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やっぱり此処がエピローグかな、それとも…

書架の塔のテラスから、僕は晴れ渡った空を眺めていた。

地平線の彼方まで見えそうで、少なくとも僕の住んでいる街は微かに見えた。

遺跡、ダンジョンと化した集落、はるか向こうの方に、いつかのバグモンスター。


「よお、何してんだ?」


「ギロマさん。体は大丈夫ですか?」


「なんだお前、俺の心配をするとは随分出世したなぁ!」


思いっきり頭をくしゃくしゃにされる。

痛いけど、あったかくて、なんだか嬉しかった。


「ルー!大丈夫だった!?」


「スチュウ…うん、この通りなんも問題ないよ。全部、上手くいった。」


「良かった。じゃあ、ここのギルドマスターと会えるね!」


「…あ。」


そうだ。

元はと言えばその為に来たのにすっかり忘れていた。


「よし、行こっか。」



と言って、書架の塔の麓にある大きな石造りの教会に到着した。

ここがギルドの総本部らしい。


「ここにはね、ギルドエンペラーさんが住んでるんだよ!」


「へえ。どんな人だろう。」


ゲームじゃ確か、スキンヘッドの大柄な老人だったけれど。


大きな木製の二枚扉を開け、その建物に入っていく。

赤い絨毯に、立ち並ぶいくつもの質素な木椅子。

火の灯った蝋燭ならいくつもあるけれど、人影は見当たらない。


「!?」


と、不意に誰かに背中をポンと叩かれる。


「待ってたぜぇ〜可愛子ちゃ〜ん。」


後ろから声がして、すぐに振り向くけれど声の主の姿を捉えることが出来なかった。


「そー慌てるなぁ〜俺っちはここだぜぇ〜」


「うわ!」


再び前を向いた瞬間、見事なアゴくいをされる。

不思議な喋り方の女の子だ。

肩まで伸びる緑色の髪の毛に、赤と緑のオッドアイ。指ぬき手袋にノースリーブのジャケット。下はクタッとしたズボンを履いていた。


「おいおい、美少女いびりを辞めろって何回言ったら分かるんだ?」


「おお〜ぎろり〜ん。これまたお久だぜぇ〜」


あれ、これってもしかして。


「っと。自己紹介おくれたぜ〜。俺っちトブーっちゅうんだぜぇ〜なんかエンペラーやってるぜぇ。」


やっぱりね。

普通、僕の格好を始めて見た人は少なからず一瞬でも戸惑う筈。

それを、間髪入れずに求愛体制に入れるなんて。


「ちゅーてもなぁ〜エンペラーはあれだ、副業みたいなもんだぜぇ。本業はアイドルプロデューサーやってるんだぜぇ〜。」


「へえ…へ?」


ダメだ、知れば知るほど理解出来なくなってくるタイプの人だ。

トブー…さん?は、指を一つ鳴らすと、髪型がショートボブからセミロングのツインテールに変わった。


「と…所でトブーさん、僕達は何故此処に呼ばれたのでしょうか。」


「ああぁ〜そうだなぁ〜ちょっと此処に来た方が良い気がしただけだぜぇ。」


「?」


すると、後ろの方からギロマさんのこえが聞こえる。


「其奴のスキルは【危機予測(トラブルシューター)】。少し先に起こる厄介ごとと、それの回避方法が分かっちまう羨ましいスキルだ。」


「おいおいぃ〜手品のタネ言っちゃあ御仕舞いだぜぇ〜」



「あの…ギロマさん、送ってくれるのは有難いんですが、行く時もそうやってテレポートで行けたら…」


「なんだ、文句あるのか?…へへ、流石に3人の往復分までの魔力はねえからよ。」


瞬時に帰還した僕達を出迎える影が見える。


「ファコラさん?」


「お帰り。優しいあたしが出迎えてやったわよ。」


いつも通り、自信に満ちた声でそう言った。

良かった。出先で偽物に出逢ったから、本物のファコラさんが心配だったが、そんな感情は不要だったみたいだ。


「…そうだ、アンタさ、今夜訓練場に来てくれない?」


「…はい、良いですけど。」




ーー 月夜 ーー

広い広いちゃけた大地が広がり、光の消えた建物は夜の帳に覆い隠された。

そこはまるで、闇に浮かぶ一間の戦場の様な具合だった。


「ごめんね、こんな時間に呼び出したりして。」


「いえ…別に気にしませんよ。それより、何か御用でしょうか?」


少女が二人、戦場の真ん中で合間見えていた。

異界と現界。互いから見れば、立場はまるで逆転していた。


ファコラは、自らの髪留めを外して広げると、それは一繋ぎの鎖と化した。

木っ端と錆に塗れた、決して美しいとは言えない武器だった。


「まあ、この前のリベンジマッチみたいな感じ?肩の力抜いて良いわよ。」


そう言いながら、月明かりに照らされたファコラの頰には汗が光る。

それに気づいたか気づかないか、異界の少女は剣を一本、虚無より抜刀。

水晶生の透明な刀身の中で光が乱反射し、息を飲む妖しさと美しさを称えていた。


少女はにっこりと微笑みこう言う。


「武器生成だけは見逃して。これ以上はコマンドは使わないから。」


ファコラは若干拍子抜けした表情を浮かべると、その鎖を今までにない形で構えた。

異界と現界の、束の間の衝突が幕を開けた、




はてさて、思い付きで始まったこの小説も、一旦幕を下ろす事となりました。

いやぁ…まさかコメントや多数の評価なども頂いて、予想より大分長期連載出来ました!

もしまだ続きが読みたい等のコメントを頂ければ、必ず続きを捻り出して見せます!

では!

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