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第六話 旅先で出会いは付き物だよね

 この先の事を考えて年齢等少し(?)修正しました。

 他にもちょこちょこと修正があります、これからも多分矛盾を見つけ次第修正していきます。やっぱりお酒飲みながら書くべきじゃないね・・・

 ヒュウと心地のいい風が肌を撫でる。


 時間で言えば正午過ぎくらいだろうか、俺は件の森の中にてスキルの確認を行っていた。


 一一スキル。

 それは天より与えられる力らしい。


 最初はなんだそのふわっとした説明は、等と思ったが。

 天職を得る際に着いてくるものと言うような常識らしいのでなるほど、と納得しておいた。


 スキルの中には二種類あり、片方は通常スキル。


 例を挙げるならば俺の「剣術」だ。


 これは努力をすれば後天的に取れるものらしいので、多分父さん達との訓練によって手に入れたのだろう。


 そしてもう片方は天職スキル。


 その名前の通り天職によって得られるスキルで、俺の場合は「鑑定」「アイテムボックス」「生活魔術」「セーフゾーン」がそれにあたる。


 魔道士の母さんは「魔導の極み」、聖騎士の父さんと兄さんは「護国式聖剣術」だったか。


(そう考えたら便利だが地味だな)


 そう思ってしまうのも無理のない事だろう。


 ひとまず背もたれにしていた木へと手を当て、鑑定と心の中で念じてみる。



・シアの木:ティルクソリア王国全土に群生する広葉樹。

  その身には多量の水分を吸収させているので、薪には使えない代わりに防火林としてよく街へと植えられている。



 頭の中へと目の前の木の情報が流れ込んでくる。


(うおっ、やっぱり何度やっても慣れないなこれは)


 普通は【鑑定士】というレアな天職のみが持つこのスキル。

 これは身体のどこかで触れる必要があるが、相手のステータスを覗き見る事が出来るのだ。


 一一余談だが、昨日の夜のうちに父さんと母さんのステータスも許可を得て鑑定したのだが。



・ステータス

 名前 : リカルド・ティルティフォン

 天職【聖騎士】


 レベル : 89

 HP : 920/920

 MP : 119/119

 筋力 : 950

 防御 : 445

 魔力 : 119

 対魔力 : 445

 敏捷 : 950


 天職スキル 護国式聖剣術

 スキル 剣術(レベル8)

     体術(レベル6)

     棒術(レベル1)



 名前 : クラリスタ・ティルティフォン

 天職【魔道士】


 レベル : 75

 HP : 405/405

 MP : 810/810

 筋力 : 105

 防御 : 105

 魔力 : 810

 対魔力 : 780

 敏捷 : 105


 天職スキル 魔導の極み

 スキル 火魔法(レベル8)

     水魔法(レベル8)

     風魔法(レベル7)

     雷魔法(レベル7)

     光魔法(レベル7)

     闇魔法(レベル6)

     魔力操作(レベル9)



 シンプルに化け物二人だった。

 

(ここの世界の住人って皆あんな感じなのだろうか)


 不安になってきた。


 気を取り直して次は生活魔術。



「・・・クリーン」



 そう唱えると、俺の着ている服に多少着いた汚れがきれいさっぱりと無くなった。

 これで洗濯機要らずだな。この世界には無いが。


(まあ旅にはうってつけだわ)


 他にも光源を暫く空中待機させる魔法や火種を起こす魔法、果てには飲料水を出す魔法まである。



「便利だが使う度にそれぞれMPを消費するみたいだからな」



 そう言って自らを鑑定してみる。



・ステータス

 名前 : セア・ティルティフォン

 天職【旅人】


 レベル : 8

 HP : 23/23

 MP : 51/55

 筋力 : 55

 防御 : 23

 魔力 : 55

 対魔力 : 55

 敏捷 : 95


 天職スキル 鑑定

       アイテムボックス

       生活魔術

       適応

 スキル 剣術(レベル6)

     体術(レベル3)

     速読

     悪路歩行(あくろほこう)



 他者に対する鑑定で2、服を綺麗にする分で1、自分への鑑定で1。

 合計4のMP消費だ。


 が、それよりも気になるところがあった。



「レベル8?昨日の時点では5だったはずだが。それに、悪路歩行なんてスキルは無かったけど」



 そう、レベルが3も上がっていたのだ。

 気が付かない間にスライムでも踏み潰していたか?いや、そんな訳は無い。


 確か、普通はレベルを上げるには魔物を狩る必要があるはずだ。


 母さんから学んだ内容は、魔物を構成する魔力を、倒した者が経験値として手に入れる。

 それが一定を超えた際にレベルアップをし、ステータスが上がるというものだ。


(・・・どういう事だろうか?)


 一応天職が【鍛冶師】であれば、剣を打っても経験値は入るらしい。

 が、それも何十本も打った場合の話だ。


 俺は【旅人】、となると。



「旅をすれば経験値が入るのは当たり前として、他にも経験値が入る行動があると考えた方が良いな」



 次に、スキルが増えている件について。


 確かに昨日までは悪路歩行なんてスキルは無かった。


 スキルというのは先程言った通り、後天的に取れはするが。そうポンポンと増えるものでは無いはずだ。


(となると、怪しいのはこの適応とかいう天職スキルか?)


