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怪奇7


北京オリンピック開始早々、早速事件がおきた。


「外国から来たオリンピック出場選手の身内が、中国人に殺害されたらしいんだ!」


それを知らせてくれたのはアルバートだった。

携帯電話でそれを伝えてきた若いジャーナリストは、その報告だけすると、いろいろ取材があるからと電話を切ってしまった。


「なにがあったの?」

「アルバート、来れないんだって・・・。」

「仕事?」


玲子の問いにうなずけば、その場にいた全員が顔をあわせる。


「仕事なら、仕方ないよな。」

「大丈夫さ。彼は仕事が速い男だ。すぐに片付けてから合流するよ。」


早く片付く仕事ならね・・・。

仲間の会話を聞きながら、漠然とした思いにかられた。


「アルバートの話はやめてよ!間に合いそうなら来るはずだし。それよりも、目の前のイベントに集中しましょうよ!」


手をたたきながら、アーシャが声を上げる。


「今日は、生でオリンピックの試合を見られる日なのよ!こんなチャンス、滅多にないんだから!」


そう言うとアーシャは、みんなを会場の入り口へと誘導した。


実は今、世界中が注目する北京オリンピックの会場に来ていた。

趙さんの死の知らせを聞き、数年ぶりに集合した留学時代のメンバー達。

本来ならば、故人への弔辞を述べたら、そのまま国に帰るつもりだった。

ところが、みんなで趙さんとの思い出話をした時に、生前彼が「オリンピックを生で見たい。」と言っていたことがわかり、


「それなら、趙さんの分まで、オリンピック会場で競技を見て帰ろう。」


ということになったのである。

その場で話を聞いていた趙さんのお父さんからも、「明るく送ってもらった方が、息子も喜ぶ。」と頼まれたことも、決め手の1つだったと言える。

この決定が下されたのが、オリンピック開始直後の数日前。

到底、会場での観戦チケットが手に入るとは思えなかったのだが―――――


「パパの友達が行くのをやめたから、譲ってもらっちゃった!」


朗報を運んできたのは、栗色の髪が美しいフランス人。

留学時代に友達なったスポーツ万能女性・ジェシカだった。

なんでも、彼女の父の仕事仲間の一人が、オリンピック競技の観戦チケットを買い占めていたらしい。ところが、直前になって行くのをやめたため、そのチケットをもらえることとなったのだ。


「よく譲ってくれたね〜ジェシカのお父さんの友達。」

「うん。その人ね、食品関係の仕事してるんだけど、オリンピック前に中国人から嫌がらせをされちゃって!それで中国が大嫌いになっちゃったんだって。」

「えぇえ!?」

「『スピルバーグも参加しないオリンピックに興味はない。』って怒っちゃって、ただでくれたのよ!だからお金はいいわ!それから・・・・この話は、ロウ達には内緒よ!」


なにはともあれ、ジェシカのおかげでリアルタイムの試合が見れることとなったのである。

彼女が手に入れたチケットは数種類あった。なんでも、いろんな競技を見たかったジェシカのお父さんの友達がたくさん買っていたらしい。

メンバーは全部で15人。全員で一試合を見たかったのだが、ほとんどのチケットは、一試合につき5〜6枚。仕方がないので、バランスよくみんなでバラけることにした。

でも唯一、15人全員で見られる試合があった。それが、サッカー観戦のチケットだったのである。しかも日本の試合だったのだ!

日本人である私にとっては、飛んで喜ぶぐらいのうれしいラッキー。しかし、そんな私に反して、もう一人の日本人はずっと不機嫌なままだった。


「やっぱ来てるか・・・。」


人ごみの一点を見つめながら彼女はつぶやく


「なに?誰か知り合いでもいるの?」

「あたしは向こうを知ってるけど、向こうはあたしを知らない奴。」

「なにそれ?」

「『特警』よ、『特警』。」

「『特警』?」


聞きなれない言葉に首をかしげる。すると玲子は、ゆっくりな英語で答えた。


「『特警』っていうのは、サッカー観戦の時に出動する連中よ。北京のサッカー狂いは品がないことで有名でしょう?声援・応援の声が出ること事態が珍しいの。なんせ、野次しか観客は言わないからね。それを取り締まるのがあの『特警』達よ。」


