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異世界転生術師  作者: 青山春彦
第11章 日常?2
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103話 スターズとドランクについて

「で?あの子達が言っていた、貴方の弟子っていうのは本当なの?」

「ああ。本当のことだ」

「スターズの者を護衛に付けて良かったのですか?」

「それについては問題ないよ。スターズは奴隷の売買については厳しく審査をしているんだよ。もし奴隷の禁止国が奴隷の売買をしていた場合は速やかに処分するレベルにはね」

「国への通報などはしないのですか?」

「場合によってはするね。でも、奴隷の売買っていうのは基本的にはその国や他の国との国際問題に発展してしまう可能性があるから、出来るだけ気がつかないように我々で内密に処理しているんだよ。まあ、とは言ったものの、実際のところは、奴隷関係のが問題っていうのはその一国だけで簡単に動ける問題じゃないから、どこの国にも属さない組織である我々スターズが1番動きやすいってわけ」

「確かにその理屈ならばスターズが動くのも道理かも知れませんね」

「さっきの話の続きを聞きたいのですけれども、よろしいでしょうか?」

「さっきの話?」

「そっか、まだエリアにはドランクのことについて説明をしたことがなかったっけな?」

「いえ。以前マリンさんが屋敷に来た時に聞いたことはありますが、あまり内容が理解出来ていないので、説明をお願いしたいのです」

「なるほどね。分かった」


 それから彼女達にエリアに説明をすると同時に改めてドランクのことについて説明をする事にした。


「ドランクの説明の前に、まずスターズが創設された切っ掛けは知ってるかな?」

「いえ」

「まあ、知らないのも無理はない。今の時代のスターズ職員ですらスターズの創設理由を知らない者も少なくはない。だが、私と一緒にいる君達には知っておいても良いと私は思っている。スターズはそもそも多種多様な種族で構成されている組織だ。その種族の中には既に絶滅したと言われている種族なんかもいる。例えば私のような古代人間(エンシェントヒューマン)やハイエルフなどの上位種族などだな。まあ、今はそんなことはどうでもいい」

「今、さらっととんでもないことを言ったわね……」


 マリンの言葉にゴホンというわざとらしい咳払いをして話を続ける。


「話を戻すが、ざっくり言うと、スターズが創設された理由はドランクの出現に関する。これから話すことは、現在ではスターズの中堅(ちゅうけん)以上の者しか知らない情報だ。もしかしたらこの情報を知ることによってスターズ職員ではないトワ以外は、処分対象になる可能性はある。もちろんこのことを話した私もスターズへの反逆行為と見做(みな)されて監察室のじじい共に処刑命令が発行される可能性もある」

「そんなことを話して大丈夫なんですか?」

「それに関しては問題ない。一応スターズの諜報力に関しては私が1番理解しているつもりだ。だからどの程度で情報が漏れるなんてのは大体分かるんだよ。まあ、一応【サイレント】っていう防音結界を『武具保管庫』に展開しているし、それに盗聴防止のために通信用の機器や念話のチャンネルは全て遮断(しゃだん)してあるから盗聴の心配もないから大丈夫だよ」

