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異世界転生術師  作者: 青山春彦
第13章 建国
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128話 新たな臣下

 戻って来た私は、そのままこっちでの事後処理を早急に済ませた。


「代理総合司令官の任、お疲れ様」

「春人様。色々聞きたいことがありますが、最初にこれだけは言わせてもらえますね」

「ん、なんだ?」

「病院内であの戦い方は、いくらなんでもやり過ぎです!監視カメラのモニター映像でずっと見ていましたが、こっちの無線の声が聞こえないぐらいにあっちに集中していたみたいですが、春人様達の激しい戦いのせいで、病院が崩壊するかと思いましたよ!それに、戦いの余波がこっちまで来て、病院から半径4km圏内に避難命令を出す羽目なったんですからね!そこんところ、もう少し考えて戦って下さい。春人様の攻撃の威力は、ここら辺を余裕で吹き飛ばせるんですから」

「分かってる。だが、リゲルは私でさえ、少し本気でやらなければ勝てない相手なんだ。本来、リゲルと戦うんならば、あんな狭い場所でなく、もっと広い場所で戦うべき相手だ。この際だから、君も含めて『フェアラート』について少し説明しよう。だが、その前にここを片付けてからだがな」

「そうですね」


 その後も事後処理を進めてから、落ち着いたところで、ベルンガ王に訓練の予定が襲撃が発生し、その対処をした警備員などのほとんどが壊滅状態になったことを謝罪した。なんせ、これから自分の妻を入院させようとしている病院が襲撃にあい、あまつさえその対処する警備員がほとんど壊滅状態になったのだからな。だが、意外にもベルンガ王は、「アレは仕方なかったのだろう?」とあまり気にしていない風に言った。

 だが、なんで病院の情報が漏れたんだ?病院のことは、私やその一部の関係者やベルンガ王ぐらいしか知らないはずなんだがな。……少し調べてみるか。


「リリー、いるか?」

「ここに」


 私が呼ぶと同時に出てくる。


「病院の情報がどこから漏れたかを調べてほしい。情報が漏れる可能性があるところは少ない。だから、あまり時間は掛からないはずだ。だが『フェアラート』は、1級まで出して来た。捜査の際にはくれぐれも注意しながら行うように」

「承知しました」


 そして再び戻って行った。


「トワ。ここもそろそろ良いだろうし、城に戻ろうか」

「はい」

「それと、ベルンガ王には申し訳ありませんが、今日は【ゲート】でベルンガ城にお送りしますので、話はまた後日ということでよろしいでしょうか?」

「ああ、構わない」

「ありがとうございます。【ゲート】」


 【ゲート】でベルンガ王をベルンガ城に送り届けた後、その【ゲート】をアルマー城に変えて潜り、城に戻る。

 私は、みんなを集めて今日起こったことと『フェアラート』について話す。


「今日、病院で実践訓練を行なってその終了しようとしていたタイミングで、別の入り口から『フェアラート』が襲撃し、警備員のほとんどを壊滅状態に追いやった。だが、私達が現場に向かったことによって建物等に損害は与えたが、被害は最小限に抑えられたと思っている。だが、『フェアラート』は1級を出してくるほど、今回の襲撃は本気だった。そこで疑問が残るのは、いつ、どこで『フェアラート』に病院に関する情報が漏れたかだ。情報が漏れる可能性は限りなく低いははずなのに、何故か知られていた。だから今、『暗黒群(クラヤミ)』に情報漏洩したのがどこなのかを調べてもらっている。まあ、今はそんなことは良いか。それで、今君達に集まってもらったのは、『フェアラート』について話そうと思ったからだ。君達は、テレス以外佐官以上の階級の上位幹部に含まれる階級だから話せる。テレスは、まあ、聞いたところでもう別に構わんだろ。それじゃあ話させてもらうね」

「何故、『フェアラート』の話をするのんですの?」


 テレスが不思議そうに聞いてきた。


「この国に建国から少ししか経っていないにも関わらず、『フェアラート』の1級率いる部隊が襲撃して来た。だから少しでも『フェアラート』のことを君達にも知ってもらおうと思って集まってもらったんだよ」

