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15分はかかった

「色々大変だったね。ごめんね、ルー。冒険者らしい仕事があんまり無くて。」

「いえいえ、アムムトは天災みたいな物ですよ。それに、楽しかったですし。まあおやすみなさい、ギルドマスター」

「ああ。おやすみ。」


とは言ったけれど、借金が膨れ上がる一方だし、今までのは全部クエストじゃないため、収入も無し。


「ああーまずいー」


何度か所持金変更コマンドは試したけど、効く気配が全く無かった。ゲームでは借金は想定されて無かったからかも。

ギロマさんが勝手に返済期限まで決めちゃったし…


『コンコン』

「ん?」


ノックの音がする。誰かな?


『ガチャ』

「起きてる?」

「今寝ようとしてた。」


ファコラさん?

僕のパジャマ姿を拝みに来るなんて、ギロマさんくらいかと思った。


「どうしたんですか?ファコラさん。寂しくなったんですか?」

「いや、違うけど…」


よく見ると、ファコラさんの背中には小さな影が眠っていた。


「スチュウ?」

「この子の家が壊れちゃってね。まあ、雲魚の燻製とか即席の燻製釜とかくらいしか無かったからね。」


ファコラさんは上がり込んで、スチュウをベッドに寝かせる。


「この子置いとけない?ここに。」

「ええ?」

「この子の家壊れちゃってね、お願いだよ後生だから。」

「ファコラさんの家に置いたら良いんじゃ…」

「あたしに家なんて無いよ!寮生活だよ!」


少し視線をおとして、スチュウの寝顔を見てみる。


「仕方無いですね…」

「うーん!ルーはやっぱり良い人だね!」


子供の寝顔に負けただけだよ。

それに、スチュウもなかなかの訳ありみたいだし。


「じゃ、頼んだよ!おやすみルー。」

「はあ…おやすみなさい。ファコラさん。」


なんだか色々疲れたな。

僕はスチュウを少し横に寄せると、自分も眠りについた。


…今度は何か起こっても寝ててやる。



「ん…くかぁ…」


何も起きなかった。

ここは外の光は入ってこないので、時間になれば光石の照明がつく仕組みになっていた。


「むにゃむにゃ…ん?」


スチュウもむくりと起き上がる。


「ルー…?あれ?ここは…」

「なんか知らないけど、ファコラさんが君をここまで運んできてね。ど?寝てる間に僕に潰されたりしなかった?」

「なんだか、パパを思い出したな。」


スチュウは起き上がって、部屋の外に出る。

その背中には、いつもの釣竿もあった。


さてと、僕も…って、あれ?


なんとなく心配になって、部屋の外を見てみる。

足音は出口とは反対方向の、闇に沈み僕も入らない廊下の奥に続いていた。


「うそ…迷子…?」


僕は急いで、その暗い方に小走りで向かった。

奥に行けば行くほど、地面の埃は分厚くなり、両壁のドアの劣化も進んだものとなっていった。


「分かれ道?」


T字に分岐した場所があり、奇妙な壁画らしき物もあった。

壁画は、巨大な蜘蛛の巣のような模様で、その下の方に小さく赤い点が付いていた。

…地図だ。

おそらく、この空間は街の地下全体に広がっている。故に広大だ。


途方にくれた時に、ふとある事を思い出す。

確か、スチュウの釣竿にマーキングが付いていた筈。解除した覚えもない。


「ここか!」


あれ…地上…?


スチュウの通った道を、僕も辿っていった。

松明の鈍い光だけが頼りではあったが、僕がいつも行く方とは別の階段を見つけた。

すぐさま急ぎ足で登っていくと…議事堂の扉が見えた。


「あれ?ルー?」

「スチュウ。地下の廊下に詳しいんだね。」

「うん。昔、パパと良くここに来たんだ。あと、ルーはお外には出ない方がいいと思うよ。」

「え?どうして?」

「だって、ルーまだパジャマだよ。」

「…あらら本当だ。」


慌てていて気がつかなかった。

素足で石の床を進んだんだ、冷たいわけだ。


「ルー、ここにどのくらい詳しい?」

「お目目つぶっても行きたい場所に行けるくらいかな。」

「…僕の部屋の場所まで連れてってほしいな。」














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