ファイブデイズ
「…分かった、それで、どうするの?」
「幸い、この世界の時間は向こうに比べてゆっくり。でも、ゆっくりしている時間も無い。」
ヅェイオは無数のサーバーの並んだ棚を探る。
「そう言えば、佐々木の目的って何なの?」
「佐々木が作りたいのはゲーム。一定の時間を切り取った物じゃなくて、常に変化し続ける次世代のゲーム。…つまり、あの世界そのものをゲームに変えるつもり。」
「えっと、一体どうやって…」
「あいつは自分の能力、“ゲームデザイナー”を使う。」
ヅェイオはあるサーバーを見つけると、自分の腕に付いているデバイスとコードで繋いだ。
「やっほうツァディ、調子はどう?」
「え?貴女、どうしてその回線を使ってるの?」
「細かい話は後。佐々木の様子は?」
「分からない。瑠衣様を仕留めてから直ぐに消えたから。キーボードは私と一緒にまだ虚数空間にあるよ。」
ふと、僕の脳裏に一筋の影が差し込む。
「…何かおかしい、都合が良すぎる。」
その時、無数の装弾音が部屋を包み込んだ。
武装した男たちが、みるみる部屋になだれ込んでくる。
特殊警察…多分、逮捕理由は不法侵入罪ではなさそう。
「瑠衣!手をかざして!」
世界が静止する。
ヅェイオは自由に動ける為、僕を抱えて銃弾の飛ばない場所まで運んでくれた。
「取り敢えず安全な場所に。」
僕をパソコンのあるテーブルの下に隠す。
「よっこらしょ。」
一人の武装した男が、ヅェイオに近づいてくる。
ヅェイオは身を屈めて手で地面を突き、男の持っていた銃を蹴り上げた。
『ガチャ!』
銃は宙に舞い、ヅェイオがそれをキャッチする。
『バンバン!』
数回の威嚇射撃の後、僕を抱えてその実験室から出た。
「ヅェイオ、僕はもう素の世界に帰れないの?」
「そうとも言えない。ただ、向こうの世界の人たち次第。」
ーー スチュウ ーー
「わあああ!」
ルーが…ルーが…!
「そんなあ…あれ?」
確か、死んじゃったら瞳孔は開きっぱなしの筈。おでこの傷も治ってきてるし。
ルー…まだ生きてる…?
スチュウは、急いでルーをあの部屋に運んでった。
お外じゃ寒いからね。
「…どうしよう…」
スチュウはルーほど強くないし、傷の手当てだって…
『ウィイイイン!』
何だかへんな音がする。
次の瞬間、地面から何か出てくる。人の形をした…アイアンゴーレムかな?
『ビュオン!」
その人型の手から、光る剣城が現れる。
アイアンゴーレムなんかじゃない。
『ビュイン!ビュイン!』
狙いはルー?
スチュウはルーを担いで、急いで幻影を練る。
『………』
三本首の大きなモンスターを沢山呼び出す。
部屋は壊れたけど、今はそんな事気にしてる場合じゃない!
スチュウは幻影にまたがって、急いで北に向かった。




