ロケットスタート
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
突然同じ高校の美少女に声をかけられた俺。
ズボンの裾を踏んだことなど無かったに等しいロケットスタートだ。
「この信号渡ったらそのまま真っ直ぐですけど、」
中学時代、女の子とはたまの業務的な会話しかしてこなかった俺にとってこれはウルトララッキーな業務的な会話だ。
貴重な女の子との会話に心がざわめく。
「はぁーよかったー 、私この辺ぐるぐるしてて全然見つからなくて、もう遅刻するんじゃないかと思って焦って焦って」
「制服同じだからこれからナナヒの入学式ですよね? 」
入学式は大半が新入生しか来ないはずだ。
「そうですそうです、助かりましたホントありがとうございます、あー神様だ」
「全然そんなことないですよ、それじゃ…」
突然神になった俺はその場から消える
コミュ障の陰キャではこれ以上女の子との会話に耐えきれない、自転車を漕ぐ速度を上げる
「あの、学校までついて行っていいですかホント申し訳ないんですけど」
「え、全然大丈夫ですよ、ていうかすぐそこですけどね」
「あの、大丈夫ってどっちの意味ですか…?」
『大丈夫』と『すみません』が反射的に出てしまう生き物なんだ、わかってくれ。
「あ、途中まで一緒に行きましょう、後ろついてきてくれれば」
そりゃ美少女と束の間の擬似登校を味わいたいところだが隣並ばれてはたまらない
チャリを置き
一部のリア充は逆に中学の同級生と待ち合わせしてぼっちに保険をかけたり
予備校での友人、部活での対戦
ぼっちの方が勇者なのではないだろうか
ところが俺はまさしく神になっている
隣に美少女を連れて通学している。
「どこ中だったんですか?」
「シラジョです、わかるかな…」
「え?シラジョ?」
“シラジョ” とは白石女子中学、中高一貫の女子校の上にここからも遠い。
俺にしては思わず大きめな声が出た。
「あー珍しいですよね、ていうかシラジョから入学したの私しかいないっぽいし」