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異世界転生術師  作者: 青山春彦
第13章 建国
125/176

125話 国立病院にて

 私は、先日我がアルマー王国騎士団本部所属となった3人と手合わせをした。

 シオンとウィルズは剣、リリスはその見た目に反して、ポール・アックスと呼ばれる長い柄の先に、剣、戦斧(バトルアックス)、ハンマー、スパイクなどをつけた武器を得意としていた。軽くやったが3人がかりとはいえ、私が少し本気の力を出さなければまずいと思うぐらいの実力があった。この先、鍛錬を続ければ、この世界でも有数の実力者になるだろう。 


「見事だ。これだけの実力があれば、そこら辺の国の騎士よりも実力がある。それだけは誇って良い。だが、騎士としてはまだまだ新参の身だ。困難という大小様々な壁に打ち当たることもあるだろう。そんな目の前に現れた壁は、例えどんなに時間がかかったとしても、誰かを頼ったとしても、いつか君達はその壁を乗り越える……いや、ぶち壊すことができると信じている。これからも時間がある時には訓練ぐらいなら見てやるからしっかりと鍛錬に(はげ)めよ」

「「「はい!」」」


 私はそう言って、屋外訓練場から城内の執務室へと戻る。しばらくの間、建国に関する書類仕事などを片付けた後に、例の答えを聞くため、エリアを連れて、【ゲート】でベルンガ城へと向かった。


「お久しぶりです。ベルンガ王。そしてエレン王妃」

「久しぶりだな。春人殿」

「お久しぶりです。春人さん」

「エレン王妃はどうやらお元気そうでね」

「ええ。おかげさまで」

「それにしても、エリアが私に初めて告白した時にベルンガ王が言った、後継ぎの話がまさかここまで早く解決するとは思っていませんでした」

「それで?春人殿、まさかそんな話をするためだけに忙しいであろう時に来たわけではあるまい」

「話が早いですね。先日、エリアに頼んで送った、我が国の国立病院での入院の返事を聞きたいと思いましたね。こうして直接ここに来ました」


 実は、各省庁を建てている時に民間人向け用の病院がないことに気付いた。そこで、大使館区画を設ける時に向かう途中で国で運営する国立病院を建てた。ここでは地球の私が知る限りの最新の医療機器や設備が揃っている。この病気の医師や看護師などは、とりあえず【創造】で何十人か創造して配備したのだ。ちなみに病院長は私だ。


「正直、まだ決めかねている」

「よろしければ理由を聞かせてもらっても?」

「まず1つ目にエレンの身の心配だということ。城から離れて過ごすとなると、相当なストレスを感じる可能性がある。そうなれば胎内の胎児にも少なからず影響が出るかもしれないということ。2つ目に警備体制についてだ。春人殿の国のことだから警備に関してはあまり問題はないんだろうが、それでも建国したばかりの国の病院に妻を預けるのは正直不安が残るということ。3つ目に医療技術についてだ。春人殿の腕は知っているが、他の医師の腕は知らん。だから本当に信頼に足りる腕なのかを知りたいのだ」

「それが決められない理由ですね。ここでは1つ目と3つ目についてお話しましょう。1つ目についてですが、確かに今まで暮らしていた場所でしばらく過ごすとなると、ストレスを感じるというのはあながち間違いではないでしょう。ですが、万が一の時、早急に対応できるのは最新の医療機器などが揃っている、うちの病院だけだと自負していますし、我が病院では最高の医療体制をお約束します。次に3つ目についてですね。こちらは、1つ目の時にも少しお話しましたが、我が国立病院では、最新の医療機器が揃っているうえに、専門医もいますし、凄腕の医師もいます。ですので、我が国立病院の医師の腕は、そこら辺の医師よりも遥かに腕は良いですよ。2つ目については……口で説明するよりも直接見たほうが早いと思います」

 

 まあ、大切な妻が入院しようという病院だ。本当はもっと心配なこともあるだろうが、3つまでしぼってくれたのだろう。

 私はそのまま、病院の出入り口の外側に【ゲート】を開く。病院内に【ゲート】を開くと、警備員達に誤解させてしまうかも知れないからな。

 そして、全員が【ゲート】を潜り抜けたのを確認してから【ゲート】を閉じた。


「ここが、アルマー王国国立病院です」

「素晴らしい建物だな。こんな技術見たことない」

「これはスターズや古代文明のひとつであるアバロント文明(地球も含め)などの技術を活用したほぼ最新鋭の施設となります。それでは中に入りましょうか」


 自動ドアが開き、院内に入る。


「まず、ここがこの病院のエントランスになります。左側には、受付や売店、掲示板などがあります。そして右側には、警備とは別の警察官が駐在している駐在所がありますが、この駐在所に関しては、院内と院外は病院の庭園のところに設置されており、両方とも街中にある交番に比べて大きい作りになっているので、それなりの人数の警察官が駐在しています」

