表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/41

朋友は六親に叶うとは言うけれど

「みんな知ってると思うが、二年半振りの新人だ。みんな仲良くしてやってくれ。」


ゲームでは広場だった所に、いつのまにかギルドの訓練場が出来ていた。

気になって、辺りをきょろきょろと見回してみる。

地面は少量の乾いた草と、茶色い土肌。あと、沢山の石柱が吊るされた木が数本あった。ちょうどギルドの真裏に位置してて、広さは学校の校庭ぐらい。ちょうど真下に、あの闘技場があるのだろう。

訓練生は…みんな怖そうな人達ばかり。見た目で判断するのはあんまり良く無いけど。


「よ…よろしく…」


訓練所のルールは簡単だった。七日置きに、暴挙の石片を採ってくる実践テストがあり、見事に受かれば卒業。出来なければ留年だった。

一ヶ月で卒業する者も居れば、十年掛かる者も居るそうだ。


「さてと。じゃあそろそろ行くとするよ。」

「え?」

「それじゃあ頑張ってね。ルー。」

「えぇぇぇぇ…」


ギルドマスターはそそくさと帰って行く。

ここからでもギルドの建物は見えるが、いきなり知らない人達の中に放り出されるとは…


「あ…ああ…あの…!僕は…ぜ…ぜ…ぷと…るーいん…って」


僕のコミュ症が炸裂してしまう…希望とは裏腹にどんどん人は集まるし…


「い…いやぁ…ここは暑いなぁ…汗も出るし顔も火照るし。」

「………」

「………」


屋外とは思えない沈黙が包み込んだ。


そうだ…だからゲーム内コミュニティに入らなかったんだ…


『ガン!ガン!』


人混みをかき分けて、無骨で巨大な甲冑に身を包んだ冒険者が現れる。


「おい!大丈夫か!?顔真っ赤だぞ!」

「ぴゃう!」


気迫と距離感に圧倒され、思わず尻餅をついてしまう。


『ジャラジャラ!』

「ぬう!?」


顔も見えない甲冑の冒険者は、不意に巻きついた鎖で引き戻される。


「いやあんたが一番怖がらせてるんでしょ。」


少ししたら、鎖の主がここから見える位置に出た。

紺色のチャイナドレスの様な服装の女の子だ。年は僕と同じくらいかな…


「このゴリラが迷惑かけたわね。行くよ、ナイベ。」

「待てよファコラ!」


ファコラ…て呼ばれた女の子は、ゲームでは腕に巻くはずのバトルチェーンを髪留めの代わりにしている様だった。

確かに、あれだと鎖が邪魔にならない。


「ふう。で、君は今日が初日?」

「は…はい…」

「自己紹介するね。あたしはファコラ・レイ。君の指南役に抜擢されたエリートよ。」


ナイベって呼ばれた甲冑の冒険者が立ち上がる。


「お前、自分で志願したんだろ?」

「うるさい!このバカ!」


ファコラさんは瞬時に向き直る。


「ま…まあ、志願者の中から抜擢されたって意味よ。来て!」


僕はファコラさんに、出来るだけ離れない様についていった。

すると、あの石柱が吊るされた木の内の一本の前に着いた。


「えっと…これって…」

「モニュメントよ。見るのは初めて?」


ゲームでも、こんな奇妙な物は見た事が無かった。


「まあ、これを出現させる力自体、二年前に出たばっかだしね。君は新人だけど、あの呑んだくれ鬼教官懲らしめちゃったんだから…」


ファコラさんは、吊り下げられた石柱の内の一つに手を触れる。


『ピィィィィン…」


高音と共に石柱に光のラインが走り、そこから青白い煙の様な物が現れ、次第に形になっていった。


「こうやって、実体を持った幻影が手軽に召喚できる代物よ。あたしが呼び出したのはウルフ。十年前に絶滅した雑魚の内の一種。」


確かに狼だけど…


その様子を見ていた冒険者から声が上がる。


「おいそれ…狼は狼でも人狼じゃねえか?」

「あれ?」


青白い煙の狼は次第に大きくなり、二足に変わる。爪も鋭くなり、幻影とは思えない迫力を帯びる。


「ごめん…間違った…」


ファコラさんが弱々しく呟いた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