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二人目が7時ちょっと前に出た

「佐々木…スタッフロールで見た事あるかも…」

「すたっふろーる?」

「ああ、すいません。なんでも無いです。その、これくれませんか?」


RAMディスク、一体何の動作をするのか分からないけれど、少なくとも僕は扱えるはず。


「ああ、わしは要らんしな。」


僕がそのディスクに手を触れた瞬間、世界が静止した。


「ツァディ、これ何か分かる?」

「!」


ツァディは机の上のディスクを取ると、すぐにサーバーに挿入した。


『ウィーン…ピピピピピッ!』


何となく懐かしい音がするけれど、他は特に何も起こらなかった。


「えっと、このRAMディスクは何なの?」

「口で説明するのは難しいですね。まあ、その内分かりますよ。」


世界が元に戻り、さっきまであったディスクが無くなっている。


「ほお、手品師だったのか。急に消えたのう。」

「えっと違います。」


すると、老人は窓の外を眺める。


「そろそろ夕暮れじゃ。奴らの活動が鈍っとる今の内に行くんじゃ。」

「あ、はい!ありがとうございます。行くよスチュウ。」


スチュウがむくりと起き上がる。

老人は、花のようにまろやかな声で話す。


「その子は強いが、お前さんほどじゃ無い。しっかり守ってやりなさい。」

「………」


僕達は外に出る。

老人の言う通り、さっきよりモンスターの数は格段に少なくなっていた。

この隙に、僕達は村を抜けた森に入っていった。


あの人は、一体どうしてこんな所に一人で住んでいるんだろうか…


「やっぱりこの時間、本当に静かだね。」

「うん。」


ゲームでは昼と夜は一瞬で変わるけど、ここはちゃんと夕方がある。

夕方は昼のモンスターも夜のモンスターも居ない。


「しっしっ、あっち行け!」


時々飛んで来る刺す虫以外、脅威となるものはあまりなかった。


「ねえルー、その人だあれ?」

「え?」


スチュウの指差す方向に振り向く。


「?」

「右は異常なし。左は異常なーし。ねえ、もう帰っていい?」


僕よりも背丈の高い少女がいつのまにか隣にいた。

世界観とは明らかに符合しない、ツァディより若干露出の多いセーラー服モチーフの服装。ショートボブ程度に整えられた薄青い髪。


「えっと、君は?」


その少女は振り返る。


「初対面だっけ?棚の上に置いてあった私を見つけてくれたじゃん。」

「え?あのROMディスク?」


ふと、その少女の胸部に目が行く。

…途方も無い敗北感を覚えた。


「まあ、あの状態じゃ喋れなかったし、自己紹介でもするよー。」


ふと草むらが揺れる。

少女はそれに気づくと、少女の背から電気を思わせる光を放つ羽が生え、そこから放たれるレーザーが草むらごと焼き払った。


「っと、私の名前はヅェイオ。“化仏“のアシスタントでーす。よろー。」


スチュウは不思議そうに、ヅェイオの姿をまじまじと見つめる。

アシスタントの容姿は、僕からしてみれば身近でも、ここの住人にとっては異様なことくらい理解できた。


「ファイル解凍早々道案内なんて、ツァディもプログラム扱いが悪いねーホント。」


その態度はツァディよりも有機的で、優しそうだった。


「ねえ、どうする?私は帰りたいけど、最高意思は君にあるよ?」

「待って待って。ごめん、ちょっと状況が…」


僕は反射的に手を伸ばし、キーボードを出現させる。


「ツァディ、おーい。」

「ツァディなら居ないよ。一度に”顕現“できるアシスタントは一人まで。でも、意思としてならちゃんとサーバーの中にいるからね。」

「ねえ、そもそもその、化仏ってなんなの?」

「出来れば、そこは聞かないで欲しいな。」


さっきの雰囲気とは変わって、少し暗いトーンでそう語った。





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