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異世界転生術師  作者: 青山春彦
第13章 建国
130/176

130話 開国祭(1日目)

 部屋の中に入ると、そこには、ベルンガ王ともう1人が座っていた。


「よく来てくれた。春人殿」

「呼び出したのは、そちらの方でしょうに」

「まあまあ。とにかくそこに座ってくれまいか?」

「分かりました」


 そう言って椅子に座る。


「それで、そちらの方はどなたですか?」

「春人殿は知らないのか?こちらは、アース王国国王の──」

 

 ベルンガ王が紹介している途中で、それを遮るように自己紹介をする。


「お前さんが、望月春人殿だな。ワシは、アース王国国王トラスト・ケーニヒ・アースだ。よろしくな」


 そう言ってアース王は、握手をして来た。なんだか正直、私が苦手なタイプだな。

 

「アルマー王国国王望月春人だ」

「……ふむ。ベルンガ国王が言っていた印象とは少し違うようだな」


 ベルンガ王は、私にいったいどういった印象を持っていたんだよ。


「ちなみにだが、ベルンガ王は、私のことをどういう印象でアース王に伝えたんだ?」

「スターズの最高幹部である五星使徒(ペンタグラム)の第2席で、何度も春人殿に助けられたとも言っていたが、それとは別に味方に付ければ頼りになる存在だが、逆鱗に触れれば国どころか世界さえも滅ぼしかねない存在なうえに、敵対した者に待っているのは、死すらも許されない地獄の日々を味わされるのだと聞いた」

「ベルンガ王。いくら私自ら世間に存在を公表したとはいえ、無闇矢鱈(むやみやたら)に私のことを話されては困る」

「申し訳ない、春人殿。春人殿の紹介をしようと思ったら思わず思っていたことまで話してしまった」

「もう良いですけど。それで、何のようなんですか?アース王と会わせるためにわざわざあんな手間をさせてまで来させたわけではないでしょう?」

「それはだな……」

「いや、ベルンガ国王。それはわしから言おう」


 アース王がベルンガ王が言おうとしたことを遮って、言おうとする。


「アルマー王国では、開国祭をまだしていないだろ?」

「そう言えばまだしてませんね」

「だから、今こそ開国祭を行わないか?それにな、ベルンガ国王と先程協議した結果、現在ベルンガ王国、アース王国、バルハラン王国とこの同盟への加盟予定であるヴァース帝国の4カ国をアルマー王国の国王である春人殿が新たな盟主となり、それと同時に新たな同盟名を春人殿に決めてもらいたいと思っている」

「なんで、開国祭の話からそうなるんだ!?」


 予想外の話に思わずツッコミを入れる。すると、ベルンガ王がその理由を説明する。


「それは、春人殿が新たに建国することなると、春人殿は自覚はないのだろうが、世界にもかなりの影響があるのだぞ。なんせ、スターズ五星使徒(ペンタグラム)第2席であり、我々よりも権限が高い神級魔術師、それも神級魔術師最強と言われる『魔剣の魔術師』がつくる国だ。我々としても春人殿が盟主となれば、この同盟にもかなり効果が出ると考えている。だからこうして、春人殿に盟主になってほしいというわけで頼んでいる次第だ。ちなみに、既にバルハラン王からは春人殿が盟主になるのに賛成するという返事をもらっている」

「用意周到ですね……分かりました。盟主の件、引き受けましょう。それと、開国祭の件ですが、招待するにあたって、何か希望だったりはありませんか?」

「そうだなあ。親交を深めたいな」

「では、多人数で遊べる物でも作っておきますね。それと、ベルンガ王。ついでですので、お聞きしますが、本当にエレン王妃を我が国の病院に入院するということでよろしいですね?」

「こちらも考えた末、そちらに任せることにした」

「そうですか、分かりました。入院手続きは、こちらの方でしておきますね。では、エレン王妃の搬送もこちらで行いますけど、構いませんか?」

「そうしてくれ」


 アース王がなんだか少し、不思議そうに思っているような顔をしていた。だが、説明が面倒なので、ここは敢えて無視して話を進めることにした。


「それで開国祭の件ですが、流石に今日明日でできるものでもありませんので、3週間時間をもらえませんか?」

「むしろ3週間で準備が出来るのか?」

「可能です。それと、当日は私が各国に【ゲート】で迎えに行きますので、アース王には、私が【ゲート】を開いても良い場所を頭の中に思い浮かべて下さい。その他の場所には、【ゲート】を開くことはありませんので」

「ああ、分かった」


 アース王が頭の中に思い浮かべる。


「では、失礼しますね。【メモリーサーチ】。これで繋がるはずです。【ゲート】」


 【ゲート】を開き、その中にアース王とともに入り、問題がないことを確認した後に、ベルンガ王国とバルハラン王国同士で手紙等のやり取りに使っている、私が作った魔道具を渡して、いつでも連絡が出来るようにした。