「むしろ、そんなにしなければ情報が露見するスターズの情報収集能力の高さに驚いているのですが……」


 トワの言う通り、そこはスターズ良いところではあるんだがなあ。まあ、味方にするんならの話だが。


「それでだが、スターズが創設される理由となったドランクだが、それがどう創設と関わるかは分からないだろ?」

「そんな勿体ぶらないで教えなさいよ」

「分かったよ。ドランクの対抗戦力として種族や国境、性別関係なく、ドランクをこの世界から完全に排除するために今からおよそ8000年前に組織されたのがスターズってわけだ。当時のスターズは今みたいに装備も充実してなければ大した戦闘技能を持ってはいなかった。何度もドランクに全滅されそうになったが、その度に新たなに組織の人数は増えていき、やがてはかなりの戦闘技能を持った者達も組織に入ってくるようになり、組織としての戦力は着々に増していった。そうして、戦力を増していったスターズは下級のドランク……つまりはドランクの中では、1番下っ端な階級のドランクならば普通に倒せるまでには実力は上がっていった。だが、下級よりも更に強い中級……さっきまで戦っていた階級のドランクとかには流石に生身の人間には倒すのが難しくなっていった。そこでスターズは、万が一に備えて当時の最新設備を完備した海上要塞、まあ要するに、今の本部が誕生した。そして、スターズの者達はそこに一旦避難してドランクに対抗する為の準備をする事にした。そして、十分な戦力を手に入れたスターズは、ある2人を先頭にドランクと戦った。その2人が初代元帥である黒鉄(くろがね)殿と白金(しろがね)殿だった。このお2人のおかげでスターズはほとんど勝利を掴んだと言っても良いだろう。そしてこの2人のうち、黒鉄殿いや師匠はスターズを引退して隠居している。だが、白金殿はスターズを裏切り、スターズの敵対組織である『フェアラート』のトップとなった。その2人の活躍もあり、ドランクがこの世界から姿を突如として消すまでは世界を守り抜くことが出来た。その後スターズは、この悲惨な記憶を世界中の人間から消去する為に魔道航空機(まどうこうくうき)を使用して記憶処理剤を世界中に散布し、ドランクを知るのは、スターズのみだと当時は考えられていた。しかし、最近になって、マリンなどの人里離れて暮らしていた種族には記憶処理剤(きおくしょりざい)の影響がなかったことから、当時の散布が不十分だったとして再度、散布する必要があるのではないかという声もあったが、今さらやっても仕方ないし、最近ではドランクの出現数も増えてきていることから、記憶処理剤の散布は必要ないと却下した。ここまでで何か質問はあるか?はい。トリス」

「先程、おっしゃっていた魔道航空機というのは何ですか?」

「魔道航空機っていうのは、8000年前に存在していた大型の搭乗することが出来る魔道具とでもイメージしてくれればいいよ」

「分かりました」

「スターズの話はここまででいいだろう。それじゃあ、ドランクの話に移るとするか。まずドランクとは、突如としてこの世界に出現した別世界の生命体だ。奴等の目的は、眠りし王を見つけ出すことだ」

「それと人類を殺すのに何の関係があるの?」


 普通に考えたらアイリスの言いたいことも分かる。


「ドランクが何故ドランクの王を見つけ出す為にわざわざ人類を殺すのかというと、これはあくまでも我々の予想でしかないが、ドランクの王は人類の中に核に近い状態で眠っているのではないかと推測される。ドランクは、特殊な波動を流すことが既に分かっている。だから、ドランクは人類が発している波動が王が出す波動を邪魔していると判断して、人類のみを殺して、人類が発する音……心音を消して判別をしているんだとスターズでは考えている」

「あの、今更なのですが、どうしてスターズはドランクの王が人類の誰かに眠っていると分かったんですか?」

「8000年前に黒鉄殿が人型ドランク、支配級のドランクから直接聞いた情報らしいが、今ではその詳しい情報は残っていない」

「それじゃあ、その隠居したっていう黒鉄って人に聞いてみたら良いんじゃないの?」

「黒鉄殿は、我々スターズの総力を使っても見つけ出せない場所にいるから私から会うことは出来ないんだよ」

「弟子なんですよね?」

「弟子と言っても、もう200年ぐらい前までだから今では全く接点はないんだよ」

「そうなんですね」

「まあ、とにかく、私が知っているドランクの情報はこれでほぼ全てだな。これ以上は流石に私でも話すことは出来ない。これ以上の情報は、佐官以上の階級の者でなければ知ることを許されないから、どうかそこら辺は理解してほしい」

「分かりました。そういうことであれば、私達からはもうこれ以上は聞きません」

「ありがとう。そうしてもらえると助かる」


 話が終わるとフェルが言う。


「マスター。目的地上空に着いたぜ」

「そうか。悪いがしばらくの間はこの場で待機していてくれ」

「ああ。分かった」

「それじゃあ、降りようか」

「はい」


 さてと、マリンはベリルベルの遺跡への入り口と思わしきものを見つかったと言ってたが、それが本当ならば何の施設が出るんだろうか。

 そう思いつつも、【ゲート】で地上の砂漠へと降りた。

『良かった』、『続きが気になる』などと思っていただけたなら、評価やブックマークをしてくださると、とても嬉しいです。投稿日時はバラバラですが、どうぞこれからもよろしくお願いします。

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