突然の一月七日
「ええ!?どうして後から入ってきたスチュウの方がお金持ちなんですか!?」
今、ギルドマスターに文句を言っているとこだ。
「本当にすまない。君に紹介できるクエストなんて早々ないからね。」
「どういう事ですか!」
「君に回る前に他の冒険者が受注しちゃうから…あ。」
すると、タンスの中から何やら古そうな紙を取り出した。
「君にはこれを頼みたいんだ。」
「どれどれ?」
クエスト:万夢の花
内容:バレノ一体の討伐
「え…バレノ?」
「この紙を見ただけで、並の冒険者は逃げちゃうんだけど…」
報酬額170万ゴールド…借金をギリギリ返せる。
それにバレノ周回はゲームでは有名な金策だ。僕も討伐カウントをカンストさせるまで狩ったものだ。
「即刻受注します!」
「良かった…もう四年もほったらかしだったからね。このクエスト。」
◇
蔦の生えた城跡。何万回と通い詰めたステージだ。
やっぱり、ゲームとほぼ何も変わっていなかった。
『シュルシュル…シュルシュル…』
一本の蔦が石垣の下に消えていく。と、次の瞬間。
『バコーン!』
石垣を突き破り、一輪の巨大な花が現れた。
何かが腐ったような甘ったるい臭気と、血のように真っ赤な花弁を振り回す。
恐怖も何も感じなかった。ただ、いつも通りの作業が始まる物だとしか思わなかった。
さてと…
「やっほーツァディ。」
「ようこそコマンドハッカーへ。なんてね。」
”coW.kill.baleno”
バレノの茎の中心が巨大な爆破を起こし、その巨大な花はミシミシと倒れていった。
「……」
…なんだか…意識が…そうか、バレノは討伐後に催眠ガスを放つんだった…
図鑑説明文を覚えておけば良かったと思いながら、僕は意識を失った。
………………
『ガン!』
僕は何かに頭をぶつけた。金属質の冷たい物に。
妙に寒いし、狭いし、真っ暗だ。一体何が…
『ギュオン!』
『わわわわわ!」
滑り落ちるように、僕は横になったまま外に出た。
確か…マフィアのアジトでプログラミングしてて…
「何の音だ?」
「どうせまたネズミだろ。」
誰か来る…よく見ると、ここは…死体安置所?
そうか確か殺されて異世界に…ん、異世界?どうしてそんなワードが…
「わあああ!い…生きてる!」
「おかしい…死亡確認から二ヶ月だぞ!」
白衣姿の二人の医者が現れた。
「えっと…ここは…」




