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どっちが強い?

「だからっ! お前の方が間違ってるんだよ!」


「何を言います! タック王子の動きが悪いだけですよ!」


 目の前ではタックとマリナが言い争いをしている。


「大体、俺がわざわざ後ろにさがって攻撃をサポートしているのに何でお前まで下がるんだよっ!」


「そっちこそ、もっと積極的に前に出るべきでは? あなたの強みは戦況を打破する強引さでしょう!」


 新たな特訓内容としてタックとマリナとルナで3人パーティーを組ませて自作のダンジョンに挑ませたのだが結果は失敗だった。


 ちなみにルナは言い争いから離脱して僕の隣でお菓子を食べている。


「まったく。2人もその辺にしておいてよね。議論は良いけど喧嘩は駄目だよ?」


 反省をするのは大いに結構なのだが、それを先に活かさなければ意味がない。


「本当ですよ。常に沈着冷静にしてお互いを尊重すれば最善の結果は導き出せるのです。イブやマスターみたいな理想的な動きをすればいいんですよ」


 僕にお茶を淹れお盆を胸に抱えたままイブは横に立った。

 お茶を啜りとても平和なひと時を過ごす。だがここでルナがとある疑問を口にした。


「そういえば散々特訓をしたけど、今はマリナとタックどっちの方が強い?」


 ルナの純粋な疑問に――


「それはマリナに決まっているさ」


「それはタックさんに決まってますね」


 僕が振り向くとイブが信じられない表情を浮かべていた。


「イブ。それはどういうことかな? 僕はマリナに最高の特訓を施したつもりなんだけど?」


「マスターこそおかしくないですか? イブはタックさんを廃人寸前まで追い込んで訓練したのですよ?」


 お互いに険しい顔をする。


「確かにタックもトルチェで散々追い込まれたかもしれないけどさ。僕はマリナがどれだけ泣き叫ぼうともあの地獄に突き落としてきたんだよ? お蔭でマリナは精神的にも肉体的にも成長した。あれほど短期間で仕上げるのは僕にしか無理だったと思うんだけど?」


「マリナ夜寝るときにうなされていたよ。エリク自覚あったんだ?」


 ルナが戦慄した声を震わせている。


「マスターそれは間違っていますよ。イブはゴッド・ワールドのあらゆる機能を使ってタックさんを鍛えたんです。傍からはトルチェをしているだけに見えたかもしれませんが、特訓の密度では負けていません。イブにも管理者としての矜持があります」


「タックが寝るたびに電撃浴びせたりしてたもんね。あれは酷いと思った」


 ルナが同情的な声を出していた。


「どうやら平行線のようだな?」


「マスターがそこまでわからずやだなんて……」


 お互いの中心で火花がバチバチとはじける。


「ったく。今日はここまでにしておくか、明日こそは攻略してみせようぜ」


「ええ。今言った点に注意をして挑めば遠からずエリクのダンジョンを攻略できるはずですから」


 そんなところに2人が戻ってきた。どうやら議論はおしまいらしい。


「そこまで言うなら賭けようか? もし僕のマリナが負けるようなことがあったら執事姿で1日奉仕するよ」


「その挑戦受けて立ちます。イブが鍛えたタックさんが負けるわけありません。イブも負けたらバニー姿になります」


「おいっ! 何勝手に決めて……」


「そうですよ。大体どちらが強いかなんて今は些細な問題……」


「マリナ!」


「タックさん!」


 僕らは口をそろえていった。


「「絶対に負けるな!」」


 僕らの言葉に2人は気圧されながら頷くのだった。

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