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パンドラスイッチ

 目の前ではゴブリンが塵となって消えて魔核を落とす。


「はぁはぁ……何とか倒せた」


 僕は息切れをさせながらも短剣をしまうと魔核を回収する。


「それにしても結構時間かかったよなー」


 レックスが来た道を振り返ると何やら呟いた。


 あれからそれなりにダンジョンを進んだ僕らは最深部まで到着した。


「ゴブリン相手に息切れしてるなんてなっさけないのー」


 隣からミランダが顔を覗かせ僕をからかってくる。いつもながらに距離が近く、何やら僕の身体を隅々まで見まわしている。


 そんなミランダの言葉を聞きとがめたのかセレーヌさんが。


「そうおっしゃるものではありませんよミランダさん」


 人差し指をピッと立てると真剣な顔を僕らへと向けた。


「恩恵を得る時に皆ステータスが伸びます。剣士型なら身体力がアップしたり。魔法型なら魔力がアップしたり。エリク君の型は良く分かりませんが、少なくとも戦闘型ではないのでしょう」


 そして「他人の短所を笑うのはよくありませんよ」とミランダを窘めた。


「うっ……エリク。ごめんね」


 反省したのかミランダが謝ってくる。

 上目遣いに覗くその瞳は悪戯をやり過ぎた時にいつもする表情だ。


「別に気にしてないさ」


 正直グサリときたのは間違いないが、ミランダにそんな顔をさせておくほうが嫌だ。


 だが、ミランダは何やらもじもじしているので。


「ん。どうかしたの?」


 僕が聞き返すと何やら顔を赤らめると……。


「そ、そのね」


「うん」


「け、怪我しなくて良かったなと思って」


 そう言うとプイっと顔をそむける。どうやら彼女は僕を心配して身体を見ていたらしい。

 僕が何と答えてよいかわからずにいると。


「おっ、なんか奥で光ってるぞ」


 レックスが話題を逸らしてくれる。


「へえ、あれが噂に聞く最深部に設置されてる魔法陣ですか」


 僕もそれに乗っかると、関心をそちらへと向けた。


 奥の方に見える青白い光が立ちのぼる魔法陣。これはテレポーターというもので、乗ればダンジョンの入口まで戻してくれる便利なものだ。


「近くでみよっと」


 駆け出す際に、ミランダが集めていた魔核がぽろぽろと零れ落ちる。


「お、おいっ! ミランダ」


 僕が慌てて魔核を拾い集めている間にも三人は先へと進んでしまい。


「これに乗ればようやく訓練も終わりなんですね」


 そんな風に話をしている。

 僕は魔核を拾い終えて歩き始めるのだが……。


「ん? 壁に何かスイッチが埋まってるぞ」


 レックスが何かを発見したようだ。


「それはパンドラスイッチですね。これは新発見ですよ」


 古びたダンジョンに偶に現れる事があるスイッチで。お宝が出現したり、モンスターが発生したりと様々だが大体半分の確率で幸運を引き寄せると言われている。


「すごいすごい。私にも見せてよ――」


「――馬鹿押すなって」


 通常ならばきちんとしたパーティーで備えて起動するのだが。

 ミランダがレックスに寄りかかった事でバランスを崩してしまったレックスがそれに触れてしまった。


「えっ?」


「エリク君っ!」


 地面に浮かぶ赤い魔法陣。そして叫び声を上げるセレーヌさん。

 次の瞬間、僕の視界が大きく切り替わった。

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