顎をしゃくりながら、ある一点を示す玲子。そこには、1人の男性がいた。一見どこにでもいる中国人男性にも見れたが、どこか怖い印象を感じた。


「『特警』が来てるのか!?」


驚きの声を上げながら、会話に入ってきたのはガイリンだった。中国国旗を振っていた手を止め、こちらを凝視していた。


「ガイリン・・・知ってるの!?」

「知ってるさ!俺は最高にマナーが良い、サッカーファンだぜ!?」


英語で問えば、流暢な英語で返す友。そして、玲子の視線の先へと目をやるガイリン。ほどなく、彼からため息が漏れた。


「・・・いるな。それも、十四、五人なんてもんじゃない。いつもの倍いるな・・・。」

「それは、今確認できる人数でしょう?もっといるに決まってるじゃない。」


あきれ気味にぼやく玲子。ポケットからガムを取り出すと、口に放り込む。続いて、ポカーンとあけていた私の口をへと投げ込んだ。


「ムッグ!?」

「最悪。会場のあちこちにいるわ。はい、ガイリン。」

「あ、ああ・・・。」


私を横目で見ながら、手渡しで玲子からガムを受け取るガイリン。


「ちょ、ひどいよ玲子!?口に投げ込まなくても!」

「ロングシュートしただけよ。」

「上手いこというね!?てか、そんなことで誤魔化せ―――――」

「誤魔化せるわけないのにね〜『特警』の数増やしたって・・・。」


クチャクチャと、ガムを噛みながら玲子は言った。


「案外これから始まる試合も、オリンピックの競技全部が野次一色の応援かもねぇ〜?」

「馬鹿言わないでよっ!ロウ達がいるのに・・・・!」

「チャイナ、チャイナって、連発するかなぁ?」

「もう!そういう冗談はやめてよ。」


茶化すように言う玲子に、同じように茶化しながら返した。その時は、茶化しているのだと思った。しかし今思い返せば――――――玲子は皮肉っていただけかもしれない。

そんな茶か試合が終わった時、買出しに行っていたメンバーが帰ってきた。


「やっぱりなかったわ。」


そう言って、残念そうな顔でユンジュとマイケルが帰ってきた。

ユンジュは韓国人女性で、マイケルはアメリカ人男性。

二人とも、留学時代に知り合った友達である。


「なかったって・・・なにが?」

「国旗がなかったのよ。」


ユンジュが不機嫌そうに答える。


「売店で売ってるのは、アメリカか中国の国旗だけよ!こんなことなら、韓国の国旗を持ってくればよかった。」

「フランスの国旗は?」

「なかったわ。」

「日本も?」

「ないない!悪いけど、一番ないわ。」


大げさに手を振りながらユンジュは言う。


「売店の人に聞いてみたのよ。『フランスや日本の国旗はないんですか?』って。」

「そう言ったら、『日本の国旗はありません!』て断言したんだよ!」

「日本の国旗はない・・・!?」

「え?じゃあ、フランスの国旗は?」

「フランスについては、なにも言わなかったわ。」


なにそれ?あからさまに反日ってこと?


「あからさまな反日ね?」


話を聞いていた玲子が口を挟む。


「56民族の代表がよくやるわね〜」

「やめてよ玲子!」


中国人の友達のことが気になり、きつめの口調で注意する。


「冗談よ。」


そう言って笑ったが、アーシャだけは玲子をにらんでいた。


「とにかく、応援しましょう。」


場をなだめるようにスイチャが言う。


「そうよ!もう始まるし、先に飲み物とか配るね。」


スイチャと仲良しのユンジュが、かって来た飲み物を配り始める。マイケルは、唯一売店にあった国旗、中国国旗を配ってくれた。

試合時間が近づくごとに、周囲が盛り上がっていった。むろん、それは私達も。

楽しみにしていた日本人選手の試合。

私はこの試合を見に来たことを後悔した。



シャーシャー


「シャー!シャー!」


会場中で、『シャー』の声が響く。


「みんな、ガンダムファンかな?」


遠慮がちにマイケルが言う。


「そんなわけねぇだろう・・・・・!!」


日本語で玲子が言った。

試合が始まったまではよかった。しかしこの試合は、最初からおかしな点が多かった。


おかしな点其の壱。

日本人選手段が入場するとブーイング。


「・・・反日感情って、ここまでひどいの?」


ボーゼンとしながら聞くジェシカの問いに答えられなかった。


おかしな点其の弐。

日本人選手が、攻めるたびに沸き起こるブーイング。


「転べ!転べ!失敗しろ!!」

「攻めるな!日本の鬼!」


最初は控えめだった(!?)ブーイングも、過激になっていく。


おかしな点其の参。

日本がミスをすると大拍手。


「ざまぁみろ!」

「へたくそめ!もっと失敗しろ!」

「日本がミスをしたぞ!さあ、拍手だ、拍手!」


周りで沸き起こる歓喜の声。

ちなみに、相手国がミスをすると―――――


「失敗しても気にするな!」

「がんばれ!がんばれ!」

「次があるからがんばれ!」


なに、この差?


