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如月18日でまた終わった

「驚いた…健康そのものだ。」

「えっと、そろそろ服返して欲しいんですが…」


しかし、安置所で目覚めてから妙に引っかかるものがある。

寝起きの夢…とは全然違う、無性な違和感。


「あの、ゾンビ扱いされても仕方ないですけど、流石に裸はちょっと…」

「ここまで完璧な仮死状態は記録にも確認されていない。今すぐ論文を書かねば。」

「聞いてよ…」


で、その後何日間も色んな検査されて、やっとうちに帰れる日が来た。


『ガチャ』


うわあ…やっぱり埃たまってるな。

テレビをつけてみると、ここを出る時とは殆ど違うニュースばかりだった。


そうだ、LELLARAP WORLDをやんないと。

二ヶ月もノーログインだったんだ。挽回できるかどうか…


「あ…サ終してる…」


少し残念な気持ちになった。仕方ない。次のゲームを探さないと…

すると、LELLARAP WORLDの会社からメールが届いていた。


「ゲームデザイナーが会いたがってる?僕に?」


どうしよう、散々チートし放題だったから怒られるのかなぁ…


僕は東京住まいだったので、自転車ですぐに本社に向かうことができた。

一応、謝罪用のおまんじゅうも買っとく。


『ウィーン』


自動ドアは動いたけど、ビルの中は殆ど無人だった。

最上階に上がるまで、掃除のおじさんとしかすれ違わなかったし。


『コンコン』

「お邪魔します…」


部屋の隅に一本の巨大サーバーがあって、あとはただの理事長室のような場所だった。

一番奥には、スーツ姿で眼鏡をかけた業界人風の男性が座っていた。


「待ってたよ。ゼプトルーインだね。」

「はい。その…本当に!」

「まさか、適正者がチーターだったとはね。」

「え?適正者?一体何の…」


ゲームデザイナーは、僕に反対側の椅子を勧めると、元の席に座った。


「私はね、昔一度だけ、こことは違う世界に行ったことがあるんだよ。」

「は?」

「まあ、普通の人は冗談だって思うね。じゃあ話を進める前に、少し信憑性を上げよう。」


するとゲームデザイナーは、手を机に掲げたかと思うと、…世界が、静止した。


「!」


ゲームデザイナーの手元には、光り輝く魔法陣が現れていた。


「ふう。これで信じるとは言わずとも、嘘を言っているようには聞こえなくなっただろう。」

「…はい。」


ゲームデザイナーが卓上に現れたコーヒーを一口飲むと、世界が動き出した。


「さて、バレノの昏睡が解けてしまう前に済ませないと。」

「えっと、何の…」

「こっちの話だよ。気にしないで。」


ゲームデザイナーは一つ深呼吸をした。


「あれは、私がまだ駆け出しのプログラマだった頃だ…


『馬鹿野郎!デパッカーに頼るなっつったろ!』

『す…すいません!』


私は本当にプログラミングが下手くそでね、いつも怒られてばかりだった。


『ちくしょー!何だよ!バイトのくせしてガミガミガミガミ!』


自暴自棄になった私の不注意が二割、飲酒運転が八割で、その事故が起こったんだ。

すぐに搬送されたが、脳死状態で目覚める見込みはなかったそうだ。何故なら、私はその時はもう異世界転生を果たしていたからね。


あそこは本当にいい場所だった。モンスターが湧き、それを狩る冒険者がいて、みんな何か目標を持っていて。魔法があって、スキルがあって、私は確信したよ。これこそが本当に作りたいものだってね。」


突飛なはずなのに、何故か嘘だとは思えない。そんな話だった。


「で、そのあと貴方はどうしたんですか?」

「自害して、再びこの世界に戻ったよ。そうして、向こうで見た事聞いた事をそのままゲームにした。」


すると、ゲームデザイナーは一枚のメモ用紙に何かを書いて僕に見せた。


「LELLARAP WORLD。この意味分かるかい?」

「えっと、ただのゲームタイトルですよね。」


ゲームデザイナーは、上の部分を逆から書いた。


「“PARALLEL WORLD”」

「う…」


突然、意識が朦朧としてきた。


「そろそろ君は目覚めるんだね。最後に、これを持ってってよ。」


ゲームデザイナーは、机の下から水晶製のモニターを出す。


「これに触っていてよ。」

「………」


僕はそのまま、モニターを抱くように眠りに墜ちた。


……………


「…っは!」

「起きたぞファコラ!」


どうやら僕は、バレノのガスで昏睡状態だったらしい。

ここ二日の記憶がまるで無かった。


「気分どう?ルー。」


ファコラさんが僕の傍に座り、ナイベさんが大声で話す。


「ファコラ、こいつはもう大丈夫そうだし、そろそろ寝たらどうだ?」

「るっさいわね!言われ無くても分かってるわよ!」


帰ってきたって一瞬だけ思ったけれど、すぐにそんな事は忘れた。


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