プロローグ
まだプロローグなので短めです。
旅。一一この言葉の意味を貴方はどう捉えるだろうか。
家族や親しい仲間と共に食料を持ち、散歩がてら遠出をする。
幼子が自分の家の周辺のまだ知らない場所を散策する。
冒険家からするとまだ誰も知らぬ宝を求めてのダンジョンの探索。
国単位で見るとすれば、隣国に攻め入ることだって兵隊達からすれば旅だ。
旅というのは面白い。先程述べた様に人によって違う意味を成し、時には運命の出会いの如く人同士を結びつけ合う事だってある。
つまり何が言いたい、だって?そんなの決まってるだろう。
一一俺達旅人はいつだって、まだ見ぬ出会いを求めているのだ。
「グルルルルルルルルゥゥゥゥ・・・」
だから今まさに目の前で唸る狼の群れと、囲まれている震えた手で剣を構える少女。
それを遠目に見つけてしまった俺。
この状況だって、一つの出会いと言えるだろう。
・・・襲われたら一瞬で喰い殺されるだろうが。
「お姉ちゃんのためにも、ここで死ぬ訳にはいかないのよ・・・!」
そう呟く彼女は泣きそうになりながらも、眼は諦めることなく真っ直ぐに前を見ていた。
直後、狼達が動きを見せた。
少女を中心として、一縷の隙も見せまいとしながらジリジリと詰め寄り始める。
統率の取れた動きだ、この群れは相当の獲物をこの方法で狩り続けてきたのだろう。
対する少女は、いつ襲いかかられたとしても狼の動きに対応出来るように待ち構えていた。
だがそれは悪手。
仕掛けて来ないと分かった狼達は、さらなる動きを見せる。
「グルオオオォッ!!!!」
少女の左前方に詰め寄っていた狼が、咆哮を上げながら彼女へと牙を剥ける。
「っ・・・!」
備えて構えていた少女も狼の牙を防ごうと剣を振るう。
だが、狼達は無駄に小賢しく。
最初の咆哮に気を取られた少女は、自分の後ろから迫る狼の牙に気付くのが遅れてしまった。
背後の気配を遅れて察した少女。その顔には絶望の表情が広がる。
「この出会いだって何かの縁だ。助けるぞ」
「・・・え?」
「グルォッ!?」
この一言は彼女に聞こえたのだろうか。
俺は恐怖で硬直している彼女へと迫る狼へと向かい、首元まで迫っていた狼を蹴りで吹き飛ばして他の狼を一匹巻き込み戦闘不能に。
手に持った短剣を二振りすると、警戒している二頭の狼の首を両断。
残りの少女が抑えていた一頭は、群れが崩壊した事を察したのだろう、脱兎のごとく逃げて行った。
ヘトヘトとその場に座り込み俯く少女。
「大丈夫か?」
なるべく優しく問いかけるが、返事は帰ってこない。
(どうかしたのか?)
そう思い、彼女を観察する。
一本に結わえた肩ほどまでの髪は新雪のように透き通った銀髪。
瞳はどちらもルビーのように燃えるような赤で、その端正な顔立ちに勝気な印象を与える。
そしてその双眸の先、正確には彼女の足元の地面付近。
(あー、そういう事か。・・・どうしよう)
気が緩んだのだろう、粗相をしてしまっていたようだ。
「ううっ・・・ぐすっ、ひぐっ・・・」
泣き出してしまった。
まだ少女と言っても差支えのない年頃の女の子、中々辛いものがあるだろう。
なんというか、まあ。
一一やっぱり、出会いと言うのは色々な形があるよね。
そう再確認してしまった出来事だった。
如何でしたでしょうか?とはいえ、内容は些かテンプレすぎる気もしますが・・・
どちらにせよ、初心者の書いた拙作をお読み下さりありがとうございます!なんとか面白い話を続けていこうかと思いますので程々にご期待下さい!