11話 シャドウナンバーズの合同任務その2
現場には到着したのはいいのだけれどもアリスロードさんは、いったいどこに行ったんだ?
「あ、春人さんこっちです」
そこにいたのか。
「状況はどんな感じでしたか?」
「どうと言われも。見ての通りですね。これでは、偵察部隊が本部に状況を報告せず帰還しなかったのもなんら不思議ではありませんね」
確かにこの状況ではたとえ偵察部隊が全力で抵抗したとしても負けてしまったのは仕方のなかったのかもしれない。
偵察部隊は、決して弱くはないけれどもあの大群に一斉に攻められたら、逃げるのに囲まれたりしたり民間人がいたりしたら逃げたりするのはほぼ困難になる。
それに、逃げられる程度の武器しかしていないので、こういった場合ならば、全滅しても仕方のなかったこのなのかもしれない。
「とりあえず、まずはあいつらを殲滅しましょう」
「ええ、そうですね」
アリスロードさんがなんだか悲しそうな顔を浮かべていた。もしかしたら、この死亡している部隊の中に仲の良かった人でもいたのだろうか。
そう思いさりげなく少し聞いてみる。
「どうかしたのですか?」
「いいえ、何でもありません。早くこの地獄のような光景を終わらせましょう」
確かにその通りだな。
「はい。さっさとこいつらを片付けて、この場で死亡した、民間人と勇敢なる我らが同胞達の葬いをしましょう」
「そうですね。では、行きますよ!!」
勢いよく飛び出して行きそれと同時に懐にある二つのそれぞれのホルスターの中からSFP9とM92の2丁の拳銃を取り出しドランクの核に向かって撃った。
このどちらの拳銃とも、以前よりも威力、性能ともに格段に上がっておりドランクにも通用するように改良したのである。
そして弾丸が、ドランクの核に命中し忽ちその身体が溶けていった。
こっちは終わったな。さてアリスロードさんはいったいどんな戦いをするのか?
そう思い見てみると、魔法を使ってはいるがドランクには普通の魔法が通用しない。だが物理魔法などは効果がある。
アリスロードさんの殺り方は、主に物理魔法を使った攻撃と時々魔法で威力を上げた剣(おそらくストレージから取り出したであろう)を使った戦い方ではあったがそれではドランクを仕留めことはかなり困難じゃないかと思ったが、そんな予想ははずれ普通に一撃で核を貫いていた。
これには、流石に驚いてしまった。
そしてこの場にいた,18体のドランクの殲滅を偵察部隊や民間人の犠牲者が出たものの無事に完了することができた。
民間人とは言っても非戦闘員や戦闘員などスターズ以外の全ての人が当てはまる。
今の場合はこの遺体の装備から見てどこかの国の騎士団かもしくは警備隊か?
まぁ、多分事後処理が面倒になることは間違いないんだろうけども。
その後、現場支援課に連絡を入れて、支援課の到着後は事後処理をそのまま彼らに任せて私とアリスロードさんは現場を後にした。
本部に到着後、私達はカーラルに任務での活動報告と現在の現場の状況などを伝えた。
「そうか……偵察部隊だけでなく、民間人の犠牲者までもが出たことは……とてもいたいが、とにかく君たちが無事にドランクを殲滅してくれて助かった。後のことは、支援局でやっておくから。改めて、今回の合同任務はご苦労だった。ゆっくりと休んでくれ」
カーラルへの報告を終え、私達は廊下に出た。
「そういえば、アリスロードさんはこの後どうする予定なんですか?」
「……アリス」
「え、何か今言いましたか?」
「だから、私のことはアリスロードさんなんて堅苦しい呼び方ではなくアリスと呼んで下さい。私と親しい人は私のことをそう呼ぶので。あと、敬語もありませんからね」
「わかったよ。……アリス。これでいいのか?」
「はい。それにしても春人さん、いくらなんでも鈍すぎやしませんか?そんなんでは女性に逃げられますよ」
「あの、一応こっちの世界に来るまでは妻帯者だったんだがねぇ」
「え、…………ご結婚なさっていたのですか」
アリスはがっかりしたような声でそう言った。あとお願いだから目のハイライトは消さないで!?
……にしてもさっきからなんだか妙に誰かに見られているような気がするが気のせいか?
そう思ってふと、ドアの方を見ると……。
「なんだか私はお邪魔なようなのでまた後で来ることにするよ」
そう言って、カーラルはニヤニヤと笑いながらその場をわざとらしく立ち去ろうとした。
「「ちょと待って!!変な誤解しないで(くれ)!?」」
「なんだ。二人とも息ぴったりじゃないか。そのまま付き合って、結婚してしまってもいいんじゃないか?それにしてもアリスロードが自分のことをアリスと呼ばせようとするのは珍しいな。あれ、もしかして付き合ってたりしてるのか
なぁ?」
「「………今はまだ……」」
「はいはい、仲が良いことは見てわかりましたよ。実はな、今回の合同任務には二人をくっつけるという目的も混ざってたりしているんだこの作戦を企てたのは私も含めた他のシャドウナンバーズのみんなと元帥殿だ。まぁ、せいぜい頑張れよ」
「「だから違うって!!」」
二人とも顔を真っ赤にしながらどう話しかければ良いのかわからずそのまま相互無言の時間が数十秒くらい続いた。
お互いこの重苦しい空気をなんとかしなくてはいけないと思いお互いに話しかけた。
「あのさ……」
「ええと……」
「「お先にどうぞ」」
「では、私から良いかな」
「はい。どうぞ」
「では……なんかカーラルのせいで変な空気になったけれども、ええと、その、なんと言うか、まぁとりあえずご飯まだ食べてないし食堂に行って落ち着こう?」
「そうですね。一旦頭の中を一回整理したいですし」
やっぱりまだ、アリスの顔が少し紅いな。
それにしてもカーラルのやつめ余計なことをしよってからに。
でも確かにアリスのことが好きだというのは事実ではあるけれども。にしてもこういうのは黙っておくか、さりげなくいうもんだろうが。
食堂に着いて、お互い向かい合って座りなんだか心臓の鼓動音がお互い聞こえてしまうんじゃないかと思うほど二人の心臓の鼓動はかなり高まっていた。
「そのさっきの話しの続きなんだけど。その、もしアリスさえ良かったら私と付き合ってくれないかな」
「でも春人は妻帯者だったのでは」
「こっちの世界では妻帯者ではない。それにこの世界に来てから私はこの世界の住民として生きると決めた。故に、この世界では私は独身なんだ」
「先程の話ですが、本当に私でよろしいのでしょか?」
「私はアリスと初めて会った時に一目惚れしていたんだ。もし結婚するんならこの人が良いと。無論見た目だけでなく。実は一回全員に『魔眼』を使ったんだ。全員悪人ではなかったけどアリスだけは特に純粋で素敵な女性だと思ったんだ」
「魔眼持ちだったのですか」
「ああ、私の元々の魔眼は鑑定の魔眼だったけど私の無属性魔法、魔法創造で魔眼を増やして、その中の一つのソウルハートの魔眼と言って魂に宿るその人の善悪を見抜くことができる魔眼だ」
「改めて私と付き合ってほしい」
「はい。私で良ければ喜んで!!」
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