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クエストナンバー21が…これ

「確かに女らしくないってよく言われるよ?でもさぁ…」

「すみません…AIアシスタントよりもっといい相談相手がいると思いますが…」


止まった時間の中で、僕はツァディに愚痴をこぼしていた。


「いいよねツァディはさ、スタイル良くてさ。」

「私からしてみれば、外の世界に自由に行き来できる瑠衣様の方が羨ましいですよ。」

「でもでも…」

「圧縮における瑠衣様の消費エネルギーが許容値を超えましたよ。どうします?」

「…むぅ…」


仕方なく、僕の時間を終わらせる。


『ゴン!』


さっきまで静止してたナイベさんに押し潰される。


「むす…」

「うお、ルーか、大丈夫か?」

森の中の教会跡の屋根の上に逃げたモンスターを追ってナイベさんも登ったは良いが、足を滑らせて落ちたらしい。

今は、森の中に巣食っている大蜘蛛の討伐クエストを実行していた。


「死んじゃう…内臓全部潰れて死んじゃう…」

「すまんすまん。」


ギロマさんが、片手で巨体を僕からどかした。


「大丈夫か?ぺったんこだ…って、元からか。」

「一体どこの部分の話ですか!」


ギロマさんが、屋根の上にいたリトルスパイダーを魔法で焼き切った。


「さてと、お前らちょっと下がってろ。親玉が来るぞ。」


木々がなぎ倒され、巨大な蜘蛛とそれに付くように中くらいの大きさの蜘蛛の群れが現れた。


『カチャリ…』


装弾する音が聞こえたかと思うと、ギロマさんの横一列にシルエットのようなものが現れる。

残像…じゃなくて分身?


『ダダダダダダ!』


ギロマさんとその分身…は一斉射撃を始め、蜘蛛の群れを掃討していった。


「まだルーには生きてて欲しいんだからよう、近づいたら容赦しねえぞ。」

「ギロマさん…」

「して!3年か5年くらいして美少女になったルーを拝んでやるんだ!」

「ぎ…ギロマさん…?」


一瞬でも期待した自分がバカだった。

やっぱりギロマさんは、筋金入りのオヤジだった。


蜘蛛の群れが一掃され、ギロマさんの分身も姿を消す。


「クンクン…ん?なんだろう…」


僕は、突然の生臭さを感じた。

それと同時に、後ろの草むらから奇妙な生き物が現れる。


「おお、グリムリーパーじゃねえか。まさか生き残りがいたとはな。」

「グリムリーパー?素材でしか見た事ありませんでした。」


無数の触腕に腐った肉の様な緑色の体、二足歩行で、その目だけは人間の様な…非常にグロテスクな見た目だった。


「あんな姿だが、実際は温厚だ。多分住処を占拠してた蜘蛛が消えて出てきたんだろ。」

「良かった、少しは生態系が正常化しますね。」

「完全には…無理だがな。」


すると、別行動していたファコラさんが素材を手に戻ってくる。


「群れから外れた個体も多いわ。ここはばらけて子グモ捜索に回るべきね。」


ギロマさんが答える。


「よし、喜べお前ら。んじゃピクニックだ。夜更けまでには戻ってこいよ。迷子にゃなるな面倒だ。」


グリムリーパーは有用な素材を提供してくれるし、森の環境も整えてくれる益生物らしい。

戦闘力は殆どないため、徐々にキラースパイダーに住居を追われていったらしい。


「やっほーツァディ。」

「合言葉か何かですか?それ、別に無くっても起動しますよ。」

「いや、なんとなくね。ねえ、ここの座標登録しといてくれる。」

「お安いご用です。」


ツァディの足元の地面に、光るポイントが現れる。


「完了ですよ。これで迷子にならなくて済みますね。」

「ねえ、君やっぱり聞いてるんじゃ…」

「時空圧縮終了します。」


僕の時間が終わると、光るポイントも消えた。

いや、ただ見えなくなっただけで、そこにあるんだけど。


取り敢えず、僕は森の散策を始めた。



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