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異世界転生術師  作者: 青山春彦
第14章 日常?3
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136話 沿岸警備隊の新設

 同盟会議から数週間が過ぎ、各国の国際警察支部の建設が完了し、本部からそれぞれの支部に向けて、先日出発した。これで、情報収集や各国のドランクの対処や貴族の監視なども以前に比べて、かなり容易になった。

 そして、トワの国際警察本部本部長への任命式も先日行ったばかりである。


「トワ、調子はどうだ?」

「春人様。いらっしゃったのですか?」

「様子を見に来ただけだがな」

「そうでしたか。春人様……大変申し訳難いのですが……この書類手伝って下さい!!」


 机には、大量の書類の山ができていた。まあ、これを1人でやらせたら大変だろうし、少しなら手伝っても良いか。


「分かった。手伝おう」

「ありがとうございます!」


 私は、机から書類の山の半分をテーブルに持って行き、作業を始めた。


「なあ、トワ。これの来年度の予算のやつなんだが、なんでアースとベルンガで白金貨90枚分も違うんだ?」

「新部署の設立とその武装等の関係だそうです。確かそれに関する書類があったはずですが?」


 その書類を探すと、沿岸警備の部署の設立申請書とその詳細が書かれた書類を見る。


「沿岸警備の部署か……確かにアース王国は海に面している海洋国だからな。部署の設立は、許可しても良いんじゃないか?」

「ですがそれだと、アース王国の海上警備をしている海軍の仕事を奪うのでは?」

「その心配はないだろ。海軍も仕事の負担が軽減するならばそれに越したことはないだろうし、警備の数を増やせばそれだけ、海上で発生する事件や事故に早期に対処することが出来る。それにまだこれはスターズでも限られた者しか知らないのだが、ドランクは、海にも出現することがある。スターズの海上部隊は、このことを知っていて、アース王国の領海にも時々、戦艦などで見回りを行ったりしているんだよ」

「ならば、沿岸警備には、戦艦を配備なさいますか?」

「いや、あのサイズは流石に港に停泊できん。だから戦艦よりも小型の武装船を配備しようと思う。だが、そうなると、専用の軍港みたいな港が必要になってくるな」

「その為の予算増額です」

「つまり、国際警察でアース王国から軍港用の場所をアース支部の予算で購入するということか」

「その通りです」


 港に停泊させるのは、アメリカの沿岸警備隊の警備艇を配備させるのもありだな。だが、まずは場所の購入が出来なければ話にならないからな。アース王の所へは、私とトワ、そしてアース支部支部長の3人で行くか。


「トワ。明日、アース王にこの件の相談を行う。私とトワ、そしてアース支部長の3人で行くからそのつもりでいてくれ」

「明日ですか!?わ、分かりました。アース支部の支部長には、私の方から連絡しておきます」

「ああ」


 そうとなれば、急いで城に戻って、手紙を送らなくてはな。

 手紙を送ると、数分で返事が返ってきて、その内容は明日会うのは問題ないとのことだった。私が予算分を払って、後から、その分の金額をアース支部の方から回収すれば良いか。そうとなれば、急いで金の準備をしなくてはな。

 そして翌日……


「先にアース支部に行くんだったよね?」

「はい。先にアース支部の支部長と合流した後にアース城でアース王と先の内容の話し合いという感じですね。ところで今更なのですが、沿岸の警備部署の名称は、どうなさいますか?」

「そうだな……国際警察水上部門沿岸警備隊はどうだ?」

「異論はありません」

「なら決まりだな」


 【ゲート】を潜り抜けて支部に着くと、入り口前には、5人の人物がおり、1人は国際警察の制服を着ていることから、あの者がここの支部長で、あとの4人は、護衛といったところだろう。

 そして私達は、入り口前まで近く。


「トワ・ゼンフォート本部長と望月春人陛下ですね。わざわざお越しくださりありがとうございます」

「早速アース城へ向かうが良いか?」

「どうぞ」

「なら行くぞ。【ゲート】」


 アース城に着き、門番に城の中に入れてもらう。城内に入ると、使用人が応接室まで案内してくれた。

 その後、アース王が部屋に入って来た。


「待たせてすまんな。春人殿にトワ殿。それと……」

「この者は、国際警察アース支部支部長のタルスです」

「国際警察アース支部支部長のタルス・ライチと申します」

「そうか。今日は、昨日の手紙の件で間違いないだろうか?」

「間違いありません」

「港などを建設可能な土地がひとつだけある。春人殿の転移魔法で、この場所に転移を頼めるか?」


 アース王が、テーブルの上に地図を広げて、ある場所を指差す。その場所には行ったことがない為、【ゲート】は使えないが、座標は分かるので【テレポート】で、一旦私1人で行った後に、ここと【ゲート】で繋がれば良いだろう。