持っていたジュースのカップを、力いっぱい握りつぶした。

私が完全に、飲み物のカップを握りつぶしたころ、会場は日本の相手国を応援する言葉だけになっていった。


「シャー!シャー!」


と言うだけなら、『ガンダムファンの声だ』と、自分に言い聞かせることができる。

しかし、罵声を発している者達の言葉がわかるだけに、彼らの言葉は直訳されて脳へと送られた。


「日本負けろ!日本負けろ!」


嫌な気分になった。

嫌な気持ちが、いやな記憶を呼び起こす。

開会式でもそうだった。

日本選手団が入場した時、会場にいた人々は、一斉にブーイングをした。

戦争問題が絡んでいるとはいえ、大陸は『ひとつの世界、ひとつの夢』をスローガンに掲げてオリンピックを主催しているホスト国。

中国は、このをブーイングどう思っているのだろう。

会場には、日本人の報道陣も来ている。カメラもアナウンスもしている。彼らは、この現実を、日本人すべてにどう伝えるのか?ありのまま、流してしまうのか?

答えは、開会式終了直後の和美から国際電話でわかった。


「最悪だったね!開会式!NHKとかは、音で誤魔化してたけど、他の国のニュースは、しっかり音拾ってたよ!失礼にもほどがあるよ!!」


工作したのか。


「でも、日本よりも台湾へのブーイングがひどかったよ!」


それは私もそう思った。

現代の台湾人は、中国のことを『中国』と呼ぶ。

それ以前は、中国を『大陸』と呼ぶのが常識とされていた。

これは、『中国』と『台湾』がひとつの国と考えることからきており、『中華人民共和国』を基準国としていたためであった。しかし、近年になって、『中国』と『台湾』をわけてかんがえるようになった。つまり、1つの国ではなく、2つの別々の国としてわけるようになったのだ。台湾にとって、それは当然のことだったが、中国としてはそれを許したくない。だから、台湾に対して強く反発している。事実、台湾の代表はもちろん、台湾から中国進出した企業は、異常なまでの差別を中国から受けていた。


(そうまでして、アジアの中心になりたいのかな・・・)


それらのことを思い出し、完全に落ち込んでしまっていた時だった。

ふいに肩を叩かれた。

心臓が飛び上がった。恐る恐る後ろを向けば―――――――


「ティエン姐さん・・・・!?」

「大丈夫、妹妹?」


ボランティアの服を着たティエン姐さんがいた。心配そうにこちらを見ていた。


「ごめんね・・・妹妹。」


悲しそうな日本語で、ティエン姐さんが謝る。なぜティエン姐さんが謝ったかわからなかった。でも、無言で抱きしめられた時、その意味がわかった。


「ねぇさぁ・・・ん・・・!」


悔しくて、悲しくて、つらくて。涙が出た。

日本人が泣いているところをここにいる中国人が見ても、なんとも思わないだろう。

それどころか、いい気味だと笑う気がした。

それほど、この時の私の気持ちは、ねじれきってしまった。

罵る連中に向かって、罵声を浴びせてやればよかったかもしれない。

でも、そんなことをしても無駄だとわかっていたのでしなかった。

情けないが、とてもそんな気持ちにはなれなかった。


「ティエン姐さん!?」

「姐さんいつの間に!?」


年上の美女の登場に気づき、他の仲間達がこちらを見る。

その声に、周囲の中国人達も、こちらに視線を向けかけたのだが―――――


「日本がボールをとられたぞ!!」


前の方から上がった叫び声に、周囲が活気つく。しかしすぐに、その活気はブーイングへと変わった。ボールをとられた日本だったが、すぐにボールを奪い返したのである。


「余計なことをするな!負けちまえ!」

「日本は負けろ!負けろ!」


そんな同胞の声を、冷ややかに姐さんは見つめていた。

そして、私に視線を戻すと中国語で言った。


「可哀想に・・・!もう、こんなところは出ましょう!私がついていってあげるから!」


そう言って、私を席から離そうとしたのだが―――――――



「ダメよ。」



すごい力で手をつかまれる。


「出て行くんじゃない!」

「れ、」

「ここで出て行ったら、敵前逃亡でしょう・・・・・!?」

「玲子・・・?」


笑顔で問いかける玲子の姿。


「あんたはここにいるの。」


有無を言わさぬ圧力で言う大和撫子。

これには、姐さんもどうしていいかわからずに、たじろいでいた。それは周りの友達も同じだったのだが――――――


「ねぇ、応援しないの?」


そんな緊迫した空気の中で。その場の空気を読めない女が声をかけてきた。ロウでも、アーシャでも、スイチャでも、ジェシカでも、ユンジャでも、ここで名前を出していない、他の友達でもない。


