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A lonely detective  作者: 妖狐
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消えた光

「あいつの話でもするか。」

悲しそうな寂しそうな顔をしながら赤土が、珍しくタバコを咥えて火をつける。

「島は1人だったからな…」

赤土が遠くを見ながら言った。

口から吐き出された煙は高く空へとのぼって行った…



4年前


「あー、寒っ。」

島は家族とスキーに行く支度をしていた。

珍しく休みが取れたのでみんなでスキー旅行に行くのだ。

仲の良い幼なじみの女の子の1家と合流して、バス乗り場に向かう事になっている。

すると、リリリリリンと電話が鳴った。

「もしもし、島です。」

[あ、蔵崎だ。えーと、蒼葉商店街で発砲事件だ。至急向かってくれ。]

嫌な予感はしていたが、事件だ。

こうなるとスキーには行けないが、しょうがない。

「わかりました。」

電話を切ると、

「母さん、俺事件だってからスキー行けねぇ。他のみんなで行って。」

コートを掴むとシルバーのサバンナRX-7に乗り込んで現場に向かった。


事件を解決して、暖かい刑事部屋に帰ってきてみんなで話をしている。

腕時計を見ると、あれから3時間経っていてバスは出発してしまっている時間だ。

菊池がテレビをつけニュースを見ていると、

《速報です。今から20分ほど前川崎県遠海市の山道でバスの事故がありました。警察の発表によりますと、蒼葉市7時半出発のスキー旅行のバスということです。繰り返します、今から20分ほど前川崎県遠海市の山道でバスの事故がありました。警察の発表によりますと、蒼葉市7時半出発のスキー旅行のバスということです。詳しい情報が入り次第またお伝えします。》

島は驚いた顔で画面を見つめている。

それに気がついた課長は

「島、まさか、お前が家族でスキーに行くって言っていたバスか?」

島はゆっくり課長を見ると、ゆっくりうなずいた。

慌てて課長が電話をかける。

「あ、後藤か?ああ、さっきあったバス事故なんだけど…ああ、被害ってどんなもんだ………うん、ああ、わかったじゃあな。」

電話を切ると、

「島、お前家族乗ってたんだろ、死者が出てるらしい。急いで行ってこい。」

島を追い出すように言った。

島はおどおどしながら

「ありがとうございます!」

と言って飛び出していった。


高速道路を西へ赤色灯を光らせながら爆走していく。

不安な気持ちでいっぱいだ。

冷や汗でハンドルを握る手が濡れる。


1時間も経たずに警察署に到着した。

「課長!!」

表で寒そうに後藤が待っていた。

「待ってたぞ。すぐ行く。」

後藤は2代目デボネアに乗り込むと、そのあとをサバンナRX-7で島が追った。

雪の降る峠道をどんどん進んでいく。

高いところまで上るとたくさんの赤色灯の光が見えてくる。

カーブを曲がると道の真ん中に原型を留めない大型バスが横転していた。

雪の積もった路肩に車を止めると慌てて駆け寄る。

ポタポタという何か垂れる音、かけられるブルーシート。

バスは悲惨な状態だった。

車内から運び出される息のない人々。

人々が集められた場所に二人は行く。

一人一人死体を確認していく。

血塗れの顔や損傷が激しいもの色々だ。

見ていくと、島の足が止まる。

少ししたあとまた歩き出す。

計5人の前で足を止めたあと、走ってその場を離れる。

人のいない自分の車のところまで来ると、思い切り車を蹴りつける。

「あーーーっ、ひっ、あーーーーっ」

窓を殴るが、固い窓ガラスは作用反作用で腕をはねかえすだけだ。

殴り過ぎで血がガラスにつき始めたとき、グッと手を捕まれる。

それでも殴り続けようとする島をグルッと反転させる。

腕を掴んでいたのは後藤だった。島は血が滲む手で後藤の肩を掴むが、泣きながらズルズルと膝をつく。

後藤は頭を抱きそっと撫でることしかできなかった。

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