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いつのまにかステップが三つになってた

「昔はその二つで良かったんだよ。でもこのご時世、生き残ってるのは強敵だけだ。」

「どういうこと…ですか?」

「なにせ弱い魔物は根こそぎ絶滅しちゃったからね。もうワンステップ必要なんだよ。」


ギルドマスターは、建物の外の広場を指差す。その先には、二人の戦士が戦っていた。


「ああやって、経験値じゃなくて経験を積む。」

「?」

「つまり必然的に、最初の一戦はレベルに見合わない敵と戦う事になる。そう最初の一戦だ。」


ギルドマスターは、目を細めたまま僕に視界を移した。それはとても苦々しい表情をしていた。


「ジャックも、ベイも、ルディも、全員最初の一戦で殺された。この意味分かるか?」

「………」

「スタートラインさえも命懸けさ。この辺りに現れるのは、主にヴァイオレントナイト。人型のモンスターだ。だからああやって、最低でも数日はは此処で修行を積む。それが追加された3ステップ目だ。」


弱い生物は、環境の変化とともに駆逐される…まさか元の世界と同じ生物の摂理が適応されているとは…ゲームではこんな事なかった。


「よし、まあ内に入ってくれるなら大歓迎さ。冒険者が気楽な職だった頃が懐かしいよ。」


ギルドマスターは、古びた羊皮紙の書類を僕にくれた。入会書の様な物だ。

この書類が出来てから、どれだけの時間が経ったのだろうか…本当に冒険者は人手不足みたいだ。

誓約の部分には、依頼の遂行のための道具は自分で用意とか、死亡しても保険は効かないとか、そんな事が書いてあった。


「これって書くのは本名ですか?」

「うーん…まあそうだね。」


何だか恥ずかしくなって、書類にはハンドルネームの上に小さな字で“川瀬 瑠伊”と書いた。


多分僕、今顔真っ赤。

…あれ…?最初の一体…?


「ん?この文字…君の故郷の物かい?」

「ひ!」

「済まない、見たことない字だ。君はどこからどうやって来たんだい?」

「えっと…なんと言うか…事故で飛んだって言うか…事件で飛んだって言うか…」


ギルドマスターは、不思議そうに羊皮紙を棚に収めた。


「さてと、契約の次は…」


ギルドマスターは僕を、受付の裏の階段に案内する。階段は地下に続いているようだ。

そう言えば、さっきはギルド内に沢山居た冒険者が、いつのまにか半分程になっていた。


ゲーム内のこの階段の照明は松明。

此処の照明は光石みたいだけど…くんくん…壁や天井に染み付いた煤の匂い。昔は松明だったみたいだ。

調べれば調べるほど、僕の仮説の信憑性が上がっていく。


二つの踊り場を越えた先に、息を飲む空間が広がっていた。

地下とは思えない程に広い闘技場。端から端まで走り抜けるのに十五分はかかりそうだ。


「本当に此処にこれるなんて…」


天井全面に光石がはめ込まれているため、空間全体が昼間の様な明るさだった。

観戦席には沢山お客さんがいた。きっとさっきの冒険者達だろう。中にはギロマさんも見つけた。寝てるけど。

すると、闘技場内の反対側の扉が開き一人の人間が現れた。初期の甲冑を装備した騎士だった。

ギルドマスターは僕を闘技場に入る様に促す。


「彼は教官で、久し振りの仕事にイライラしてるんだ。能力的に相当な技量を見せないと次には上がれないよ。こっちから下に降りれ…」


じれったくなって、僕は観客席のある階からそのまま下に飛び降りた。


「ふう…」


“あれ”が都合よく出れば良いけど…


「ええい!未熟者よ構えい!」


騎士はスチールランスを構えると、猛スピードで突進して来る。風を切る音が耳を貫く。


「う…!」


反射的に騎士の方に両手をかざす。世界がまた、色を失い静止した。手元の水晶のキーボードだけが、本来の色をしていた。

この状態になるのは容易。問題はそのあと。

騎士は弾丸の様なスピードでこちらに向かい、スロー状態になっても、進んでいる事がはっきり目視できる程だった。


「どうする…」

『ガタ…』


ふと、起こるはずがない物音が聞こえる。客席の方からだ。


「ん?お前、時間圧縮能力か?」


ギロマさんが、客席からゆっくりと、しかし周りと比べれば高速で立ち上がった。



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