「私が一旦【テレポート】で、その場所に1人で行った後に、ここと【ゲート】で繋げますので、それならば全員行けます」

「分かった。それで頼む」


 【テレポート】で、地図で示された場所に転移する。その後、直ぐに【ゲート】を開き、こちら側に通した。


「アース王。許可していただける場所というのは何処なのですか?」

「そう急かすな。ついて来てくれ」


 アース王へとついて行く。そしてアース王について行くこと数分、何も整備されていない海岸へと着き、アース王は、その場で足を止めた。


「ここだ。ここならば、好きなだけ使って構わん」

「かなり広い場所ですが、他に使ったりしないのですか?」


 トワがアース王へ質問する。


「ここは、使われることのない場所なんだ。最初我が国でもこの場に軍港を建設しようとしていたらしいが、断念したらしい」

「理由があるのですか?」

「この場所は、工事を行おうとすると、事故が発生するんだ。そのあまりの事故の多発さから、現在の場所に移動したらしい」


 この場所に、何か呪いの類でもあるのか?少し調べてから作業をしよう。建てるだけならばあっという間に終わるが、呪いの類があるのだとしたら、崩壊の危険性もあるわけだからな。


「なるほど、分かりました。この土地はいくらで売っていただけますか?」

「ここを勧めたのはワシだが、本当に良いのか?」

「構いません。それで、いくらですか?」

「王金貨3枚分でどうだ?」

「買います」

「即決だな」

「なんせ、土地も広いですし、問題さえ解決すればかなり良い土地ですのでね。そのぐらいの値段ならば安いと思っています。金額の方は、アース城に戻ってからでもよろしいですか?」

「むしろ、ここで渡されても困る」


 というわけで、アース城へと【ゲート】で戻った後に【ストレージ】から王金貨が入ったジェラルミンケースを取り出し、中に入っていた王金貨を、3枚だけ残してあとの残りは、別なジェラルミンケースに仕舞った。


「確かに。それにしてもよくあれだけの王金貨を持っていたな。普通個人であれだけの王金貨を持っている者はいないぞ?」

「現在、世界中に流通している貨幣がどこで生産されているかご存知ですか?」

「いや、知らんな」

「昔の貨幣は、別なところで生産されていたのですが、文明が一度滅んだことがきっかけとなり、貨幣の製造、管理はスターズが行っているんです。ですので、スターズ職員にはかなりの給料が支払われます。私のような最高幹部にまでなると、1ヶ月の給料は、王金貨1枚になります。任務内容によっては、これに更に危険手当や特別任務手当や任務で必要な金額を全負担してくれるから、かなりの金額をスターズ職員は、もらっているな。まあその分、命の危険がある仕事なわけだがな」

「なるほど……って!ちょっと待て、スターズが貨幣の製造・管理をしていたのか?」

「そう言ったじゃないですか」

「私も流石にそれは初耳ですよ」

「だろうな。言ったことがないからな」

「スターズの貨幣の製造工場は、スターズの中でも重要度レベル5に指定されるほど重要な場所だから、その工場の場所を知っているのは、ごく限られた者だけだからな」

「春人様は、その工場の場所を知っておられるのですか?」

「それが残念?ながら、私はその工場の場所を知らないんだよ」

「春人様が知らないんですか?」

「いくら私でも知らないことぐらいある。私がなんでも知っているとは思わないでくれよ」

「は、はい」


 取り引きが終了して、支部長を支部に【ゲート】で送った後、直接海岸へと向かった。 

 海岸を少し調べてみると、やはりというべきか、その海岸には、建物などを建てると災難な目に遭うという呪いがかけられていた。しかもこの呪いは、既存する魔法の呪いではなく、術系の呪いであり、更にこの呪いは、掛けられてから何百年も経過するぐらい強力な呪いだったのだ。だが、幸いなことに、かなりの年数が経っていたから、呪いの効果も弱まっていて、今ならば簡単に解呪できる。

 これを仕掛けたのは恐らく、私と同じ異世界人の呪いの専門家とも言える陰陽師だろう。なんせこの呪いには、陰陽師が使う呪符が砂の中から掘り起こした箱の中にあったからだ。その呪いを解呪した後に、その呪符は、効果を失ったが、念のために焼却して、完全に使えないようにした。