「黙ってないで、応援しましょうよ。」


隣に座っていた、見知らぬ中国人女性。


「だ・・・誰?」

「あなたと同じ同族よ!一緒に、おーえん、しっよぉー!!」


思わず聞けば、ラテン系のノリで答えてくれた。そして女性は言ったのだ。


「一緒に言いましょうよ。」

「な、なにを?」

「一緒に日本に向かって(野次を)言いましょう!」

「はぁあ!?」

「あなた達、中国人でしょう?」


その視線は、ガイリン達に向けられていた。どうやら、私達が中国語で話していたので、中国人だと思って声をかけてきたらしい。


「中国人なら、一緒に日本に向かって言いましょう!これを続けていけば、最後には中国のためになるわ!」

「中国のためになる!?」

「そうよ!今のうちに圧力をかけておけば、金メダル獲得に中国が近づけるじゃない!?」

「馬鹿言わないの!!」


女性の言葉を遮るように、ティエン姐さんが怒鳴りつけた。


「なにを馬鹿なことを言ってるの!?この試合は、中国人ためだけの試合じゃないのよ!?少しは、他の国から来てる人のことも考えなさい!!」


聞いたことないような大声で叫ぶティエン姐さん。美女の気迫に、女性は圧倒される。


「ただでさえ、中国人のブーイングが問題になっていることを、あなたは知らないの!?中国人を恥さらしだとアピールしたいの!?」


ティエン姐さんの怒りに、女性は涙目になっていく。しかし、それを見ていた周りが動いた。


「おい!そんないい方しなくてもいいだろう!?」

「そうよ!私達は、を応援しているだけよ!?」

「ボランティアの姉ちゃん!あんたも中国人なら、日本人なんかの味方するなよ!」

「そうだ!あんたの方がみっともないじゃないか!?」


次々に上がる罵声。しかし姐さんは、屈しなかった。


「あなた達、自分達のブーイングで日本がミスをして、それでが買って喜ぶと本気で思ってるの!?ここは、戦争問題を話し合う場じゃないのよ!?スポーツをする場所でしょう!?そんな応援のされ方をして、勝って、メダルを取ってって、清廉な人なら嬉しくないわ!野次を飛ばして、勝たせることが、誇り高い中国人のすることなの!?」


観客に対して、一気に正論を述べる姐さん。

そして今度は、そんな観客の近くで応援していた者達に向かっても怒った。


「そこのあなた達!その制服はボランティアの子ね!?さっき、なんて叫んでたの!?」


ティエン姐さんの厳しい口調は、同じ服を着ている集団に向かっていった。


「私達の役割は、対戦する両チームに対して、平等に応援・声援を送ることよね!?どうして、日本の応援をしないの!?」

「・・・・それは、」

「この会場に、中国人がどれだけいるか知ってるわよね!?9割いるのよ、9割!それに対して、外国人は1割!10人中1人が外国人という少なさよ!これがどういうことかわかる?」


真っ赤な顔で怒るティエン姐さん。この方とのお付き合いは、ほんの数年ほどだが、ここまで起こる彼女を見たのは初めてだ。


「単純に考えても、中国人の応援の方が多いでしょう!?そうなれば、外国人の応援なんて選手に聞こえないわ!そういった不公平をなくすために、私達ボランティアは、少数の方を応援するように義務付けられていたわよね!?」


そうなの?

目だけで訴えれば、ガイリンが頷く。

え?じゃあ、なに?ボランティアってサクラッ!?


「いけないでしょう!?」

「みんなしてるからいいじゃない・・・!」


側にいた別の女性が、ティエン姐さんをにらみながら言った。


「不公平がないようにって言っても、それって、心からの応援じゃないでしょう?だったら、正直に、応援したい方を応援すればいいじゃない!」

「そうだ!サクラなんて、やらせじゃないか!そうでもしないと、応援がつかない日本が悪いんだ!」

「ここにいるのは大半が中国人よ!?数的なことを考えれば、そういう配慮をしなければいけないということがわからないの!?このオリンピックのホスト国は中国よ!中国人の癖に、そんな簡単なことがわからないほどあなた達は馬鹿なの!?」