 未だ効果のよく分からない天職スキル。

 適応、と言うからには旅をする際に楽になるよう補正をかけてくれるのだろうか。


(まあ今考えても分からないな。とりあえずはスライムを探そう)


 そう結論付けて、スライム探しへと歩を進める。






 一一森の中を彷徨(さまよ)うこと一時間。



「やばい、全然見つからねえ・・・」



 森中駆け回ったが、未だに一匹たりともあのゼリー状の生物を見つけれていない。

 スライムには収穫時期でもあるのか?と思うレベルで見つからない。


 これは諦めて帰るべきか否か、と感じ始めた時だ。



「一一、一一!」



 ガサガサッ、という音と共に森の奥から誰かの声が聞こえる。

 声の高さ的に女の子だろうか。


(こんな所に女の子?)


 頭によぎるのは先程のギルドマスターの一言。


(・・・俺と同じぐらいの子が登録したとか言ってたけど、まさかな)


 そう思い草陰に隠れて様子を伺うと、そこには。



「お姉ちゃんのためにも、ここで死ぬ訳にはいかないのよ・・・!」



 やはりと言うべきか。

 昼前、ギルドで正面衝突した少女が狼の群れと対峙(たいじ)していた。


(完全に囲まれてるな)


 幸いと言っていいのか分からないが、狼達は此方(こちら)に興味を示していないようだ。


 目の前の獲物に釘付けの狼は、彼女を仕留めるため動き始める。

 少女を中心として周りながら、ジリジリと間合いを詰め始めているのだ。


 統率の取れた動きに対して、少女は剣を構えて狼達の攻撃に備える。


(・・・悪手だな)


 相当の実力差が無い限り、複数の敵に囲まれた場合は相手が陣を形成する前に瓦解(がかい)させねばならない。

 が、戦闘慣れしていないであろう少女は自分からは仕掛けようとしない。


 直後、狼達が動きを見せる。


「グルオオオォッ!!!!」


 少女から見て左前方へと詰め寄っていた狼が、咆哮(ほうこう)を上げながら少女へと牙を剥ける。

 

「っ・・・!」


 少女は突貫してきた狼へと向けて、構えていた剣を振るう。


 だが狼達は人間を相当狩り慣れているのだろう。


(馬鹿、それはフェイントだ)


 最初の咆哮に気を取られた少女は、自分の後ろから迫る狼の牙に気付くのが遅れてしまった。


 背後の気配を遅れて察した少女。その勝気なつり目からは絶望の表情が広がる。


(見捨てるなんて選択肢は無いな。旅先でそんなことしたらアイツに怒られちまう)


 そう思ってからの行動は早かった。

 ステータスで最も伸びの良い敏捷(びんしょう)を駆使し、一気に少女の背後の狼へと距離を詰める。



「この出会いだって何かの縁だ。助けるぞ」



 そう少女に聞こえるように呟き、狼の横合いから全力の蹴りを入れる。



「・・・え?」



「グルォッ!?」



 五匹のうち一匹を巻き込み吹き飛んでいく狼。ひとまずは二匹戦闘不能。

 硬直している彼女を後目しりめに、アイテムボックスから剣を取り出し二振り。

 剣術のレベルは5、これは父さん曰く部隊長と同じレベルらしい。

 俺を警戒していたはずの狼二頭の首にそれぞれ一本の血の線が入る。

 首を両断された狼二頭はその場に身体だけで崩れ落ちる。



「で、残りはソイツだけか」



 そう言いながら、少女の抑えていた狼へと短剣を向ける。


 群れの崩壊を察した狼は、先程自ら詰めた間合いを一歩一歩離し、最終的には逃げていった。


(・・・割と何とかなるもんだな、親父様様だ)


 父さんから剣術、体術を学んでいなければ普通に苦戦しただろう。狼なんて戦ったこと無いし。


(おっと、そういや件の少女は・・・と)


 一瞬忘れかけていた少女へと目を向けると、ヘトヘトとその場へと座り込んでいた。

 よほどショックが大きかったのか、その場に(うつむ)いてしまっている。



「大丈夫か?」



 なるべく優しく問いかけるが、返事は帰ってこない。


(どうしたんだろうか?)


 そう思い、彼女を観察する。


 ほんの数時間前にも見た、一本に結わえた肩ほどまでの透き通った綺麗な銀髪。

 瞳は相変わらずルビーのようで、つり目により勝気な印象を与えている。


 そしてその双眸の先。正確には彼女の足元の地面付近。


(あー、そういう事か。・・・どうしよう)


 気が緩んだのか、少女は粗相(そそう)をしてしまっていた。


 折角絶望から救ったはずのその表情には、今度は余りにもな羞恥(しゅうち)が襲いかかってきたようで。



「ううっ・・・ぐすっ、ひぐっ・・・」



 泣き出してしまった。

 いくら強気な少女とはいえまだ思春期の頃合だ。辛いものがあるだろう。


(・・・今日も空は青いな)


 そう視線を上へと()らしながら、出会いにも色々あるんだなあ、と俺は遠い目をしていた。

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