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嘘と霧が1:4で幻影が出来る

別に、街を飛ばしているからといって労役から逃れるような事はなかった。

実際、この三日間はずっと残党狩りと復興作業ばかりだった。


クタクタかも…


「ルー…お前大丈夫か?」

「何がですか?」

「お前の持ってる残骸…家一軒分だぞ…」


多少…本当に多少…物体の重量は変えたかも。でも、


「なら手間が省けますね。」


家一軒分らしい残骸の塊を空き地に降ろし、その上に登る。


「ちょっと離れてて下さい。」


”coW.rewind.here”

木板、何か陶器の破片、ガラス、それがみるみる浮き上がっていき、組み合わさり、再生をはじめる。


『ガン…ガン…カチャカチャカチャン!』


生き物の様な挙動をしながら、それは立ち上がっていき、次第に元の姿を取り戻していった。


「すごーい!武器職人さんみたい!」


この様子を見ていた誰かがそそんな事を言った。

飛来してきた最後の木材が家に組み合わさり、修復された家の屋根の上に座った。


「いや、本当に武器職人と同じ事をやってる。規模も精度もケタ違いだけどな。」

「武器職人?普通専業じゃ無いのか?」


屋根から飛び降りてみるけど、外野がうるさい。

ちょうどこの辺りは大体整理できた。あとは街を地面に戻すだけだ。


「あ、ギルドマスター!」

「やあルー。…君は本当に何でも出来るんだね。」

「…どうでしょう…」


なんとなく不安になってくる。


「僕は…便利屋ですか…?冒険者ですか…?神…ですか…?」

「え?」

「…なんでもありません。それより、そろそろ街を戻してもいいでしょうか。」

「ああ。結界も修復したし、中心部の復旧は後でも出来るからね。」


僕は一つ頷き、街のはずれに向かっていった。


『ヒュウゥゥゥ』


冷えた強風が吹きすさんでいる。眼下にはゆっくりと流れる雲海だけがあった。

僕は地面の端に座り、足を宙に降ろす。


「いくか…」


キーボードを出現させ、この天空都市を本来の場所に戻すことにした。



ーー スチュウ ーー


「いひひ!」


やっとヤオハライの燻製が完成した。これで一週間は持つかな。

突然街が空を飛んで、最初はびっくりしたけど。


『ズン!』

「お?」


空気が変わった。ちょっと外に出てみる。


「あーあ。戻っちゃった。」


元の地面にある街に戻ってた。つまんないの。


『バタン!』

「わ!ドアが!」


お家のドアが倒れた!また直さないと…


『ガシャン!』

「わあ!今度は壁が!こないだ直したばっかりなのに!」


もお…でも、パパが帰ってくるまでちゃんとしてないと。


「ん?君、大丈夫?」

「誰?」


確か…ああ言う服をチャイナドレスって言うんだ。


「家ボロボロじゃないの。ちゃんと建て直してもらったら?」

「(プク)」

「えっと…」

「元からだもん!言わせないでよ!」


ドアを持ち上げて、取り敢えず釘で打っとく。


「ごめんなさい!知らなかったの!あと…壁も壊れてるからあんまり意味ないよ。」

「べーだ!」


壁はすぐに直せない。


「ん?その釣竿、ジャックのじゃないの?」

「パパの。戻ってくるまで預かってるの。」



ーー ファコラ ーー


ジャック、あんた…こんな小さな子残して…


「あたしも、ジャックの事はよく知ってる。」

「ほんと!お姉さんも冒険者?」

「ええ。」

「パパ今何してる?元気?」

「…死んだよ。」


参ったな、子供も嘘も苦手なんだよね。


「え…?」

「あたしも、ジャックに助けられたうちの一人なんだよね。

「嘘だよ…だって、だって、絶対帰ってくるって言ったもん!」

「あいつは!最後まで約束を守ろうとしてた!」

「嘘つき!」


その子の手から、青白い煙が現れる。

あたしは、その力を知ってる。ジャックの幻影術。訓練所のモニュメントの力のオリジナル。


『………』


絶望と夜想の獣…あたしが生まれるよりも前に、伝説の冒険者に倒された以外、誰も敵わないモンスター。


『………』

「もう出てってよ!」


の群れだ。

この子は幻影を操って、幻影にしがみついているんだ。


「君も本当は気づいてるんでしょ。君には、こんな生活似合わないよ。」

「うるさい!」


幻影の獣はさらに増えていく。

それと同時に、その子の頰に汗が垂れる。


『………』


幻影と言っても、質量を持つ以上はそれ相応のエネルギーが必要。

まだ未熟な身体では、当然力にはついていけない。


「はあ…はあ…」


その子は倒れて、幻影は消え去る。


「…君には幸せになって欲しい。ジャックもあたしも。」

「…どう言う事…?」

「ジャックが、ろくな技術もないのになんで冒険者になったか知ってる?」

「………」

「ジャック、かなり貧乏らしくてね。でも、幸せにしたい人が一人だけ居たんだって。」


うつ伏せになって啜り泣くその子の頭に手を当てる。


「今、その人ってのがわかったんだ。」

「うわああああん!」

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