10話 シャドウナンバーズの合同任務その1
カーラルに突然呼び出されて私は、カーラルの局長室へと来ていた。ちなみにカーラルが担当している局は、施設管理局である。
「先日の任務はご苦労だったな。特に何も無かったようでよかったよ。でも君ならば大丈夫だったろうけど」
「わざわざそのようなことを言うために私を呼び出したわけではないでしょうに。前置きはなしで、さっさと本題に入ってもらって結構ですよー」
「随分と冷たいな。まぁ、そう言うなら遠慮なく。君をわざわざ呼び出したのは他でもなく新しい任務先に向かってほしいからなんだ」
「それで、その任務て言うのはいったいなんなんだ?」
「今回の任務は合同任務にしようと思っているんだ。だが合同任務といっても君のところの九班とではなく、シャドウナンバーズ同士での任務だ。君はまだ、シャドウナンバーズ同士の合同任務をまだしたことがなかっただろう?シャドウナンバーズは、その権限状、危険な任務もかなり多くなる。もちろんシャドウナンバーズ同士での合同任務というのも自然と多くなる。そのためシャドウナンバーズは必ずそんな難しい任務でいきなりお互いの戦い方を知らないまま一緒に戦わせるわけにはいかないから、まずはまぁまぁの任務で受けてもらおうと思ってな。まぁ、万が一に備えるという目的が主だから必ずやっているんだよ」
「それで?私と組むのはいったい誰なんだ?」
「君と組んでもらうのはアリスロードだよ」
アリスロードさんか。シャドウナンバーズに名を連ねているってことはそこそこ強いんだろうけどどれほど強いのかわからないし、それに私と同じ全属性を持ちさらに、神級魔術師級の実力を持つという、アリスロードさん戦い方も見てみたかったしちょうどよかったのか。
あれ?でもなんでこんな理由だけでこんなにも嬉しく感じているんだろう?
この時この感情がなんなのかがわからなかった。だが、後にこの感情が恋愛感情だとわかるのはしばらく後のことである。
「早速で悪いのだが、今から出撃してほしい。既にアリスロードにはこの合同任務については連絡済みだ。現在は、正面入り口に待機してもらっている」
待機させているんなら最初からそう言って欲しかったんだが。
「待たせているんならもっとそれを最初に言って欲しかったものだ」
「すまんすまん。少しぐらいならば待たせてもそれほど問題はないから大丈夫だよ。……多分」
それ絶対大丈夫じゃない時のやつでしょうが。
「ところでどれくらいの間待たせているんだ?」
「そうだなぁ、30分くらいかな」
「なんでもっと早く言わなかったんだ!」
「ええと、その……君に連絡するのをうっかり忘れていました」
ハァーと少しため息をしてしまう。
今更ああだこうだと言っていても仕方ない。急いで準備をしなくては。
そう思い、私は急ぎ足で準備をしに向かった。
そして、準備が終わって正面入り口前に到着した。
「待たせてしまってすみません」
「べつに気にしていませんよ。それにどうせまた、カーラルさんが伝え忘れたんでしょうから。なので大丈夫ですよ」
アリスロードさんは、少し不満と苛立ちが混ざったような声で言った。
またって、いったいどれだけ忘れているんだよ!?そりゃあ怒りたくもなるわな。
「それでは、任務に向かいましょう。任務の内容についてはカーラルさんから聞いていますか?」
「任務内容については聞いています。確か、森の中に突如発生した空間の歪みの中からドランクが何体か出現。いずれも確認されているのは下位種のみだったと」
「その通りです。ですが、例え下位種であったとしても油断は禁物です。それに、まだその正確な個体数は偵察部隊がまだ帰還していない為私達も迂闊に出撃が出ない状況です」
「そうなんですか」
私はスマホを取り出し敵個体数を確認する。
「それはいったいなんですか?」
そのツッコミは当然だな。さて、どう説明したもんか。
スマホについて話すことはべつに構わないけど少し説明が難しいな。
そして、スマホのマップアプリと探索魔法を合わせて調べる。
なぜ、探索魔法だけでは駄目なのかというと探索魔法の範囲はそれほど広くはないからだ。逆にマップアプリだけだと対象を調べるのに探索魔法よりも時間が長くなってしまう為この組み合わせならばかなり範囲が広くそして細かく調べることができる。
だが私が元々使える探索魔法だとこれが成立しないためこんな時のためにあらかじめ魔法創造で創っておいた【魔法改造】を使って探索魔法を改良範囲だったりそれ以外の効果も自由自在にできるのである。
そうして、【魔法改造】を思考加速をしながらシエラ全面協力のもと行ったため時間が思っていた以上に余ってしまったためついでに他にもいろいろな機能を付け加えたりしたため探索魔法の分類ではどうかと思い、探索魔法の上位魔法(帝級魔法)である探査魔法に分類させてもらった。
その魔法の名は、【エクスプロレーション】である。
この【エクスプロレーション】をマップアプリと合わせて発動させ、現在の状況を大体把握しそして、敵が合計十八体いることがわかり、そのことを直ぐ様アリスロードさんに伝えた。
「どうやっててと聞くまでもなくその手に持っているその板みたいな機械でわかったんでしょうけど。それについて今すぐ聞きたいところですが帰ってきてから聞きますから覚悟しておいてくださいね」
あ、これ変な誤魔化しできないやつだ。そう考えると同時になんとも腑抜けた声で返事をしてしまった。
「あ、はい」
「ところで広範囲魔法の魔力が感じられるのですがいったいなんの魔法を使用したのですか?」
「その答えは簡単ですよ。【エクスプロレーション】とこれの機能を合わせて発動させて、敵の位置並びにこちらの偵察部隊の状況を把握していたんですよ」
「ちょと待って下さい。【エクスプロレーション】は確か、帝級魔法に分類されてはいますが、扱いの難しさやその性能の良さから事実上聖王級になるという探査系の魔法のに中でも珍しい最上位魔法のはずです。そのような魔法を扱えるのは聖王級以上の魔術師ですよ。少なくともこれで春人さんが聖王級以上の魔術師であることはわかりましたが」
「そうなのですか」
「そうなのですかじゃないですよ!……まぁ貴方は、私達シャドウの中でも異質な存在ですから何を言ってもおそらくは無駄なんでしょうけれども」
「結構酷い言い方をさらりと言いますね」
「……状況もわかりましたし、早く現場の方に向かいましょう。私は一足先に向かってますね」
その宣言通り先に行ってしまった。
上手く逃げたな……まぁ、アリスロードさんの言うことには一理あるしさっさと行くとするか。
『良かった』、『続きが気になる』などと思っていただけたのなら、評価やブックマークをしてくださると、嬉しいです。投稿日時はバラバラですがどうぞよろしくお願いします。