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24匹釣れたんだってさ

今日は珍しく土砂降りの雨だった。

殆どの人は家の中に篭り、外に居るのは雨の日にしか出ないモンスターを追う冒険者くらいだ。


「ん?どうしたんですか?ナイベさん、風邪ひきますよ?」

「おいルー、あれが見えるか?」

「?」


ナイベさんの指差す先には、折り畳まれる様に渦巻く黒雲があった。


「テテリペメ、俺たちの故郷を滅ぼしたモンスターだ。」

「テテリペメ?あの雑魚敵?」

「単独ではそうだ。だがあれはおそらく群れだ。こっちには来ないと思うが…」


ナイベさんが、苦々しくその黒雲を睨む。

っと、突然目つきが変わったかと思うと、すぐにギルドの方にかけていった。


「ギロマ!あれ見てくれ!」

「ああ?」


昼寝をしていたギロマさんが、不機嫌そうに起き上がり外に出る。


「なんだただのテテリペ…ああ、そういう事か。」

「ん?どうしたんですか?」

「あの進路で行けば、確実に港町の方にぶつかる。そんなことになれば大災害が起こるぞ。」


すると、山の方からスチュウが飛び降りてくる。


「はい、あの竜巻の中の魚だよ。大漁でさ!」


スチュウが釣れたということは、テテリペメも雲魚の一種なのか。


「ほら、この魚お腹ぱんぱん。きっと卵産む場所に向かってんだよ。」


ギロマさんが神妙な面持ちで語る。


「そうか、アムムトの大移動で元の産卵場所が使えなくなったのか。」


どこか、元の世界の台風に似ている。ただ違うとこがあるとすれば、


「あれ、多分消せます。」


僕はスチュウに向かって話す。


「じゃあ、あの魚とってきてくれる?」

「分かった!行ってくるね!」


次にナイベさん。


「ナイベさんは、防御の脆くなったテテリペメの群れにとどめを刺して下さい。」

「おう、任せとけ。」


僕はパソコンを開く。

静止して白黒の世界で、ツァディの色が妙に映えていた。


「ツァディ、」

「はい、あの竜巻を一つのオブジェクトとして、動作速度を遅延するのが得策かと。」

「良いね。そうかそうすれば対象が一つだ。」


“coW.this object.Operating speed decreases”

コマンドの書き換えは、対象を一つにする必要があった。

無事にコマンドが実行され、竜巻の速度が徐々に落ちていく


「イワシの群れみたい。」


テテリペメを取り巻く黒雲が払われ、その姿が露わになる。

その様子は…さっき言った通り。

テテリペメはかなりゆっくりになっていて、時々山の上の方に釣られていく。


『ドオン!』


ナイベさんの拳の一撃が、群れの中心を叩いた。

テテリペメの群れは一気に散り、先ほどまでの悪天候と一緒に消え去っていった。


「ふう。終わった。」


もしこの作業を全部一人でやったとしたら、時間も労力もこれの三倍は必要だっただろう。


「よっと。」


すぐにスチュウが降り立つ。


「ただーいま!」

「あれ?スチュウ、魚は?」


するとスチュウは、天に向かいバンザイのような姿勢になる。


『ドス!』


その手で、降ってきたテテリペメで一杯の籠をキャッチする。


「いっぱい取れたよ!」

「ありがとうスチュウ。」


数が減った分、使う力もだいぶ削減された。


「そーだ!これ焼いてみんなで食べようよ!」

「え?食べれるの?これ。」

「うん!卵なんてこーきゅー食材だよ!」


なんと思わぬ収穫もあった。



「ここに刃をかけて、こう!」

「…やっぱり何度見ても分からない…」


スチュウに魚の捌き方を教わっていると、ギルドの職員が僕に耳打ちをする。


「ルー様にお客様が来ています。」

「ん?僕に?」


血生臭い手を洗い、待合室…という程の椅子の並んだ場所に座る。


「………!」

「あ!森に居た子!」


背中には体格に不似合いな大きな剣を背負っていた。


「あそ…びに…きちゃっ…た…」

「よく来たね!今魚焼いてる所だよ。」

「ごめ…なさい…わた…し…べじた…りあん…」

「へえ、ここにもいるんだ。」


少女はすごくモジモジとしていた。



ーー 森の少女 ーー


どうしよう…こんなに沢山の人初めて…。

ルーだって久しぶりに見る人間だっていうのに、ああ、変に見られないかな?

もしかしたら、逆に元の家に帰れなくなるかも…


「(プルプル…)」

「大丈夫?あ、ちょっと静かな場所が良い?」

「(コクコク)」


憔悴している私を、ルーはおぶって地下に連れて行ってくれた。


『ガチャ…』


ついたのは、なんだか静かな部屋。


「ここが僕の部屋なんだ。」

「………」


久し振りに落ち着く部屋だ。


「………」


私はルーに寄りかかる。

ただこうしているだけで、なんだか安心する。


「ん?そう言うのが好み?僕みたいな体じゃ不満じゃない?」

「………」

「なんかごめん…ほんとごめん…」


私はいつのまにか眠っていた。

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