表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/41

右斜め上の廊下の16番目の部屋だったかな

起きてから地上に上がるまで30分もかかってしまった。

やっぱり、この世界からしたら僕は新参者だ。


「で、君も冒険者になりたいの?」

「うん!パパ…よりルーみたいになりたい!お願いギルドマスターさん!」

「いい心意気だね。それに、能力についてはもうファコラから聞いてるから、能力検査はパスだね。」

「やったぁ!」


ギルドマスターは嬉しそうに、真新しい羊皮紙契約書をスチュウに渡す。

スチュウはそれに、子供特有の字で[スチュウ]と書いていた。


「君には、訓練も必要ないだろう。」

「どして?」

「君は既に大量の経験値を貯めこんでいるみたいだからね。」


ギルドマスターとスチュウが、そんな会話をしていた時に、僕の後ろからギロマさんが現れる。


「ちょっといいか?」

「あ…はい。特に用事はありませんよ。」


ギロマさんは、僕を地下の回廊に連れて行く。

指でドアを数えながら、とあるドアにたどり着く。


「ちと、こいつを見てくれないか?」

「はい。」


鍵がかかっていたが腐食していて、ドアノブを回すと勝手に崩れ落ちた。


『ガチャ』

「ゲホ…ゲホ…」


もうずっと誰も入っていないらしい。

部屋にはとてつもない量の埃と、蜘蛛の集合住宅が出来ていた。

と、蜘蛛の巣を払った先に何かがあった。


「これって…」

「何か分かるか?」


ただの長方形の水晶…かと思えば、それは僕にとってとても馴染み深い形をしていた。


「サーバーだ。間違い無いよ。」

「やっぱり知ってたか。いや、お前の使うキーボードとやらと似てたからよ。」

「でも、どうしてここに?そもそも、この空間は何なんです?」


ギロマさんは、部屋にかかる蜘蛛の巣を焼きながら答える。


「ここは、もともと冒険者たちの貸し倉庫だったんだよ。まあ、アイテム保管庫だな。」

「へえ。預けたアイテムがここに…」

「ああ。冒険者が増えれば、それだけスペースも必要になってな、増築を繰り返していって、いつのまにかこんな迷路になっちまったんだ。このドアの数だけ冒険者もいたってわけだ。」

「つまり…」

「こんなに寂れちまった理由は…お前にも分かるな。」


…神妙な心持ちになにながら、僕はその水晶製のサーバーに触れる。


「あれ?」


なんだか自動的に、僕の時間が始まった。

目の前にはキーボード。そこから伸びる銀糸の様なコードが、サーバーに接続される。


『ウィーン…チチチチチ』


起動音と共に、水晶のサーバーに色が戻っていく。


「あ。戻った。」


スローが解除され、時間が普通に動き出した。

ただ一つ、さっきまであったサーバーは消えていた。


「ここは、なんて名前の人の倉庫だったんですか?」

「ああ…それが、倉庫の持ち主の殆どの奴の記録が消えててな、俺にも検討もつかない。ま、どうせそこらの遺跡で拾ったやつだろうけどな。」


僕は手を伸ばし、キーボードを出現させる。

やっぱり、さっきのサーバーも一緒に現れた。一体なんの種類のサーバーだろうか…

ここまで揃うと、モニターも欲しくなってくるけれど…


「バーチャルアシスタントシステム“化仏”起動します。」

「へ?」


サーバーが光を放ち、その後ろに人影が現れる。


「こんにちは。これよりユーザー様をサポートさせていただきます。アシスタントのツァディです。」

「えっと…君は…」


女の子だ。青い瞳に白い肌で、髪は背中のあたりまで下ろした薄い青で、毛先がわずかにピンク色をしている。服装はここの世界観とは合わない近未来的で、なぜか僕を安心させた。


「すごい…3Dキャラゲーに出てきそう…可愛い…」

「ユーザー様のお名前を自動登録します。………川瀬 瑠衣様。これからよろしくお願いします。」


笑顔が可愛いアシスタントが出来た。


「えっと、結婚してくれない?」

「私は雌型ですし、どちらかと言えばボクっ娘よりもあちらの叔父様に惹かれます。」


ギロマさんは壁にもたれかかって、ずっと僕たちの様子を見ていた。


「悪いねお嬢さん。俺は妻帯者だ。」


そう言えば、ギロマさんには時間停止体制が付いている。


「残念です…では瑠衣様、この事象発生型アビリティ“コマンドハッカー”を、いつでもご利用下さいね。」


僕の時間が終わる間際に、ツァディは耳元で囁く。


「出来れば叔父様の前で…なんてですね。ふふ。」


時間が動く。と同時に、ギロマさんが口を開いた。


「俺は、一つの答えが出たんだ。ルー、お前の能力については考えない方が良いってな。なんでかって、俺たちには絶対に理解出来ない自信があるからよ。」

「はあ…」

「それに、ルー自身を知る方がラクだしよ。」


ギロマさんが部屋を出てくのを、僕は慌ててついていった。

迷子になっちゃう。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