「それを聞いて、私達にどうにかなるのですか?」

「君達の実力なら精々3級、良くて2級の()程度ぐらいが限界だろう。だが、君達の実力は、私が出会った時よりも確実に強くなっている。それこそスターズの下位構成員よりも強い。だが、1級は次元が違う。ところで、手配階級がどのような基準で決められるか知っているか?」

「罪の重さでしょうか?」


 私の質問にトリスが答える。


「普通の手配犯ならばそのように付けられるだろう。だが、スターズの手配階級というのは、そいつの強さによって決められる。例えば、A〜Bランク冒険者複数人でやっと相手ができるのが3級。Sランク冒険者や国が総力を上げて相打ち出来れば上出来と言えるのが2級。五星使徒(ペンタグラム)レベルの者でしか対処できないのが1級という感じで分類されている。これから言うのは、私が聞いた『フェアラート』についてだ」


 私が真剣な表情で話すと、みんなも固唾を飲んで聞いた。


「まず、我々スターズが『フェアラート』の目的だと思っていたのは、この世界の征服もしくは世界の実質的な破壊だと思っていた。だが、先日捕らえた1級のリゲルから聞いた話だと『フェアラート』の根本的な目的は、我々スターズと同じだが、その存在はスターズ組織の崩壊だ。現状スターズが『フェアラート』に全勢力で来られると、負ける可能性がかなり高い。正直、なんで直接スターズ本部を襲撃しないのかが分からないんだよ。だから『フェアラート』から目的を聞けたのは、思いがけない収穫だったよ」

「それで?あたし達は、それを聞いて何をすれば良いの?」

「特にこれといってはないな。ただ、伝えておこうと思ったから伝えただけだからな」

「え!?そうなんですか!?」


 アイリスに聞かれたことに答えると、トリスがそのように驚く。


「さっきも言ったが、君達がどうこうできるレベルの問題ではない。今君達は、スターズの佐官階級の権限ぐらいで実力の方は正直言って『フェアラート』に対抗できる戦力とはとてもじゃないが言えない。まあ、私が言えるのはここまでだな」


 それにしてもなんか忘れてるような……あ!思い出した。プロキオンとベテルギウスへの仕事の任命をしようと考えていたんだったわ。


「プロキオン、ベテルギウスいるか?」

「「ここに」」

「先日、君達に話していた役職が決まった。この場で君達の身分証も渡す。まず、君達には王宮警察本部の本部長及び副本部長を任せる。では、言っていくぞ。まずプロキオン。前へ」


 プロキオンが私の前に来て膝をつく。


「其方に、王宮警察本部本部長の身分を与える。また、階級は警視総監とする。また、本日よりプロキオンのコードネームをスターズへ返還し、本名であるサラ・ドーベルを名乗りなさい」

「拝命致しました」


 警視総監は、警視庁のトップの階級だが、この世界ではそんなものは存在しないので、私が自由に決めることができる。私が考えた警察階級は、地球とは少し変わる部分もある。階級は下から順に、巡査、巡査長、巡査部長、警部補、警部、警視、警視正、警視長、警視監、警視総監となっているが、そもそも警察は、警察省という形でまとめたため、警視庁そのものが存在しないので、警視庁のトップという概念そのものがない。だから、私は、警視総監を警察省のトップとしているが、他の省庁違い、警察省だけは、大臣ではなく長官という呼び名であり、警察の中から選ばれるという風にした。また、警視総監は警察省長官と王宮警察本部本部長のみに、アルマー王国の国王が警視総監に任命する権限を持つといった内容を警察法に記載している。この国の法律の話は少し長くなるから別の機会に話すか。

 次は、ベテルギウスか。


「ベテルギウス。前へ」


 ベテルギウスが私の前に来て膝をつく。


「其方に、王宮警察本部副本部長の身分を与える。また、階級は警視監とする。また、本日よりベテルギウスのコードネームをスターズへ返還し、本名てあるカナデ・グレンジャーを名乗りなさい」

「拝命致しました」


 2人が身分証を受け取り、場所を伝えると、すぐさま行ってしまった。

 そうして、少し休憩と思い紅茶を一口飲んだ瞬間に、扉がコンコンコンと鳴った。

 

