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ワンフィーネ

ギロマさんの短杖からはいくつもの魔弾が放たれる。

その全ては佐々木に向かっている。


「ふん。」


佐々木は指で宙をなぞると、魔弾はすべてかき消された。

次に佐々木は指を上に上げると、僕達の体も宙に持ち上がる。


「ぐあ!」


僕は壁に叩きつけられるけど、ギロマさんは壁に上手く着地していた。

骨が砕けそうになるけれど、とっさにキーボードを出現させた。


「ねえツァディ。」

「彼にはホスト権限があります。故にコマンドは通じないでしょう。」

「…やっぱりそんな感じか。」

「ただし叔父様は別です。恐らくこの状況でササキと渡り合えるのは叔父様だけですが、コマンド…もといプログラムを使われては元も子もありません。」


その時、二本の槍らしき物がこちらに向かうけれど、ツァディの出現させたシールドとギロマさんの魔弾で防がれる。


「叔父様の方は断裂時にもある程度の行動ができますが、恐らくクロノスラプトルの首飾りのお陰でしょう。貴女のやる事は一つです。」

「コマンドをギロマさんに掛ける…」

「了解しました。」


ツァディは、まるで元から用意していたみたいに無数のコマンドを実行した。

多分この瞬間で、一ヶ月分くらいの記号を見たんじゃないかってくらいに。


「がは!」


僕の世界が終わり、静止していた全ての物が動き出した。

当然、僕の体に対する損傷も。


「お?なんだこの力、お前がやったのかルー。」

「ふふ…」


壁から地面に落下し、べキリと鈍い音がする。

しかし…まるで自動再生のバフがついたんじゃないかって速度で傷は回復していく。

ツァディも人使いが荒いなぁ…

顔を上げると、ギロマさんと佐々木が向かい会って立っていた。


「なあお前、ルーと同じ場所から来たんだろ?なにしに来た?」

「現生人類のお前には分かるまい。これまでも、これからも。」


佐々木の背後から無数の水晶の槍が現れ、一斉にギロマさんに向けて発射される。

僕はその前に立ち塞がり、コマンドで水晶の壁でギロマさんを守る。


「よし。」


ギロマさんは僕の背中をトンと叩くと、その壁を登って佐々木に魔弾の強撃を浴びせた。

佐々木の頭が消え、そこからは電子を思わせる光が放たれていく。


『じじじ…ピー…』


佐々木の頭部は再生し、その顔は怒りに染まっていた。


「全く、どうして誰も私の理想を理解しないのだ!」

「そりゃ説明されてねえからだよ。」


佐々木は無数のプログラムを実行する。

これを全て失効させるのはかなり骨が折れる。

その時、ふと気怠そうな声が聞こえる。


「プロフラミングソフトウェア、化仏最高権限に基づき、メインユーザーのログアウトを決定しました。

「な!お前は…ヅェイオ!どうして私の許可も無しにこの世界に!」

「いやあね、機密施設からは解除されてたらしくてね、不法侵入罪だけだったらしいんだ。」


ヅェイオのポケットには、何やら錠剤らしき物が覗いていた。


「私を裏切るのか!」

「…ねえ佐々木、もうこんな事止めようよ。貴方にも私にも、この世界は合わないんだって。だから向こうに戻ってさ、また一からやり直せば良いじゃん。今度はパン屋さんにでもなってね。ね?」

「認めない!私は…私は…!」


その時、ヅェイオの唇が佐々木の頰に触れる。


「貴方が寂しいなら、私がそばにいてあげるよ。お腹が空いたなら、美味しいものを作ってあげる。一人になりたかったら、コミケにでも出掛けるよ。で、愛して欲しかったら、欲しくなくても、一生愛するからね。」

「……全く、仕方の無い奴だ…」


ヅェイオは僕達の方に向く。


「ツァディ、ルーを頼むよ。」


そして、ヅェイオはポケットから二錠の錠剤を取り出して飲み込む。

その後佐々木に刺した注射器を抜くと、二人の体は光に包まれ消えていった。


「何が起こったの?ツァディ。」

「恐らくこの世界での体を手放したのでしょう。多分もう戻って来ないと思います。」


辺りの異変が次第に収束していき、ゆっくりと空が晴れてきた。



ーー ナイベ ーー


微かに感じるさ。その分厚い鉄の下で抗うお前をな。。


「ガガガ…アタシハ…」


「お前の名前はファコラだ!妙な鉄人形でも、落ちこぼれでもない。ファコラだ!」


二本の鉄の槍がファコラの手に出現し、刃先が高速で回転する。

早回しの蓄音機の様な音がするさ。


「アタシ………ヨワクナイ!!!!アアアアアアアアアアア!」


「そうだ!お前は弱くない!だから、そんな物に負けるんじゃねえ!」


槍の一本が俺のみぞおちに突き刺さる。


「お前は、そんなもんに頼る様な奴じゃねえ。そうだろ?」


「アアア…アアアア!」


回転が一層早くなる。


「ぐはぁ…起きろ…ファコラ…起きろ!」


「アアア…ああ…嗚呼…」


槍の回転が止まり、すぐに崩れ消えた。

同時に、ファコラを閉じ込めていた鉄?の殻が砕け散って行った。


『ドサ、』


俺の腕の中にファコラが、本物のファコラが寄りかかる。


「…ナイベ…?」


「ああ、どうした?」


「酷い怪我…何が…」


「俺様を見縊るな?こんな怪我、飯食って寝れば完治だぞ。」


すると、同時に空にかかっていた異様な靄が消えていくのが見えた。

あいつらも、きっとやったんだろう。


「へっくしゅん!」


「ファコラ?あ…お前…服…」


多分本人と同時に、ファコラの今の姿に気付いた。


「きゃあああああ!」


「そんなしめかたあるかよ…」











一応エピローグもあります。


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