13話 春人とアリスその2
私達は昨日アリスに改めて結婚を申し出て、そして今日、早速私とアリスの二人で籍を入れるために人事局の人事構成課に行って籍を入れに来た。
「シャドウナンバーズ様同士での結婚か。私が知る限り初めてですね」
「へぇ、私達以外のシャドウナンバーズ同士で結婚した者達はいなかったのか?」
「はい。今までのスターズの歴史の中では確かシャドウナンバーズ様同士が結婚をしたという話しは聞いたことが全くありませんね」
「それにしてもなんで、今まで私達以外のシャドウナンバーズ同士は結婚をしてこなかったんだろう?一組くらいいても良い気がするのに」
そんなことを疑問に思っていると、ソクショが話しかけてきた。
ソクショがここにいるのってんのは、なんだか珍しいな。
「珍しい場所で会ったな。しかもこれまたさらに珍しい組み合わせで会ったもんだな。春人が疑問に思っているのは確か。なぜ、シャドウナンバーズ同士は今まで誰も結婚をしてこなかったのか?だったよな。それを話すと少し長くなるかもしれないがべつに構わないか?」
アリスの顔を見ると構わないようだったので、ソクショから話しを聞いた。
「昔からシャドウナンバーズ同士が結婚をして籍を入れ夫婦となる者達は誰一人としていなかった。なぜなら、シャドウナンバーズは、基本的に他のスターズの構成員に比べて、役職や階級が高い者達も多く、とても忙しく、そして普通ならば、かなり危険な任務をシャドウナンバーズのメンバーが代わりに行かなくてはならないため、もし仮に結婚したとしてもただ結婚をして籍を入れただけになってしまう。そうなってしまったらあまり結婚をした意味がなくなってしまうというのもあるが、もしその夫婦の間に子供が出来た場合は、産休を半ば強制的に取ってもらう必要があり、もしその産休中の間にその者に当てられた任務もあったりした場合がある。そうしたら他の者達にも迷惑をかけてしまうのでは?と考えるのが多かったんだ。そのため、結婚するやつは今まで全くいなかったというわけだが。……ああ、ひとつ誤解はしないでほしいんだが、べつにお前らの結婚が反対だったり、してはいけないという意味ではないからそこら辺は誤解はするなよ。むしろ、これでも祝福しているぐらいなんだからな。あ!それと、他のやつらにもお前らが結婚をしたことをしっかりと伝えなければ面倒なことになるぞ。なんか、お前らをこっそりとくっつけようと計画していたしな。まぁ、そう言う俺もその一人なんだがな」
そんな計画を企てていたとはな……。
全く、私達はまんまとみんなの手のひらで踊らされてたのか。
今回は、アリスと結婚できたということで許してやるとするか。
それにしても、少し意外に感じてしまうが、それと同時になんだかみんなの気持ちが少しわかるようなわからないような気がした。
「みんなして暇なのか?そんな計画を立ててしまうとは。……もしかしなくても、私とアリスがお互いに好きだってこと、知られてたのか」
「もしかしなくても、あんなわかりやすい態度でむしろなんで逆にわからないと思ったんだか」
「そんなにわかりやすい態度だったのか」
「そうだな。例えば、お互いに時々無意識なのか目を合わせなかったり、そしてお前らいつも会うたびに心臓の鼓動が速くなったりその音が聞こえてきたりして、俺じゃなけじゃあ気が付かないくらい小さかったがな。そしてアリスロードがお前との合同任務を知ったときなんか珍しく喜んでいたりしていたしな。まぁけど、普通のやつならわからない程度だったから大丈夫だろう」
え〜、そんな。私なりには結構表情には出してなかったつもりだったんだが意外とわかるもんなんだな。
「で、結婚式はいつやる予定なんだ?」
結婚式て挙げられるの!?
そう思いついそのことをソクショに聞いてしまった。
「スターズでも結婚式を挙げることは、普通にできるぞ。なんなら、毎年必ず何組かは、挙げてるな。挙げる場合は必ず施設局の施設管理課に式場の使用届けとそして、人事構成課に結婚届けを出さないといけないんだが、どうやらその様子だとここに来て出したようだな。本当に今更だが、二人とも結婚おめでとう」
「「ありがとう(ございます)」」
そしてこの後、みんなにアリスと結婚したことを報告しに行った。
報告し終えるとみんなから祝福の声による雨が降り注いだ。
「「「結婚おめでとう」」」
「「ありがとう(ございます)」」
イレルリカがアリスに話しかけた。
「結婚おめでとう。アリス。私よりも先にするのは少し悔しいという気持ちもあるけれどもでも、それ以上にアリスが春人と結婚したという嬉しい気持ちのほうが大きいんだからね。改めて、結婚おめでとう」
イレルリカとアリスは、二人しかいない同じ数少ない女性シャドウ同士ということもあって、100年くらい仲が良いからな。
結婚するにはかなり遅すぎるんじゃないか?と、思ったやつもいるかもしれないが、スターズの構成員のほとんどが長命種なため、スターズ内ではまあまあ早いほうなのである。
スターズの人間種のほとんどが特殊人間か上位人間ではあるが光属性の魔法適性が高いアリスなどは、別な種族進化をし、聖人という種族へと進化している者が多い。
聖人とは、人間→聖人→仙人→聖神となっていて聖人になるのにもものすごい大変で、すごいことなのである。
また人間は、人間→特殊人間→上位人間→古代人間→究極人間→神族となっている。
だが、普通の人間が人間から直接種族進化をすることは、ほとんどないそうだ。だが、神族まで進化できた者は、歴代の元帥の中でもたった二人だけだったそうだ。
ちなみに私は、上位人間である。光属性の種族進化系に合わせると、聖人のなかに分類され。そして、究極人間は、仙人に分類されている。
まぁそれはさておき、そんな理由から結婚を急ごうとする者は少ないが子供を作って、そして、スターズの構成員を増やす目的で子供を多くするようにと言われている者もいる。
その理由は、戦闘時の戦いでは、ほとんど役に立つことのなかった者だったり人数が多くそして、抜けても問題が生じない者達が構成員を増やすようにとためであるからだ。
「そういえば、お前達って、結婚式はいつ挙げる予定なんだ?」
「まあ、今年中には挙げたいとは思っているけれどもまだ具体的な日程とかはまだ決まっていないかな」
「そうか。具体的な日程とかが決まったらまた教えてくれよな」
「わかった」
その後もいろいろと聞かれたりもしたり、その他にも少し揶揄われたりもしたけれどもみんなと楽しく過ごすことができた。
みんなへの報告が終わって、アリスと自室へと帰った。
アリスとはもう結婚届けを提出したため今日から一緒の部屋で暮らしても良いことになっている。そうして、部屋で今後の日程などを話し合ったりしていた。
「まずは、アリスの部屋から必要な物をこっちまで持ってきて、その後に結婚式の日程なんかを立てるか」
「はい。やっとあなたと結婚出来るのですね」
「そうだな。私との結婚は嫌か?」
「そんなわけないじゃないですか。私はむしろ嬉しいんですよ」
「そっか、なら良かったよ」
「全く。あなたは本当に心配性ですね。慎重なところはあなたの良いところだとは思いますが、それと同時にあなたの欠点の一つでもありますよ」
「それじゃ、改めてよろしくね。アリス」
「こちらこそ、不束者ではありますが、どうぞこれから夫婦としてよろしくお願いしますね。春人さん」
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