五感を満たす一番手っ取り早い方法
目が覚めたと思ったら、次に僕を襲ったのは猛烈な空腹感。今、ギルドの大テーブルを一つ貸切の状態だ。
「もぐもぐ…ごくん。」
「へえ、よく食べるねぇ。育ち盛りなのかねぇ。」
食堂のおばさんも嬉しそうだけど、周りは変に盛り上がってる。
「おい…あれ…」
「確か、二年振りの新入りだろ?あの教官倒しちまった奴。」
「マジで!?ていうか、どんだけ食うんだよ!」
「これ…ツケの額ギロマの叔父貴超えるんじゃねえのか?」
外野がうるさいけど、今はただお腹が空いた。って事は僕が今確かに生きてるって事だ。
…此処で死んだら、また元の世界に戻るのかな…?
『ドカ!』
不意に、僕の隣にギロマさんが座って、食堂の方に手を挙げた。
「ドンペリ一本!あとエルダーライノスのステーキだ!」
「?」
「おっと。ルーのツケで。」
「!」
ギロマさんが怪しく微笑んで見せる。慌てて僕も。
「じゃあ僕はギロマさんのツケで。」
「なら、負けた方が全額だ。」
◇
お腹が一杯になって、手を止める事にした。
「ご馳走さま。」
「俺の勝ちだな。」
「……」
よくわからないが、僕は相当な借金をしてしまったらしい。
食堂のおばさんが食器を片付けに来た。
「全く、高級酒で値段稼ぎなんて、卑怯だねぇ。」
「言ってくれるなよ。とにかく。」
ギロマさんは僕の頭をくしゃくしゃと撫でる。
「168万5680ゴールド。出世払いで頼むよ。」
「嫌でも此処で働くしか無いようですね。」
しばらくは元の世界に帰る気にはなれない。