それまで慎重に発言していたティエン姐さんだったが、とうとう堪忍袋の尾が切れたらしい。周囲からのブーイングに対して、強気の発言をしたボランティアの美女。

その言葉は、彼らの怒りを完全にあおっていた。


「お前、親日派の人間だな!恥さらしめっ!!」

「そうだ!出て行け!」


そう言うと、持っていたジュースの入れ物などを姐さんに投げ始めた。


「きゃ!?」

「ティエン姐さん!?」


姐さんにジュースの容器が当たる。その液体によって、彼女の帽子の色が変わる。その瞬間、体がカッと熱くなった。


「やめて!なんてことするの!?」


あまりのことに、泣くのを忘れてティエン姐さんをかばった。

私のこの動きは、ティエン姐さんにとって予想外だったそうだ。

そのため、難なく、彼女の盾になれたのだが、


「痛っ!」

「妹妹!?」

「痛った!痛った!いやいやいや!ほんと・・・痛いって!!」


本気でぶつけてきた。

手加減なしに、全力物をぶつけられた。

躊躇ない動きに、怒りを通り越して感心したが、私の仲間はそうではなかった。


「やめて!妹妹になにするの!!」

「ふざけるな!やめろ!」

「なにするのよ!?」


後ろで、姐さんの悲鳴が聞こえた。他の友達の声もした。

だがすぐに、その声はしなくなった。


「フォオ〜!!」


それと同時に攻撃がとまった。


「大スクープだね!!中国人観客、野次を止めたボランティアに集団暴行だっ!」


シャッター音と共に、陽気な声が響く。


「アルバート!?」


後ろにいたのは、ポラロイドカメラを持った陽気な西洋人だった。

彼は、呆気にとられている私を見るなり、大きな声で言った。


「どうも、はじめまして!大丈夫ですか!?あーあー!ジュースまみれで、ひどいですね〜!?」

「は、はじめまして・・・・?」


友達なのに「はじめまして」と言うアルバートに、ますます呆気にとられた。

彼は、ハンカチを私に手渡すと、すばらしく上手な中国語で言った。


「実は私、オリンピックを取材しているジャーナリストで、アルバート・グリンジャリンと申します!すみません・・・今のこと、記事にしたいんで、取材させてください!」

「取材!?」

「はいっ!!中国人観客が、野次を止めたボランティアやその友達らしい中国人にに集団暴行したことですっ!!」

「ええ!?」


楽しそうに大声で言う西洋人に、その周辺の人々が絶句した。


「いや〜オリンピックを感染する中国人は、『品がない!』と、聞いていて確かめていたんですよ!」


そう言うと、私にジュースの入れ物を投げつけた人達をポラロイドカメラで撮りだすアルバート。


「な、なにするんだ!やめろ!」

「撮るんじゃない!」

「やめろ?とるんじゃない?」


顔を隠す人々に向かって、今度は片言の中国で問いかけるジャーナリスト。


「そうだ!俺達を写真に撮るのを――――――」

「あなた達はやめたんですか?」

「ああ!?」

「このボランティアの女性が、野次をやめろと言った時、やめたんですか?」


彼の言葉に、非難の声を上げていた者達は言葉を失う。


「この女性が、ジュースの容器を投げつけないでくれと言った時、あなた方はやめたんですか?」


二度目の問いで、完全に口を閉ざす中国人達。


「あなたががたは、真剣勝負をしている両国を、平等に、公平に応援しなければ行けないのでしょう?そういう差別的なことをしていいんですか?」


中国語で威圧してくる外人に、最初に誘いをかけてきた女性も、その周囲も圧倒される。


「どちらか片方だけ嫌な気分にするのなら、中国人はそういうことをするのだと記事に書きますよ!?」


怒鳴りつけるジャーナリストによって、その場は静かになった。


「この会場には、約九割の中国人がいる。日本人など、一割程度。それこそ、十人に一人いるかいないかだ!そんな中で、どちらにも平等に応援するのが、ホスト国の、主催する国の勤めだろう!?」


そう言うと、はき捨てるようにアルバートは言った。


「品がないのにもほどがる!中国人は、自分さえよければいい人間ばかりだ!相手の気持ちなど関係なしに、感情の赴くままに、おろかな発言をするクズばかりじゃないか!!」

「ふざけたこと言わないで!!」


途端に、鋭い声が上がる。声の主は、ティエン姐さんだった。


「中国人は、『ひとつの世界、ひとつの夢』の精神の元に、オリンピックを良いものにしたいと考えてるわ!私達、中国人を侮辱しないで下さらない!?」

「だったら、さっきの応援はなんだい?君以外の中国人は、日本を罵ってばかりじゃないか!?綺麗なのは、顔でだけじゃないか!」


そう言って、問題のボランティア達を指差す。


「人を指差すのは失礼だと、ママに習わなかったのかしら?外人さん!?」

「胸を張って人様の悪口を言う奴は、将来刑務所に入るって習わなかったのかい?チャイニーズ!?」


そのまま、激しい口論を続ける二人。陽気なアルバートと、優雅なティエン姐さん。普段の二人はとても仲がよい。


それがここまで喧嘩をするなんて・・・!

これはとめないと!

そう思って、動こうとした時だった。


「冗談よ!!」


力強い叫び声。怒りを含んだ低音の声。聞き覚えのある声。


「冗談よ、ジャーナリスト。これは、チャイニーズジョークなんだから。」


玲子!?