 そして、エレン王妃を病院まで搬送してから入院手続きを済ませて、例の襲撃もあったので、念のために病院の警備員の他にも警察省の警備局の警護課から数人のSPも配備した。

 そうしたことをしながら城へと戻り、今回のことをみんなに説明をした。


「なるほど、開国祭ですか……そう言えばまだ、建国したことを世間には、ちゃんとした形で公表はしていませんでしたね」

「その開国祭っていうのは、具体的には何をするの?」

「そうだな。基本的に城下では露店を出したりして、他から来る冒険者や旅人をターゲットにする。また、城の方では招待する各国の国王やその家族、護衛が来るから、しっかりともてなす」


 すると、トワが次のようなことを聞いてきた。


「あの、春人様。露店の商品や従業員はどうするのですか?」

「露店の従業員に関しては、『暗黒群(クラヤミ)』と『(しのび)』の合同部隊で頼むつもりだ。そして、露店のメニューは、歩きながら食べるなら、肉串や唐揚げ、ホットドッグ、ハンバーガー、たい焼き、たこ焼き、肉まんなど、座って食べたければ、オーメン(ラーメン)、カレー、焼きそばなど、お菓子関係なら、カステラ、クレープ、アイスクリームなんかを用意する予定だ」

「なんだか知らない食べ物が多いですね」

「まあ、スターズの食堂に出てる物もあったりして、スターズ以外で食べれているものは少ないはずだ」

「でも、作り方が分かりませんね」

「安心しろ。私が手本でいくつか作って、その後に他の奴らに任せるつもりだからな。最初から作れなんて言わないからな」

「作れるんですか?」

「忘れたのか?一応これでも調理師免許は持っているからな」


 この世界では、菓子職人のパティシエの資格などは、すべて調理師免許があれば問題ないのである。私はあまりスイーツは作らないが、作れないことはない。


「あの春人様!」

「急にどうしたんだテレス?」

「この開国祭が終わりましたら、私にお料理を教えてほしいですわ」

「それは別に構わないが……料理に興味があるのか?」

「元々お料理には興味があったのですが、なかなかお料理をさせてもらえなくて」


 そりゃあ、皇女なんだから料理をさせてもらえないのは、当然のことだと思うぞ。でも、本人の意見はできるだけ尊重したいし、テレスが料理をする際には、私や宮廷料理長のクリスさんが見ていれば問題ないだろ。


「せっかくなら、私が料理を作る時に見ていれば良いよ。今回は、各国から数多くの来客が来るから、どうせな、この国でしか食べられないだろうものを提供して、旅人を止めてこの国の経済を発展させていこうと思っているから、様々な種類の料理を作ることになる。だから、その時に学べば、君の中で一気に料理のレパートリーは増えると思うぞ」

「開国祭まで、3週間しかないから本気で準備に取り掛かる。だからみんなも協力してくれ」

「はい!」

「分かったわ」


 まずは、城の警備態勢について確認するか。

 そう思い、王宮警察本部へと向かい、本部長であるサラらに相談をする。


「なるほど、開国祭ですか。主な警備は、我々王宮警察が担当しましょう。その他には、城にある警備システムによる警備兵や警察省警備局のSPも警備に参加するように手配しましょう」

「ああ、助かる」

「給仕の方はどうなさるのですか?警備の方は余裕があるぐらいですが、給仕は、明らかに数が少ないですよね?」

「当日は、臨時で騎士団のシオンとリリスを、それでも足りない場合は、『暗黒群(クラヤミ)』や『(しのび)』の余った人員から何人かに頼むつもりだ。もちろん、その分の給料も支払う」

「それなら別に良いんですが」

「では、警備は王宮警察主体で頼んだぞ」

「お任せください」


 城の警備システムの警備兵は、病院の重装警備員とは違って、強さのランクはA〜B程度だ。そのため、余程のことがない限り、例え襲撃を受けたとしても、来客に気付かれる前に対処ができる実力を持っている。

 その後、城の中に戻り、遊戯的なのもあった方が良いと思い、とりあえず種類もあった方が良いということで、とりあえず思いついたのを片っ端から紙に書き出していく。その結果、思いついたのは以下のものである。

 麻雀、ダーツ、ビリヤード、ピンボール、卓球、チェス、エアホッケー、ボーリング、オセロ、将棋、人生ゲーム(この世界仕様)などのゲームだったり、安らぎたい人のために、スマホで調べた最新のマッサージチェアなどを会場となる遊戯室に設置した。

