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異世界転生術師  作者: 青山春彦
第13章 建国
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118話 白金の弟子と黒鉄の後継

 糸は私の周りを囲って攻撃しようとしているが、なんとかその糸の隙間を抜け出して攻撃するが、流石に銃弾程度では意味がなかった。


「【ダークブレイズ】」


 漆黒の剣が空中に無数に浮かぶ。


「その糸ごと刺し殺してやろう」


 手を空中からビトレイに向けると、それと同時に空中に浮かんでいた剣が一斉にビトレイへと飛んで行く。

 だが、糸で【ダークブレイズ】を砕いた。


「魔力糸に更に魔力を流し込んで強度を上げたか。ならば、これならどうだ?【闇の永久牢獄(パンドラ)】」


 ビトレイは【闇の永久牢獄(パンドラ)】に飲み込まれた……様に見えたが……。


「ギリ……危なかった……」

「おいおい。今のを避けるのかよ……」


 そう呟いた瞬間に奴の糸が来たが、私を攻撃しようとしているにしてはやけに長い……まさか!?

 その糸の長さは丁度トワ達のいる所に攻撃出来る長さだった。

 走っては魔法も間に合わないと判断した私は【テレポート】でトワ達の前に転移し、瞬時に腰に差していた刀で糸を斬ろうとしたが、刀が糸によって斬られ、自身の体を守ろうとして、咄嗟に出した左手が腕ごと切断された。 


「春人様(殿)!?」

「君達は無事だな?」

「ですが春人様が!?」

「なに、心配するな。これぐらいならば私は平気だ。アイツの攻撃は予想外だ。結界があるとはいえ、その外に出て来ては意味はない。だから君達は大人しく結界の中にいてくれ」

「申し訳ありません、春人殿。以後気をつけます」

「私も申し訳ありませんでした」

「分かれば良い」


 こうして話している時にはビトレイは攻撃してくることはなかった。


「待たせたな、白金の弟子。話しているうちに攻撃でもしてくればチャンスだったと思うんだが?」

「攻撃しようとした。だけどお前の気配から攻撃したらいけない気がした。だから攻撃しなかった」

「なるほどな。殺気は抑えてたと思ったんだが、漏れていたか」

「何故、お前は婚約をした?その戦闘着の2人は状況判断的に恐らく婚約者。だが、お前の戦闘の邪魔になる。なのにそんな邪魔な存在を連れて来て何がしたいのか……俺には分からない」

「別に分かってもらわなくてもいい。だがな、私はお前が私ではなくあの子達を攻撃したことに腹を立てているんだ。ここからはこっちから行かせてもらうぞ!」


 話しているうちに再生した左手で【ストレージ】から取り出した双剣を両手でその双剣を持ち構える。

 奴の放つ糸による攻撃を交わしながら糸を斬る。

 この双剣は、さっき使っていた刀とは違い、魔力伝導率の良いドランクとハイミスリルを素材として『万能工房』で作った双剣ある。そのため、私の魔力を流し込んで強度を上げて、あの糸程度では壊れない程の強度がある。

 そのまま糸を斬りながら奴の間合いまで近づき入り込む。


「これで終わりだ。【望月双剣術 二式 月魄(つきしろ)】」


 月魄は、自信の妖力(魔力も可)を使うことによって唯一、相手の肉体と精神体(魂)両方にダメージを与えることの出来る技だ。これで奴も終わりのはずだ。

 回復を試みているようだが、傷が回復しないのに対してその表情は驚きと焦りでいっぱいだった。


「傷をいくら回復させようとしても無駄だ。今お前に使った技は、私の妖力……分かりやすく言えば生命力を回復出来る分だけを双剣に纏わせて、お前の肉体だけでなく精神体にも攻撃をした。精神体にも効く回復魔法でなければ回復しないし、そのままではじきにお前は死ぬだろう」

「そう……か。これが弟子と後継との差の違い、か」

「確かに弟子と後継では差があるのは当然だが、お前は最初からこうなることが本当は分かっていたのではないか?」


 コイツの攻撃はどこか死を覚悟しているように感じた。もしかしたら勝てないことを分かっていたのかも知れないな。


「戦っている間にお前との実力差は分かった。でも、あのまま逃げても師匠に会わせる顔がない。だから俺は最後まで戦おうと思ったが、ここまでみたいだな。黒鉄の後継、お前と戦えたこと、あの世で自慢出来るだろうか?」

