ギルドの救護室の一室にて
「まさか、実在してたなんて…まさか人間でそれが使えるとは…」
「いや、ちと違うらしい。」
オンボロベッドで寝てるルーを脇目に、俺はギルドマスターに、断裂中に見た物を話した。
「その術式を、唱えないでキーボードなる道具で出現させてたんだ。でだ、そこに現れた文字も、どの宗派の呪術文字にも当てはまらない、未知の物だった。」
「服装も実に変わっているし、そもそもこれでは職業さえも分からず仕舞いだ。」
「…あとだ、ルーは、恐らくもう最初の一体は倒してるぜ。」
「!?」
コーヒーを一杯飲む。どうやらルーは俺たちの想像以上の存在らしい。
「それは…どういう事ですか!」
「ああ。俺が今日のクエストで狩ったヴァイオレントナイトは10体。だが、」
俺はポーチから、瘴気を放つ石をいくつか取り出す。
「俺が手に入れた暴挙の石片は11個。こいつは必ず一体に一個しか宿って無いし、ほっときゃ揮発しちまう。あの場にいたのは俺とルーだけだ。」
「…あの子は一体…」
「さあな。死にかけの俺たちを哀れんだ、神さんからの贈り物じゃねえの?へへ。」
「お前はなあ…」
「で、どうすんの。ルーは修行を受けるのか?」
ギルドマスターは、しばらく考え込んでいる。こいつは優秀な奴だが、あの婆さんとは違い経験が浅いのがネックだな。
まあ、どっちに転んでも結果は見えてるんだが。
「仕方ない。契約書面通りに進ませるしか無いからね。」
「ほう。」
ルーの力にゃ随分と謎も多い。剣召喚、スピードダウン、時間圧縮。何のスキルも無しに少なくとも三種類の能力を発動出来てる時点で普通じゃないからな。




