルア魔法王国国王陛下、そして長命種の方の3名のみとなっています」

「つまり冒険者ギルドとしては、私にSランク冒険者になってもらい、冒険者の価値を上げたいということだな?」

「おっしゃる通りです」

「では、謁見はこれにて終了とする。ただし、この後、別室にて依頼の話を行うこととする」


 別室にて……。


「では、依頼について聞かせてもらっても?」

「はい。この度、陛下……春人様に依頼したいのは、アンデッドドラゴンの討伐です。また、この依頼は、エルダーエルフが治めるエルフの国、フェイラーン王国が冒険者ギルドを介した直接依頼となっております」


 すると、隣に座っていたテレスが私に尋ねる。


「春人様。そのアンデッドドラゴンというのは、どういったものですの?」

「アンデッドドラゴンは、言ってしまえば、ドラゴンの死骸だ。だが、このアンデッドドラゴンは、アンデッドの中でもかなり強い部類に入る。特にアンデッドドラゴンは、生きていた頃の力をそのまま使えるが、既に死んでいるため、制御することは不可能だ。アンデッドドラゴンは、倒さない限り動き続けることになる。そして、アンデッドだから普通のドラゴンならば効果のある物理攻撃も全く効かない。効くのは光属性の魔法関連のものぐらいだ。あとは、頭を完全に破壊するとかぐらいだな」

「分かりましたわ。私もお役に立ちたかったのですが無理そうですね」

「拙者もですね」


 テレスと信女が残念そうにそう言う。まあ、この2人は魔法適正は無いしな。

 そして話を戻す。


「依頼の内容は、分かりました。では、その依頼を引き受けましょう」

「ありがとうございます。それと、今回の依頼は、Sランク昇格試験を兼ねていますので、試験官として、私も同行することになります」

「分かりました。みんなは、どうするって……聞くまでもなかったな」


 みんなの方を見ると、自分達も行くという雰囲気を出していた。まあ、婚約指輪に付与されている【ストレージ】の中にみんなは、武器なんかを収納しているみたいだし、このまま行っても問題ないか。


「一応言っておくけど、これは私の昇格試験だから君達は、手出しをしないでくれ。だが、もしもアンデッドドラゴン以外の魔物なんかがいれば、シャーリーさんを護ってくれ」

「分かったわ」

「分かりました」

「任せてくださいまし」


 シャーリーに地図を見せてもらうと、運良く行ったことのある場所だったので、問題なく【ゲート】でも行ける場所だった。


「【ゲート】」


 【ゲート】を開き、私達は、その場所へと向かった。

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