「これで呪いが解けたのですか?」

「他にはなさそうだから……うん。問題なく解呪できたようだ」


 その後、【創造】で沿岸警備隊の基地を創った。買った場所が海岸といっても実際は、海岸とその奥も土地もだったので、かなり広い。その為、その土地も余すことなく使わせてもらうことにした。その結果、かなりなものになってしまった。どれぐらいの広さがあるかというと、大体、航空自衛隊入間基地と同じぐらいの大きさだ。

 当初の予定では、ただの基地の予定だったが、折角だと思い、滑走路も作って、航空機の離着陸もできるように滑走路も設置した。ついでに、LAJ501 ガルフファイブやMA725 ボンバル300、MH 691・692 スーパーピューマ225を基地に配備した。巡視船にもヘリは搭載しているが、基地内にもヘリはあった方が良いしな。それと、大型無人航空機シーガーディアンを10機配備することにした。


「何度見ても、春人様の【創造】は、凄いですね……」


 トワが呆れたような声でそう言う。

 ちなみに、この沿岸警備隊の保安署の大きさは大体、札幌第1合同庁舎ぐらいの大きさがあり、さらに地下5階まである。


「この敷地内には、沿岸警備隊の保安署や航空機の倉庫、管制塔の他にも、保安署職員の急病人や沿岸警備隊が海上で救助した要救助者の治療を行えるように、病院も建てようと思う」

「王都にあるような病院ですか?」

「いや、一応ここの扱いは、軍用施設だからな。専用の救急車も配備するし、病院には、医師免許などを持っている衛生兵を配属させるつもりだ。万が一の時には、衛生兵ならば最悪、民間の医師などよりは、戦闘ができるからな」

「なるほど、確かに一理ありますね。ですが、それは問題にならないのですか?」

「病院名も沿岸警備隊のだと分かりやすくするために、沿岸警備隊アース病院にする予定だ。だけども、災害などで、被害が酷い場合には、この病院も一般にも開放する予定だよ」


 そして、船舶用の倉庫には、空間魔法で中をかなり拡張した為、タンカーでも余裕で入ることができる。そして私は思った。タンカーも余裕ならば、大型船を配備しようと。

 そして、1番最初に思いついたのが、病院船だ。


※病院船とは、戦争や飢餓、大災害の現場で、傷病者に医療ケアのプライマリ・ケアを提供したり、病院の役割を果たすために使われる船舶。狭義にはそのうちジュネーヴ条約が適用されるもので、傷病者や難船者に援助を与え、治療と輸送を唯一の目的として、国が建造又は設備した船舶をいう。


 そして、病院船として採用したのは、世界最大級とされる“マーシー”である。

 とりあえず、そのマーシーを【ストレージ】内で、【創造】を使って創った後、【ゲート】を通じて倉庫にしまった。

 そして粗方(あらかた)、作業を終わらせることができた。


「これで、アース王国の沿岸警備の部署の件は、片付いたな」

「……ん?アース王国の?春人様、部署の話はアース王国だけですよ」

「それはそうだが、一応ヴァース支部にも沿岸警備隊を設置しようと思うんだよね。どうせ、しばらくしたら、アース支部みたいに本部に申請書が来ると思うぞ?なら、ついでにやってしまった方が良いだろ?」

「確かにそうですけど……まさか今からヴァース支部の方をやるとか言いませんよね?」

「流石に、もう夕暮れ時だし、今からやってたら深夜になってしまう。だからヴァース皇帝に許可をもらい次第、作業を行おうと思う。だから、今日のところはこれで帰るぞ。あ、誰も居ないと盗賊なんかの拠点として利用しかねないから、ここに配属予定の者達には、今日からここで働いてもらうとしよう。一応ここには、盗賊なんかが入って来れないように結界を張ってあるが、備えあれば憂いなしというやつだろう」


 そんな訳で、アース支部に【ゲート】を開き、支部長のタルスに話して、早速、大規模な移動が始まった。もちろん【ゲート】を使うため直ぐなのだが、荷物や車両等の移動に時間が掛かってしまった。

 移動が終わり、この保安署の署長に鍵を渡した。これで、終わったが、次は、ヴァース支部の方だな。とはいえこっちは、私が勝手にやろうと思った訳だが、

 そしてその数日後に、ヴァース皇帝から建設許可をもらうことができた。因みに許可が降りたスペースは、アース支部のと同じぐらいなので、アース支部のと同じ感じで建てた。

 ヴァース皇帝らが、視察だと言って保安署を見たいと言い、連れて行くと、保安署の敷地内を含めた施設などにかなり驚いていて、ヴァース皇帝から、技術を取り入れる時には、十分に注意してほしいと注意されたのは、また別な話である。

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