12話 春人とアリスその1
スターズにおいて、男女が付き合うことに対しては届け出は必要はないが結婚をする場合は、人事局の人事構成課と施設局への届け出が必要となってくるのだ。
いったいなぜこのような話しをしているのかというと、アリスと食堂で話し合った結果いろいろとあり正式に結婚を前提に付き合うことになったからである。
まぁ、今はまだいつ結婚するかとかの予定は全然決まっていないため、同棲はまだしていないんだけどね。
………ていうか、私はこの話しをいったい誰に向けて話しているんだか。
付き合うのに届け出が必要ないのは正直言ってありがたかった。もし届け出が必要だったならばこの気持ちを伝えるのがもう少し遅くなっていたかもしれない。
でも、必要がなくてもカーラルに揶揄われて、気持ちをお互いに伝えることができたわけだから結果だけを見れてそこら辺は、カーラルに感謝なのかな。
「ありがとう」
と、隣にいたアリスに呟いた。
「ん、何がですか?」
「あ、いや、私なんかと付き合ってくれてと思ってな」
アリスは、可愛らしく頬を少し膨らませた。
仕草だけ見れば可愛らしいが、そこはシャドウナンバーズの一柱なだけあり、私の両頬を引っ張った威力は、普通の人ならばそのまま頬が千切れるかと思うほどの痛みだった。
「ちょちょ!?アリス!痛い、痛いから。頼むからその頬を引っ張るのは勘弁して」
その願いは虚しく、そのあとも何秒か引っ張られた。
「私なんかとではありません!私は、春人さんだから私は好きになったのですよ。ですが、その言い方ではまるで、私が無理に春人さんと付き合っているみたいになってしまうじゃないですか!私は、あなたとこのまま結婚をして、死ぬまでの間、一生あなたと人生をともに歩みたいと思っています。その心を踏みいじらないでください!!」
アリスはそう涙目になりながら答えた。
これほどまでに私のことを思っていてくれたとは……。
そして私は、そんな彼女の心を踏みいじってしまった。
まったく、これではアリスの夫になろうとする者として不甲斐ないな。
「そっか、ごめん。アリスにそんな思いをさせてしまって。でも、アリスのことを私は本当に好きだ!私もアリスと同じく死ぬまで一生アリスと一緒にいたいと思っている。例えそれがどんなきっかけだったとしてもね」
「はい。私もあなたのことが好きですよ」
「あのさ、もしアリスが良かったらその改めてそのなんだ、一緒にならないか!」
「……もしかして春人さんが言いたいのって」
「ああ、その予想は当たってると思うよ。アリス、改めて私と結婚して籍を入れてはくれないか」
そう言い頭を下げた後に頭を上げアリスの顔を見ると、そのアリスの目には涙が流れ出ていた。
え!あれ?何か間違えたか!?
ええと、こんな時は、いったいどうすれば良いんだ!
前世では、私には妻はいたけれども私とその妻が生まれてからままならない頃にそれぞれの両親同士が勝ってにそれぞれ自分達の子を許嫁として決め私が許嫁がいることを知ったのは、当主なる一年前だった。
そして、その子と一緒に暮らしていたしそれに私達はお互い両思いだったし、そのまま結婚してしまったからこういう時どうすれば良いのかわからないだよなぁ。
「ええと、そのなんだ。さっきはああ言ってはくれたけれども、嫌だったらその……」
「え、そのごめんなさい。この涙は、あなたが嫌とかそういう意味ではなくですね。嬉しくて仕方がないという意味なのですよ。こちらこそ、未熟者ではありますが、よろしく、お願いしますね。春人さん」
「ああ、これからもアリスの夫として、そして、シャドウナンバーズの仲間の一員としてよろしくね。アリス」
「はい!」
アリスはそう力強く返事する。
そして、私達はお互いの唇を付けて何分かそのままキスをしあった。
私達は、この時をもって恋人同士から夫婦となった。
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