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異世界転生術師  作者: 青山春彦
第11章 日常?2
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104話 万能工房と焼却場

 地上に降りたのは良いものの、本当に何も無いな。


「それにしても、本当に何もないわね」

「まあ、砂漠のど真ん中ですからね」

「それにしても、マリンが編成した斥候(せっこう)部隊はかなり優秀みたいだな。本当にこの辺りにあるんなら、後は私に任せろ。【サーチ】」


 辺りを調べると、地下にそれらしい空間と建造物があるのを確認出来た。


「大体あそこの地下およそ130m、幅52mのところあるのが確認出来た。だが、かなり地下深くに埋まってて砂を退かすのが少し大変そうだが、まあ、なんとかなるか」


 あのぐらいならばなんとか問題なく被さってる砂だけをどうにかなるかな。


「今から少し魔法を放つから念のため、少し私の後ろに離れててくれ」

「分かったわ」

「【サンドストーム】」


 魔法を発動させると、そこの砂が吹き上がる。そして次は、この吹き上げた砂を消す。

 

「【デリート】」


 吹き上げた砂を全て消去する。このぐらいならば問題ないだろう。

 そして、空いた部分に砂が行かないようにしっかりと魔法で固定する。


「よし。これで問題なく行けるな」

「相変わらずとんでもないことをするわね」

「まあ、これが春人殿ですから」

「ですね」

「それじゃあ行こうか」

「はい」


 建造物のところまで降りてはみたものの……。


「春人さん。入り口らしいところが見渡りませんね」

「そうだな。だけど、大抵こういった入り口がないところっていうのはね」


 そう言いながら、その建造物に触れると入り口と思わしきものが現れる。


「い、入り口が急に!?」

「どうして分かったんですか?」

「こういった何もないところだとね、今みたくある特定の場所に触れると隠し扉が出てくるっていう仕掛けというのは意外と多いんだよね。だからとりあえず試してみたら当たったって感じかな」

「なんか手慣れてるって言い方ね」

「まあ、仕事柄こんな感じの隠し部屋への入り口を隠してたりするからその過程で探し出すのが上手くなったのかも知れないな」


 とりあえずこの中に入ってみるか。


「まず私が中に入る。万が一のことが考えられるから念のため君達は待機。今回は、ビエラとトワを連れて行く」

「なんでトワは良くてあたし達はダメなのよ!」

「君達よりもトワの方が万が一の時にもしっかりと対応出来ると判断したからだ」

「それじゃ納得がいかないわ」

「君達の実力はいつも見ているが、トワに劣る。だからこの中で1番戦力になるトワを連れて行く。それだけだ」

「もう。分かったわよ。ほら、さっさと行ってあたし達を中に入れてちょうだい」

「分かってるよ。だからそう急かすな」


 アイリスに急かされて中に入る。それにしてもなんであんなに急かしたんだろうか?


「アイリスさん。気持ちは分かりますが、私達を連れて行かなかったのは、私達の安全を考えてのことなので、そこは理解してあげてください」

「それは分かってるわよ。だけど、トワだけ連れて行くのが正直納得してないのよ」

「お姉ちゃん。トワさんは、春人さんと同じスターズの人間から、もしかしたら春人さんには、私達には分からないようなことがあるんじゃないかな」

「トリス達は、どうしてそう納得が出来るのよ」

「拙者達は、ただ春人殿を信じているからです。それにアイリス殿も春人殿が拙者達を連れて行かない理由を本当は分かっているのではないですか?」

「そ、それはまあ、そうなんだけども……」

「だったら、もうこれでこの話は終わりにしませんか?これ以上話したら春人殿に対する不信感が芽生えてきますよ」

「それもそうね。分かったわ。これ以上、この話はしないわ。春人が来るまで大人しく待ってるわ」


 中に入って『武具保管庫』と同じように部屋の中央には、魔法陣が刻まれた人1人分が乗れそうな台座があり、その魔法陣を囲むようにして7属性全ての魔石が1つづつ魔石台に魔石が設置されていた。

 そして、その魔法陣の上へと乗り、全属性の魔力をそれぞれの属性の魔石へと流し込む。すると、その魔石は一斉に光り輝くのと同時に、台座の魔法陣が起動し、トワを抱き寄せてると、目の前が白一色に包まれた。

 そして、その眩しかった光が収まり目を開けると、さっきまでとは違う場所だった。おそらくここは、ベリルベルの1つで間違いないだろう。


「ここは、ベリルベルの施設の1つなのでしょうか?」

「多分な。転移してきたのは間違いないし、それに上部の構造が同じだからな」

「なるほど。言われてみればそうかも知れませんね」

「我が君。誰かがこちらに近づいて参ります」

「そうか」


 そして、こっちにやって来たのは、フェルと出会った時と同じ服装の1人の少女だった。見た目18歳ぐらいだろうか。


「ようこそいらっしゃいました。私がベリルベルの『万能工房』の管理者のマリアースです。どちらが転移装置を起動させた方でしょうか?」

「私だ。彼女達は一緒に来ただけだ」

「そうですか。まず『万能工房』の適合者かどうかの適正試験を受けてもらいます」

「ん?今「まず」って言ったか?」

「はい。ここには『万能工房』の他に『焼却場』も合わさっています。現在、『焼却場』の管理者は手が離せない状態なので私が出て来ました。ですので、私の試験に合格出来なければ皆さんには即座にお帰り願います。ですが、その前に質問ですが、現在ベリルベルはいくつ入手していますか?」