喧嘩を仲裁したのは、ベリーショートの日本人女性だった。


「冗談!?」

「そうよ。今までは、日本の相手国の応援。これからは、日本の応援をする予定だったの。」

「野次が、応援になるのかい?」

「そう教えられてたの。それを知らない中国人や、一部のボランティアが間違えただけ。変な勘違いしないでほしいわよ。そうよねぇ?」

「そ、そうよ!間違えただけよ。」

「勘違いもいいところよ!」


玲子の言葉に合わせるように、同調する中国人観客とボランティア。


「間違えて伝わってたから、あなたと喧嘩してるボランティアの女性が知らせに来たのよ。」


ウィンクしながら言う玲子に、周囲は、そうだ、そうだ!と言いながら、拍手を送る。


「とても信用できないね・・・!」


しばらく玲子を見つめてから、はっきりとした口調で否定するアルバート。

このやり取りを見ているうちに、あることに気がついた。

見る限り、玲子とアルバートが芝居をしていることは間違いなかった。ティエン姐さんは、そんな二人に付き合っている状態だった。そのティエン姐さんの表情が、とても険しかった。特に目が、悲しそうにしていたのである。

あの取り壊された桃源郷に連れて行ったときのように――――――

なんとも言えない異様な空気が漂う。それを終わらせたのは、会場内を巡回していた『特警』だった。


「そこでなにをしてるんですか!?」


罵声に近い声と共に、数人の男達が現れた。そして、誰の話しを聞くことなく、アルバートを取り押さえる。


「な、何をするんだ!?」

「このスタジアムは、撮影禁止です!写真は没収します!」


そう言うなり、カメラと撮った写真を没収する『特警』。


「やめろ!お前達のやっていることは、報道の自由に反するぞ!」


必死に暴れるアルバートだったが、どこか芝居くさい動きだった。

後で聞いたのだが、最初にこの騒ぎを発見した『特警』の一人が、自分だけではどうにもならないと判断して、近くの仲間を呼びに行っていたらしい。こうして、十数人の男達に拘束されたアルバートは、芝居がかった助けの声を上げながら、私達の目の前から遠ざかって行った。

大丈夫なの!?アルバート!!?

中国の公安は怖い。

いくらアルバートが外国人だからといって、無事ですむとは思えない。


「いい気味ね!」


近くで、無神経な女の声がした。

横を見れば、あの声をかけてきた中国人女性が笑っていた。


あんたが余計なこと言わなければ―――――!


思いっきり女性をにらめば、相手がその視線に気づき、意外な行動に出た。


「ごめんなさい!!」

「・・・・・・・・・は?」

「ごめんなさい!こんなことになってしまって・・・、ほら!みんなも謝ってよ!」


そう言うと、私に向かってごみを投げてきた連中に怒鳴った。そして彼らも、予想外の高度をとった。


「悪かったな、姉ちゃん!」

「痛かったでしょう、ごめんね。」

「すまなかった!許してくれ・・・!」

「私達、やりすぎたわ。」


口々に謝罪の言葉を述べると、ばらばらに頭を下げる中国人の観客。まったく正反対の行動に出た彼らに、どう反応していいかわからなかった。中には、


「これで、汚れを拭いて頂戴。」


と、きれいなタオルやハンカチで服を拭いてくれる者もいた。

あまりのことに、思わずティエン姐さんを見る。


「ごめね、ティエン・・・!」

「ごめんなさい!ティエンさん!!」


同じ状況にあった。さっきまで、ティエン姐さんに偉そうな態度を取っていた連中は口々にいった。


「ティエンが、あのジャーナリストを追い払ってくれたおかげで助かったよ。」

「まさか、あんなジャーナリストがいるとは思わなかったぜ。危うく、中国のでたらめな記事をかかれるところだった。」


デタラメ?