 それから、露店で出す料理を教えたり、各国要人に提供する料理も一緒に教えたりした。

 それらを終えた後に、ベルンガ城に行き、前に話していたエレン王妃を入院させるためにエレン王妃を病院へと搬送して、入院手続きをした。

 それから3週間後……。


「これで準備は完了したし、事前に告知していたから城下の賑わいも凄いな」


 それに、宿屋は国営にしたものを宋花の看板娘のヒナタさんをヘッドハンティングして来た。そして、店も建てようと思い、アセドラインに支店を出してほしいと頼んだところ、まさかの、こっちに本店を構えると言い出し、その準備などに2週間かかり、現在は、ベルンガと外観は同じにしたが、内装は、凝った作りになっている。

 アセドラインは、そのままこっちにいるようだし、何か頼みたい時には気兼ねなく頼れそうだ。


「それじゃあ、迎えに行くか。【ゲート】」


 【ゲート】を開き、それぞれの王とその家族、そしてその護衛を城に迎える。

 そして、全員を迎えに行き終えて、最後であるベルンガ王と一緒に城に戻り、遊戯室に全員を案内する。


「ようこそ。我が城の遊戯室へ」


 私が、一言そう言って、ベルンガ王が1番最初に遊戯室に入る。


「おおお! なんかわからんが楽しそうだな!」

「これは面白そうだな!」

「見たことのないものばかりだが、どれも楽しそうだな!」


 遊戯室に入るやいなや、ベルンガ王、アース王、バルハラン王が遊戯娯楽用品を見てそのように言う。

 だけども、護衛の者達は、至るところに配置されている警備兵に少し警戒しているようだった。ちなみに、武器は取り上げている。それに、もし攻撃魔法を発動しようとすれば、警備兵には、急所を避けた場所に容赦なく銃弾を撃ち込むように指示を出している。


「この遊戯室は、皆に楽しんでもらえるように、いろいろと取り揃えています。これらの遊び方に関してはウチの者に聞いていただけれは説明させてもらうので」


 エリア、トワ、アイリス、トリス、信女、テレスの他に、ラナさん、シリカさん、リース、マリアのメイドに加えて、露店以外で店をやらない『暗黒群(クラヤミ)』と『(しのび)』の余った人員から何人かと、さらにいつもはベリルベルにいるフェルやファーナもメイド服を着て仕事をしてもらっている。もちろん、その分の特別手当も出すつもりだ。


「そして、あちらには食事や飲み物、甘いものなどを用意しているので、ご自由にどうぞ」


 遊戯室の端に置いたテーブルには、様々な料理やお菓子が揃えられている。

 国王たちはそれぞれ気になるゲームへと散らばり、みんなから説明を受けていた。王妃、王女たち女性陣はお菓子の方が興味があるらしく、そちらの方へ集まっている。

 みんな楽しそうに遊んでるなと思い、私は一旦部屋の外に出て、少し歩いた先に飾らせている一枚の女性が描かれている絵画の目の前で立ち止まり、私はその絵画に話しかける。


「調子はどうだ?ラザニナ」


 話しかけると、絵画の中から顔だけ出して答える。


「はい、今のところ問題ありません。警備もかなり厳重ですね」


 ラザニナは、例の城砦の絵画から別な絵に移した本体がこれだ。そして、ラザニナの額縁を『万能工房』で複製して、しろにある絵画すべての額縁をそれにしたので、下手な監視カメラよりも優秀だったりする。ちなみにこのラザニナという名前は、あの城砦の名前がラザニナだったので、そのままその名前を使うことにした。


「あ、今フェルさんがお皿を2枚割りました」

「その調子で引き続き頼んだぞ」

「はい」


 遊戯室に戻ると、国王達が私とゲームで勝負したいと言って来たので、対戦相手となり、対戦をしてもちろん全勝した。

 そうやって国王達と親交を深めていると、夜も更けてきた。これで開国祭1日目が終わったな。


「では、全員一旦こちらにどうぞ」


 全員を外に案内する。そして、1日目を終了する花火が打ち上げられる。


「綺麗だな」


 ヴァース皇帝がそのように呟いた。


「あれは花火と言って、イシュタリカでは、祭事などに打ち上げられるものです。では、本日の開国祭は、終了とさせていただきます。それと開国祭は、明日まで行われます。また、3日後には、第1回同盟会議を行うので、同盟国の王は参加するようにして下さい」


 花火が最後まで打ち上げ終わるのを見て、その後に各国の者達を【ゲート】で送った。ちなみに、打ち上げ花火を担当したのは、ベリルシスターズだ。


「明日は、演説もあるし、一応演説内容を確認しないとな」


 自室へと明日の演説内容の確認に戻った。

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