「1つだな。『武具保管庫』のフェルには適合者として認められてる」

「そうですか。『武具保管庫』の管理者に認められる程度の実力はあるようですね。では、試験を行います。そこの……申し訳ないのですが、まだ名前を伺っていないので教えてもらえませんか?」

「望月春人だ」

「では、望月春人様以外はそこからこちらに近づかないようにして下さい。私からの適正試験の内容は、材料の物質当てです。1つでも間違えた場合、適合者ではないものとしてお帰り願います」

「分かった。で、その材料は何処にあるんだ?」

「今持って来るので少し待っていて下さい」


 その管理者の少女は建物の中へと走ってその材料を取りに行っ。


「春人様なら『鑑定眼』で余裕ですね」

「まあ、確かにそうかも知れんな。だが、鑑定系の魔眼やスキルの禁止をルールに入れられたらかなりまずい」

「そうかも知れませんね。とにかく頑張って下さい」

「ああ」

「お待たせしました。では、試験を始めます。まずはこちらの材料は何ですか?」


 『鑑定』を発動させる。


黄銅鉱(おうどうこう)だな」

「正解です。次はこちらです」


 被せてた布を取って材料を見せると同時に『鑑定』をする。


「この材料は何ですか?」

「……クロム」

「正解です。では、次はこちらです」


 被せてた布を取って材料を見せる。


「この材料は何ですか?」


 素早く『鑑定』をする。


「イリジウム」

「正解です。では、次のこちらが最後です」


 そう言って、被せてた布を取って材料を見せる。


「この材料は何でしょうか?」


 同じように『鑑定』を素早く済ませる。


「チタン」

「正解です。見事全問正解により、望月春人様を適合者として登録しますので、こちらへどうぞ」


 彼女に案内されたのは、万能工房の管理室の例の装置だった。


「こちらに手を置いていただくと、この装置が自動で遺伝子情報が採取出来る程度の皮膚を剥がし取り、それをその装置がそのまま遺伝子情報を保管したら、望月春人様のマスター登録が完了します」

「確かここに手を置くんだよな」

「はい」


 その装置に手を置き、素早くマスター登録を済ませる。


「登録完了。これより機体No.42。個体名マリアースはマスターである望月春人様に譲渡されます」


 とりあえずこれで『万能工房』の方はゲットだな。この調子で『焼却場』もゲットするか。


「なあ、マリアース。『焼却場』は一体何処にあるんだ?ここから見る限り、見当たらないが……」

「『焼却場』は、こことは違う区画にあるためここから見えないのは当然です。それとマスター。これからは、マリアと呼んで下さい」

「分かった」

「では、焼却場の方に案内しますね」 


 隣の区画へと案内されると、先程の万能工房とはまた違った感じだった。


「こちらの建物が焼却場です。ここの管理者であるファイアナはこの中で作業を行っております。それでは中へ入りましょう」

「ここが焼却場の中か。思っていたよりも普通なんだな」

「ここは焼却場の入り口近くですからそうなっているだけで、もう少し奥まで行くと焼却炉なんかがありますが、詳しいことは管理者であるファイアナに聞いて下さい」

「分かった」


 そしてしばらく歩くと、制御室と書かれた場所に着き、中へと入る。


「ファイアナ。いますか?」

「マリアか。どうした?」

「新しいマスターがいらっしゃいました」

「来たのか。んで、お前が新しいマスターってわけか?」

「ああ。万能工房の管理者のマリアには認められた」

「そうか。オレは現在、マリアのところにほぼ居候状態だから、まずオレからお前をマスターにすることに反対するつもりはないが、一応オレからも試験を出させてもらうが良いな」

「私としては構わないが、面倒な試験じゃないだろうな?」

「マリアの試験に比べたら俺の試験なんて簡単だ。お前の最大火力の火属性魔法をこいつに打ち込んでみろ」

「本当に良いのか?」

「遠慮してるのか?心配はいらねえ。これは博士が作った魔道具で、かなりの火魔法を耐えられる」

「ならいくぞ。【ムスペルヘイム】」


 その威力が予想以上の威力だったようで、驚いた顔を見せていたが瞬時に青ざめた顔へと変わった。


「流石にこの威力は予想外だ!このままじゃ、耐えられない!」

「なんだと!?博士はこの事を予想して作っていたんじゃないのか!」

「そのはずだが、これは博士でも予想外だったんだろうな。とにかくこの魔法を抑えてくれ!」

「分かった。【ニブルヘイム】」


 【ニブルヘイム】のおかげで、なんとか【ムスペルヘイム】の火を抑えることが出来た。


「なんとか抑えることが出来たな。で?これは合格で良いのかな?」

「この火力は予想外だった。良い意味でな。合格だ。お前の名前を教えてくれるか?」

「望月春人だ」

「これより機体No.31。個体名ファイアナは、マスターである望月春人に譲渡される。これからよろしくな。マスター」

「ああ。こっちこそよろしくな」

「それじゃあ、さっそくマスター登録を済ませるか」

「そうだな」


 焼却場は、管理室はなく、代わりに制御室が管理室の役目も担っている。

 そして、マスター登録を完了させて、みんなを呼ぶために【ゲート】を開いた。

『良かった』、『続きが気になる』などと思っていただけたなら、評価やブックマークをしてくださると、とても嬉しいです。投稿日時はバラバラですが、どうぞこれからもよろしくお願いします。

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