「お前の魂は、さっきの攻撃でかなりのダメージを負った。いくら霊界や天界で魂の修復をするといっても、それにも限度がある。魂を削られた者は、人間よりも下位の存在に生まれ変わる。お前の場合は、恐らく人間として生まれ変わることが可能だろう。だから、この私に双剣で戦わせたことは誇るが良い。あれは余程でなければ使うことのない、私の奥の手の1つなのだからな。それをお前は引き出すことができた。それはあの世で自慢出来ることだと私は思う」

「そうか……そろそろこの身体も限界、みたいだな。さらばだ黒鉄の後継。願わくは、来世はお前に仕えたいものだ」


 そう言い、ビトレイの身体は粒子となり空中に散り、魂はあの世へと旅立って行った。

 あいつがもし、こちら側だったならば、もしかしたら仲良く出来たのかもしれないな。お前と戦えたことは私としても楽しく……なかったな。だが、強さは認めよう。お前の弟子は倒した。お前はどう出る?白金よ。

 それからは、剣の勇者からできる限りの話を聞いた後、【ゲート】で本部まで戻って来た私達は、白夜に今回のことを伝えた。


「なるほど。白金の弟子であり十三邪徒(タダイ)第3席でもあるビトレイが出て来るとは……『フェアラート』が来るとは思いましたが、まさかその最高幹部までもが出て来るとは思いませんでした」

「どうやら狙いは剣の勇者に接触をしようと私が来ることを事前に予測していた白金が、私を殺そうと送って来た刺客だったようだ。噂に違わない強さを持った男だったよ。刀を糸で斬るどころか、硬質化をした左腕さえも切断させられたからな」

「春人さん大丈夫なんですか!?」

「ああ、腕の一本ぐらいならば私の再生能力で回復出来る範囲だからな。もちろん、切断されて落ちた左腕はそのまま燃やしたから周囲への影響はない」

「父上、エリアさんはそういう意味で言ったのではありませんよ。純粋に父上のことを心配しているんだと思いますよ」

「そうなのか?」


 エリアを見ながら聞く。


「そうですよ。それなのに周囲の影響のことの心配をしていると思われているのはなんだか心外です。私は深く傷付きました。ですので、春人さんからのキスを要望します」

「あ、ずるい!」

「その手がありましたか!」


 他の子達が揉めあっていたが、私と白夜で話を続ける。


「愛されているんですね、父上」

「私の自慢の婚約者だからな」

「そのようですね」

「話を戻すが、アイツは最後には粒子となって死んでいったよ」

「何か魔法でも使ったのですか?」

「そういえば、お前に教えていなかったな。私がその時使ったのは魔法ではなく、【望月双剣術 二式 月魄(つきしろ)】という技だ。お前には、双剣術は使えそうになかったから教えていなかったが、この双剣術の中でもこの月魄という技だけは肉体だけでなく、精神体……簡単に言えば魂にも攻撃(ダメージ)を与えることが可能な技なんだよ。それが何故出来るか分かるか?」

「いえ、分かりません」

「答えは、この技が発動者の妖力、分かりやすく言えば生命力だな。これを使うことによって精神体への攻撃も可能となるんだよ」

「生命力を使用しているんですか!?」

「心配しなくとも命に関わる程の妖力は使用しない。そもそも魔力だって似たようなものなんだぞ」

「どういうことですか?」


 魔力と妖力は似たような部分がある。


「魔力だって、あまりに消耗が激しいと倒れてしまうだろ?あれはこれ以上魔力を消耗すると命の関わると身体が本能で魔力を使うのを止めようとする結果、倒れてしまう。だが、その本能でも止められない程の魔力を消耗すると、生命力を魔力に変換するんだ。その結果、生命力の限界によって命を落とす。妖力もさっきは分かりやすく生命力と言ったが、厳密には少し違ったエネルギーなんだが、簡単に言うと、魔力と同じように妖力も自然界にも存在しているんだよ。だから多少消耗した程度では問題ないんだよ」

「そうですか。なら良かったです」


 もう、話すことも無くなったしそろそろ帰って城のことを考えなくちゃな。


「なあ、白夜。そろそろ話すことも無くなったし、それに国のこともあるからそろそろ帰ってもいいか?」

「そうですね。もう聞くこともこちらとしては十分ですので大丈夫ですよ」

「そうか。それじゃあ、みんなそろそろ帰るぞ」

「はい」

「分かりました」

「それじゃあな、白夜」

「はい、また」

「【ゲート】」


 【ゲート】を開き屋敷へと戻った。

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