「春人殿、その警察官とかというのはいったい……」

「ああ、そうですね。説明をしていませんでしたね。警察は、国の司法機関の1つで、騎士団と似たような業務内容を行いますが、装備品などに違いがあり、装備はスターズに近いですね。また、警察には警察省という大臣直轄の組織ですが、大臣の上は私なので、警察の指揮権は私にもあります。まあ、ざっくり言えばこんなものですね」

「そうか」

「では、次はあれに乗ってエレン王妃が入院予定の病室を見に行きましょうか」

「うむ」


 エレベーターに乗り、上の階へと向かう。これにもツッコミや質問があるかと思ったが、驚き疲れた様子でそんなことはなかった。

 産婦人科の病室がある5階に着き、その奥にあるVIPエリアの入り口前で止まる。この入り口には警備員が常時2人配置されており、身分証を見せなければ中には入れない仕組みになっている。もし倒そうとしても逆に殺されるだろうな。なんせ警備員の装備は特殊部隊隊員の装備と同じだし、戦闘力も上位Aランク冒険者と同じぐらいに設定されているからな。

 警備員に身分証を見せ、隔壁扉が開くボタンを押してもらい中に入る。流石に国内外の重鎮が入院する可能性がある場所だからな、警備は厳重にするに越したことはない。

 そして、エレン王妃の入院予定の病室を開ける。

 因みに各病室の扉の前には、警備員が2名配備されてあり、更に病室内にも、警備員を配備されているが、産婦人科のみ、VIPエリアの病室内の警備員は、配慮として女性警備員が配備されている。


「これはなかなか良い部屋ではないか!」

「このエリア内の病室は全て同じ作りになっています。まず病室の説明をしますね」


 入り口から順に説明した方が良いか。


「では、こちらから説明しますね。ここはお手洗いで、こちらの扉を開けると脱衣所になっており、更に扉を開けたこちらが浴室となっています」


 次は、ベッド方面だな。


「そして、これがベッドなのですが、このベッドはこのスイッチを押すと、このように上下自由に動かすことができるようになっています。そして、ベッドから見て右側には、貴重品などを収納しておくための鍵付き収納棚で、左側には、服などを収納しておくためのクローゼットです。そして、ベッド正面には、来客用のソファーとテーブルがあります。大体のこの病室の説明は終わりますが、何か質問はありますか?」


 すると、今まで喋ることのなかったエリアが手を挙げる。


「どうしたエリア?」

「これはいったい何ですか?」

「あ、説明し忘れてた。しかも結構重要なやつ……。それは、ナースコールと言って、患者に何かあった時に患者自身か見舞客がそれを押すと、すぐさまこのエリア内のナースステーションに届き、直ぐに看護師が駆けつける仕組みになってるんだよ」

「そうなんですね。分かりました」


 さっき、このエリア内のナースステーションと言ったのは、一般病室用のナースステーションとは別にVIPエリア専用のナースステーションが設置されているからだ。この仕組みは、全診療科のVIPエリアの入り口から全て同じようになっている。

 病室は終わったし、次に行くか。


「では、次は警備についての説明をしますね。その為に、警備室のある地下まで行きますね。地下の警備室はエレベーターでは行くことが出来ませんので一旦1階まで降りてから警備室のある階まで繋がるエレベーターがありますので、それに乗って向かいます」


 というわけで、一旦1階まで戻り、それから普段は警備関係者しか入れないエリアにその入り口の警備担当の警備員に身分証を見せて中に入る。入り口担当の警備員は、さっきの重装備の警備員とは違い、病院のエントランスに入り口がある為、軽装の(とはいえ、腰のホルスターには拳銃が仕舞ってあるが)警備員が常時2人配置されている。

 中に入り、エレベーターに乗る。この病院は、災害や軍事侵攻などを受けた際の避難場所の1つになっているのでかなりの警備員がいる。もちろん全員、銃を携帯している。そして、警備室には、重装備の警備員のほとんどがここで待機している状態であり、何かあった際にはすぐに地上に一斉に行けるように、このエレベーターはかなり大きめに作られている。まあ、実際のところは、普通の大きさのエレベーターの枠の中に空間魔法でエレベーター内の空間を広くしただけなんだがな。

 そんなわけで、その警備室に着いた。警備室の入り口前にはもちろん、重装備の警備員が2人配置されており、身分証を見せると、無線で中にいる警備員に連絡を取り、その後入室が許可されたので、中へと入る。


「ここが、この病院の警備の中枢を担う警備室です。あのモニターには、この病院に設置されているすべての監視カメラの映像が映し出され、もしも異常があった際には、その現場近くにいる警備員に警備室から指示を出し、何かあったら直ぐに無線で警備室に連絡が行くようになっています。更に、それと同時に警察省にも連絡が行くようになっています」


 すると、ベルンガ王が口を開く。


「警備体勢は分かったが、彼らの実力が知りたい。もちろん彼らが弱いとは決して思ってはいないが、エレンがいる場所の警備の者の実力はどうしても確かめたいのだ」

「フッ、良いでしょう。では、午後から特別訓練を実施します。準備がありますので、城の方でお待ち下さい。エリア頼んだよ」

「分かりました」

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