あまりにもふてぶてしい発言に、眉間にしわがよった。どうやらティエン姐さんもそうだったらしく、額にきれいな青筋ができていた。


「おかしいと思ったんだ。声を荒げないティエンが、あんなに怒るんなんて。」

「必死で、私達にあの記者の存在を知らせようとしたのね。」

「気づくどころか、あなたを敵扱いした私達を許して!」


あまりにも都合の良い解釈の仕方。


「そうならそうだと言ってくれよ、ボランティアのお姉ちゃん!」

「俺たちも勘違いしちまったよ!」

「ごめんなさいね〜!」


そして、そんな都合の良い解釈を信じて、寝ぼけたことを言う中国人の観客。

ここまでくると、怒りを通り越して軽蔑の眼差ししか出なかった。


「―――――――――――やめて頂戴!」


謝る仲間に目もくれず、一直線にこちらに向かってくるティエン姐さん。


「座りましょう、妹妹。」


立ち尽くす私の腕をつかむと、強引に座らせる美女。その隣に彼女も腰掛けた。

『やめて』と言ったティエン姐さんの言葉。

その言葉の本当の言葉の意味を、彼らは理解していなかった。

それさえも、自分達の都合の良いように訳していたのだ。


「よかった!ティエンが許してくれて!」

「誠意が伝わったのね!」


そう言いながら、自分達のいた場所へと戻るボランティア達。観客も、再び、試合に集中し始めた。


「頑張れ、日本!」


先ほどのことがあり、控えめになった日本へのブーイング。

日本への声援も出始めていたのだが・・・・


「おい!日本ばかり、ボールを持ちすぎじゃないか!?」

「不公平だろう!」

「ミスしろ!失敗しやがれ、日本人!」


しかし、時間が経つごとに元に戻っていく罵声の数々。


「シャー!シャー!」


彼らは、先ほどのことなど忘れてしまったのだろうか。

それとも、あのジャーナリストが帰ってこないから安心しているのだろうか?

『特警』に連れて行かれれば、釈放はされても、捕まった場所の出入りを禁じられてします。

そうわかっていたから、日本への言葉の暴力を続けるのだろうか。


「シャー!シャー!シャー!」


増えていく殺せコールに、思わず仲間達を見る。


「がんばれ!日本!」

「しっかりして!最後まであきらめないで!」

「ここにも、日本を応援して人がいるぜぇ―――――!!」


目頭が熱くなった。

周囲の中国人は、日本を応援するロウ達に「黙れ!」と、野次を飛ばす。

それに負けることなく、大声を出すガイリンとマイケル。

「大きなお世話!」と、にらみつけ、つっかかるアーシャとジェシカ。

そしてユンジュ達は、自分達へのブーイングを無視しながら応援していた。

良い友達を持ったかもしれない。

目元をぬぐうと、スタジアムに向かって大声で叫んだ。


「ニッポン負けるなぁ――――――!頑張れぇぇぇ――――――――!!」


周りから、ブーイングが来たが無視した。選手に浴びせられている量を考えれば、どうということもない!そんなんで、私にダメージを与えることはできない!


「ねぇ、どんな野次をよく使うの?」

「え!?」


玲子!?


「どんな野次を、日本向けに使うの?」


前の席を見る。するとそこには、先ほどの女性と仲良く(!?)日本へのブーイングについて語る玲子がいた。びっくりするぐらいの笑顔で、玲子は女性にそう聞いていたのだ。

これには、友達全員が言葉を失った。


「一般的なのは『殺せ』よ!これで、バトミントンはうまく言ったって、友達が教えてくれたの!」

「へぇ〜」

「とにかく、シュートする時や、ボールを奪った時に罵れば良いのよ!『くたばれ!』とか、『引っ込め!』とかね!」

「日本人死ね!まーけーろっ!」


小学生ぐらいの子供が、茶化しながら、玲子の側で叫ぶ。それを周囲の大人が、「いいぞ!」と褒める。その子供の親らしいもの達は、ニコニコしながら我子の暴言を許していた。


