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課金石32個の為の場所

「ここが…遺跡…」


久々に、ゲームと景色の変わっていない場所に来た。

屋根が無くなって、くすんだ石柱だけになった神殿。所々部屋が残っているのもそのままだ。

ここは神聖な、デイリーミッション消化地。


「ルー、どうして目を閉じてるの?」


中心から、右の通路へ。

その突き当たりから左に向いて数十歩、僕は目を開ける。


「あはは、やっぱり全部覚えてる!」

「ルー?」


ゲームなら受付嬢の立っている場所だ。

ここから右の通路を二本行って、この石柱に触れればセーブポイント…


「とも、行かないか。」

「ん?なあにルー。」


観念して、遺跡の左端の部屋に向かう。

比較的新しい扉をこじ開ける。


「わあ!ルー、ここ知ってたの!?」

「まあ、昔ここに通い詰めたからね。」


遺跡調査に駆り出された冒険者たちの宿泊施設。その残り。

遺跡の材質とあまり変わらない石壁に、新し目の扉や、複数のベッド、水の滴っているシャワー等があった。


「ギルドまであともうちょっとだけど、どうする?」

「ルー、スチュウ休みたいな。」


スチュウは元気はつらつだが、外の様子を見てそう言った。

多分、もうすぐ吹雪だ。


「ありがとね。じゃ、スチュウはここ掃除するね。」


僕は外に出て、周りの様子を見てみる。

雪は次第に強くなっていき、空にはアイスドラゴンの姿も確認された。

部屋の周りを、コマンドで召喚した障壁で外から防護する。


「さてと、そろそろ中に入ろうか…」


すると、吹雪の中から人影が現れる。


「ん?あのー!大丈夫ですか?」


だんだん、その人影が放つ異様な雰囲気を感じ取ってきた。

艶のある黒スーツにメガネ、綺麗な七三分けで固められた黒髪。

この人の姿…なんだか、懐かしい。


「やあ、こんにちは。」

「こ…こんにちは…。」


その男は吹雪を物ともせずに近づいてきた。


「あの…貴方は…」

「誰ですか?でしょう。私の名前は佐々木。ずっと貴女を探していましたよ。」


思い出した。

“LELLARAP WORLD”ゲームデザイナー、佐々木 秀。


「あの!色々聞きたい事が…」

『バン!』


銃声が聞こえて、次の瞬間に景色が変わった。

カプセルの様な物の中に、僕は寝かされている。

冷凍されているらしく、身体が動かない。


『アシスタント権限により、川瀬 瑠衣の解凍および第七カプセルの軌道停止を許可しまーす。』


これは、ヅェイオの声?姿は見えないけど。


だんだん身体が温まっていき、しばらくしたらカプセルが開いた。


「ヅェイオ、これはどう言う…」

「佐々木は、私が瑠衣と一緒にいるとは思ってない。不意を打てる。…そうだ、ルー、手。」


僕はおもむろに手をかざしてみる。


「え?」

「やっほ。瑠衣様、なんちって。」


世界が静止して、ヅェイオの姿が現れる。


「流石にコマンドハッカーは使えないけど、私にも権限ってものがある。あ、もう戻して良いよ。」


世界を元に戻すけれど、ヅェイオの姿はそこにあったままだった。


「ねえ、まずは何がどうなってるのか教えてヅェイオ。」

「良いよ。んじゃ…」



ーー ちょっと前までのヅェイオ ーー


「完成…しました。」

「ほう。これが。」


佐々木は白い錠剤を持って、満足そうに笑みを浮かべていた。

私はさっきまでコミケ無双していたけれど、胸騒ぎがしてここに来た。

私は電脳体になって、研究所に侵入した。


「ん?石川、お前は瑠衣の監視じゃないのか?」

「監視だなんて、私にそんな事出来ると思う?」

「…まあ良い。時期に瑠衣には消えて貰う。」

「え?」


佐々木は、白衣の女性にそんな事を話していた。

そして、胸ポケットに拳銃を装備しながら笑いかける。


「え、瑠衣は保護対象じゃ無かったの?」

「私があの世界に行けるようになった以上、あの子はもう用済みだ。心配するな、全てが終われば彼女は目覚めるからね。」

「待…」


女性の制止も聞かず、佐々木は錠剤を飲み込んだ。

佐々木の身体が白く光り、そのまま跡形もなく消えてしまった。

私は、向こうの世界の瑠衣が消される前にそこに戻ろうとしたけど、佐々木は予想以上に仕事を早く済ませてしまった様だ。


『ピピピピ…』


コールドスリープマシンのモードが変わる音がした。

私は、今日一日に使える権限の殆どを使って、瑠衣を起こす事にした。





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