「どうぞ」

「失礼します」


 ラクアスさんが扉を開けて中に入る。


「用件は、何ですか?」

「お客様がお見えです」

「来客?そんな予定は入っていなかったはずだが?」

「それが、どうやらイシュタリカから大規模な人数で来たようで、旦那様に謁見を求めております」

「分かった。相手側にはすまないが、少しだけ待っていてもらってくれ」

「かしこまりました」


 私は急いで、謁見用の服に変えて謁見の間に向かった。ちなみにだが、謁見の間は、謁見がある際には、両方の壁にびっしりと20式5.56mm小銃などの銃等を装備した者達が並んでいる。これは、謁見の際に国王の権威として、この国や私に攻撃などをすると、どうなるか分かるな?という意味も含めて配置している。また、出入り口にも2人配置されている。

 また、私には護衛は必要ないのだが、こういった正式なものは、護衛がいた方が良いのだとエリアやテレスが教えてくれた。あの2人は、王族な訳だし、こういったところでは正直助かる。なんせ、こういった感じの王族のイメージっていうのは、アニメや漫画ぐらいの知識しかないから、リアル王族に聞いた方が早い場合が多かったりする。

 そして、謁見の間には、5人が膝を着き、首を垂れている状態でずっと玉座の方を見ていた。ずっとあの体勢だったのか!?

 私は、玉座に座り、護衛の2人は玉座の左右に立つ。そして5人に言う。


「面を上げよ」


 そう言った瞬間、全員見覚えのある顔だった。


「久しいな。息災でしたか?」

「はい。おかげさまで」

「ならば良い。して、四天王や忍びの長である菖蒲が何故この国へ?」


 そう聞くと、高坂さんがその理由を説明する。


「あの事件の後、神皇王陛下より新たな領主にお館様のご子息の義信様が任命されたのですが、税金を極端に上げて、領民を苦めて自分の私腹を肥やしたり、他領に侵略しようとしたりなどやりたい放題で、それによって流石の神皇王陛下も看過できないと感じ、義信様を拘束し、武田の領地は没収となりました。そのため、我々は神皇王陛下にそのまま仕えるのも悪くはないとは思いましたが、春人殿に仕えた方が面白そうだということで、四天王会議で決定しまして、我々四天王と忍びの一族全員がこの国に仕えるべく参りました」


 そう言って再び全員頭を下げる。


「それで人数は、どれぐらいなんだ?」

「武田忍びが子どもを含めて82名、そのうち大人が48名です」

「まあまあの数がいるな。全員を雇うこと自体は可能だが、流石に全員をこの城に駐屯させることは難しいから君達5人がこの城に住み込みで働くという形にしたいが構わないか?」

「構いません」

「ならば、身分証を用意しよう。別室に移りますので、付いて来てくれ」


 5人を私の執務室へ連れて向かい、身分証をそれぞれに渡した。

 加藤菖蒲には、『暗黒群(クラヤミ)』とは違う諜報部隊である、アルマー王国近衛騎士団特殊諜報部隊『(しのび)』の隊長の身分。高坂昌信には、武田で信玄の補佐をしていたという観点と、なかなかに優秀な点からアルマー王国宰相の身分。馬場信春には、剣の腕からアルマー王国騎士団指南役兼近衛騎士団第二階級騎士の身分。山県昌景には、馬場と同じくそ剣の腕からアルマー王国騎士団指南役兼近衛騎士団第二階級騎士の身分。内藤昌豊には、インフラ整備などが得意ということから、農業土木・一般土木・建設・整備関係最高責任者の身分をそれぞれ与えた。また、内藤のみ、国土交通省所属として、あとの4人は宮廷所属とした。

 そして、私は外に出て、『(しのび)』に所属する大人達には、第ニ階級騎士の身分を与えた。表立って諜報部隊の隊員だと明かす訳にはいかないから、表向きには近衛騎士団の第二階級騎士とした。それと同じく、菖蒲にも『(しのび)』の身分証とは別に近衛騎士団の第一階級騎士の身分も渡した。また、子ども達には仕事をさせる訳にはいかないから、国民であるという証明証として身分証を渡した。ちなみに身分は当たり障りのない平民にした。

 あとは、これだけ人数が増えるとなると、やはり飲食店などの食べ物を販売する店なんかは早々に建てた方が良さそうだな。だが、出来れば総合的な店の方が後からやってくる者に店を開かせるよりだったら、信用のある者に任せたいし、やはりここはアセドラインに相談をして、この国にも支店を出してもらうよう頼むか。

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