「面倒に巻き込まれたくないなら、相手の国を応援するのが一番よ!もちろん、日本が点をとった時は、席から立って言えばいいから!」


なにも知らない女性は、笑いながら野次の内容を玲子に伝える。それを玲子は、ニコニコしながら聞いていた。


「お、おい!あんた――――――」


見かねたガイリン口を開いた時。

大きくホイッスルが鳴る。続いて、アナウンスが流れる。


「終わった・・・・?」


試合終了の合図。

あれほど楽しみにしていた試合は、あっけなく終わってしまった。


「そんな・・・・!」


つまらないことに気をとられすぎて、まったく楽しむことができなかった。

こんな最低なサッカー観戦は、生まれて初めてである。


「あ、試合が終わったみたいね?」


中国語で玲子が、相手の女性に話す。


「そうね!もう少し、無様な日本を見たかったわ!」


日本人である玲子に向かって、無邪気にそう話す女性。

彼女は気づいていないのだろう・・・。

自分が話している相手が、日本人であることに。


「試合の結果はどうあれ、なかなか興奮できてよかったわ。ありがとう。」


笑顔を絶やすことなく、満足な様子で女性に話す玲子。それから、私達の方を見ながら女性に言った。


「友達待たせてるから、そろそろ行くわ。」

「待って!よかったら、一緒にご飯でも食べない!?こっちも大人数だし!」


女性は、自分の連れを玲子に紹介しながら誘う。


「みんなで一緒に食べた方が楽しいわよ?」

「それに私、あなたと話してすっごく楽しかったの!だから、もっと話したいのよ!」

「そうそう!よかったら、友達にならない!?あなたもサッカー好きなんでしょう?」

「まぁ・・・サッカーと言うより、中国が好きなの。」

「愛国主義者なのね!?あなた、良い中国人じゃない!?」

「それは、ありがとう。でも、あたしとの食事はやめた方が良いわよ?」

「どうして?都合でも悪いの?」

「ご飯がまずくなるからよ。」

「え?」

「なにそれ?」


不思議がる女性達。

そんな中国人女性に向かって玲子は告げた。


「あたし日本人なの。」


満面の笑みで言う玲子。

その言葉に、全員が固まる。そして、嘘だ〜と笑い始めた。


「嘘で言うか馬鹿共っ!!」


途端に、玲子の表情が変わった。阿修羅のような、鬼のような形相で怒鳴りつけると、服の下に下げていたパスポートを取出す。それを、彼女達や周囲の人間に見せ付けた。

あまりのことに、絶句してしまう女性達。


「人を見てものを言えや。」


そう言いすてると、中国人女性達から離れる日本人。ふいに、玲子の視線がとまる。そこには、彼女の隣でブーイングした子供がいた。すると、わざとヒールの音を立てながら近づく。素早くかがむと、子供相手に言ったそうだ。


「大人の真似をするってことはな、大人と同じ対応をされても文句は言えねぇんだぞ?覚えとけ、クソガキとその親。」


静かな口調で言う日本人。乱暴な中国語でそういうと、回れ右をしてゆっくりとこちらに帰ってくる。玲子が離れると、子供は火がついたように泣き出した。怒鳴ったわけではないのに、母親に抱きついて泣いていた。親は親で、化け物でも見るような視線をこちらに向けていた。

玲子が、どのような顔をしたのか、私達からは見えなかった。しかし、玲子を見送る女性達の様子を見る限り、怖いものだったことはよく理解できた。



部屋に戻ってから、野次の話は自然と出た。

しばらくして、警察から解放されたアルバートが訪ねてきた。

あの時のやり取りは、やはりお芝居だったそうだ。

我を忘れて日本を非難する中国人の観客と、我を忘れて日本人をかばう中国人ボランティア。このままでは、ティエン姐さんが危ないと判断したアルバートが、急遽、わざと目立つ途上の仕方をしたらしい。ポラロイドカメラを使ったのも、騒ぎを目立たせ、特警に捕まった際の取調べをスムーズにするためだったらしい。

用意周到なジャーナリストに、全員で拍手を送った。

また、この試合を一緒に見たロウとアーシャ、ガイリンとヒョウとホウは、しばらく落ち込んでいた。

自分の仲間を、第三者の立場で見た時、なんとも言えない気持ちになったそうだ。

確かに会場は、ブーイングをする、マナーの悪い中国人が大半だった。しかしその一方で、少数ではあるがそうでない人もいた。

小声ではあったが、「がんばれ、日本。」と応援する人や、日本入場時には、大きな拍手をしてくれる善良な中国人がいたと、ティエン姐さんが教えてくれた。

今回は野外競技だったが、室内競技はそんなに目立つほどのブーイングはなかったそうだ。

でも・・・・・


「マナー違反は、マナー違反だよね?」


私の問いに玲子は、しっかりと冷えたビールを渡してくれた。


「そうね。だから、あたしの行為も許される。」


にやりと笑う友に、一体、子供相手にどんな顔をしたのか。


それだけが、謎として残った。






















北京オリンピックは、劉翔の件と一部の国へのブーイングが本当に残念でした。

劉翔は本当に優れた選手だったので、あのようなアクシデントがなければ、メダルを取れていたと思います・・・・。出来れば、次のオリンピックで、ハードル王子には、リベンジ&復活を果たしてほしいです。無論、日本陸上界の王子と姫にもがんばってもらいます!!


ブーイングに関しては、正直、日本はあると思っていました(苦笑)

ただ、その他の国へもブーイングが起きるとは思っていませんでした。

また、フランスの行動も予想外でした。

オリンピックで驚いたのは、チケットの支払いが、中国の銀行での引き落としかVISAというカードのみでしか出来ないこと。そのため海外の人は、中国に銀行口座を開設するかVISAカードを作るかしかない。

そのため、中国の銀行は、この時期、ちゃっかり・がっぽりと稼いだのではないかと思います。

しかし、このオリンピックチケットは、ビザを取って滞在している外国人には不親切であったようです。なぜなら、チケット販売前後から、中国政府が滞在ビザを操作したからです。おかげで、チケットが買えてもビザの期限によっては、中国から出て行かなければならないということ長期滞在者が発生。当初、1年取れたビザが、最終的には一ヶ月になってしまいました。これは、観光客向けにはよかったが、中国への貢献度が少ないとされた中国人低所得者と長期滞在の外国人はオリンピックへの参加を制限されたようです。

のちに、余ったチケットが早い者順となった時、窓口・電話口・ネットでは、あぶれた数百万人が殺到したようです。

ただし、政府の人間や公務員、軍の関係者には、招待券が送られたようです。

ちなみに、開幕式と閉幕式では、開幕式チケットの方が高かったです。


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