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そして異世界転生


 周囲が騒めいておりその場にいる全ての人間が僕に注目している。

 天井は高く、シャンデリアが吊り下げられており。周囲の壁はステンドグラスで彩られている。

 何処かの教会を思わせる雰囲気の場所た。


「……リク」


 驚愕の表情で僕を見る人間の大半は子供だ。恐らくは中学生か高校生程度だろうが、外国人の容姿なので年齢を推し量る事は僕には出来なかった。

 さて、何故このような場所にいるのだろうか……?


「エリク。大丈夫かね?」


 無視していたわけではない。まさか自分が呼ばれているとは思っていなかった。

 目の前の白髭を生やした温和そうな老人が目に入る。


 次の瞬間、ざわついていた頭の中が整っていく。

 先程までは何か意識がぐるぐると回っていたのだが、それが一つとなり――。


「ええ。大丈夫ですよ。クリフ神父」


 記憶が蘇る。いや、二つの記憶が融合したのだろう。

 今の僕はエリクでもあり、もう一人の人間でもある。


「前代未聞の輝きだったが、身体に異常は無いのか?」


 その言葉で思い出す。今は恩恵の儀式の最中だったことを。

 恩恵の儀式というのは15歳になった時に教会で行われる。


 一人一人に何らかの恩恵ギフトが神様から贈られると言われており、この恩恵次第で今後の人生を左右させられると言っても良い。


「大丈夫です。むしろ身体が軽くて調子がいいですよ」


 記憶が統合される前の――恐らく前世の身体に比べれば余分な脂肪がなく、身体中に力がみなぎってくるぐらいだ。

 ここにきて元の世界の知識が活躍する。


 僕はライトノベルや無料で読める投稿サイトの小説を読み漁っていたので、現在の状況に対してそれ程混乱しなかった。

 現在、僕に起きている状況。それは…………。



 ――異世界転生――


「そうか。それでは与えられた恩恵を確認するぞ」


 クリフ神父の声がする。そうだった浮かれている場合ではない。

 現代の知識が手に入ったと喜ぶのは後回し。今は儀式の最中なので、恩恵を受けた子供はそれを教会に申請して壇上から降りなければならない。


「わかりました。どうすれば良いでしょうか?」


 僕は、期待に胸を膨らませると神父へと質問する。

 何せ僕は儀式の最中にあり得ない程の輝きを放ったらしいのだ、これまでの伝承でも強い輝きを得た人物というのはそのご、伝説に名を残しているらしい。

 【聖剣技】や【大魔法】などが当たれば儲けもの。それでなくても【治癒魔法】や【水魔法】などの特化系でもあれば専門職につきやすく将来は安定だ。

 

 できれば避けたいのは【火魔法】や【土魔法】他には【農地開拓】など、使える場所が限られている割にはレア度が低く地位を与えられない恩恵だ。

 戦地に送られたり、開拓が進んでいない僻地へと飛ばされて土まみれの生活を送る事になる。


 それにしたって前世での生活に比べればましな話なので、現状僕に外れは無い。


「掌を前にかざして浮かぶままに唱えると良い」


 僕は神父の言葉に従うと掌を前へとかざした。

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