水脈を求めて 6
それから数日間ジョージ主導のもと、アランとルーカスと三人で話し合い、秘密裏に村の長とカールとも連絡を取り合いながら、打ち合わせを重ねていった。
今の段階では当然、ルルとヴィリーのことは絶対に秘密である。
人目につくと非情にまずいため、水脈探索は夜更けもしくは夜が明ける前、どちらにしても暗闇の中で行われる事に決まった。
ルルやヴィリーには今回の計画とは別に深夜行動でさらなる危険と負担を強いることになるので、一晩に何箇所も訪れることはせず、1箇所にとどめておいた。
そして、連日連夜連れ回すにわけにもいかない。行動を増やせばそれだけ目立つ。夜とはいえ念のためルルとヴィリーには、常にフードを被ってもらう事になる。
皆で話し合ってきた事を、ルーカスは滞在先の自室でまとめていた。
明日、それをアランと一緒にルルに説明しに行く予定だったので、少しでも不安に思うとことがないだろうか、もしあれば改善してあげたいと、ああでもない、こうでもないと考えを巡らせていた。
すると、ふと部屋の扉をノックする音が聞こえた。
「はい。どうぞ」
「失礼します。ルーカスさん、手紙の収集にきました」
「ハリー、いつもご苦労さま。今回はそっちの机に置いてあるので全部だ」
水路事業のため王都から派遣されてきた者達の報告やら家族宛の手紙は、数も多いためそれぞれ出すのは効率が悪いとのことで、週に1回まとめて郵便に出す事になっていた。
そのため係りの者が決まった曜日に、こうやって集めに来てくれるのだ。ちなみに急ぎの場合は、その都度、早馬を出すことになっている。
「じゃあ、預かって行きま……あぁっ〜」
バサバサッっと音がしたのでそちらに視線を向けると、郵便物が多かったのか数通が床に落ちて散らばってしまっていた。
「す、すいません。大事な手紙を……」
「今回は何かと報告する事があったから、数も多くなって……手伝うよ」
「だ、大丈夫です! ルーカスさんはお仕事続けてください」
そう言われたものの、ここで今回の計画をまとめる作業を続けるわけにはいかず、ルーカスは別の書類をさりげなく広げて、他の仕事をしている振りをしていた。
一方、手紙を落としてしまったハリーは、それどころではなくルーカスの仕草に気づくこともなく手紙を拾い、他に残っていないか床の隅々まで目を配らせると、机の下の奥のにまで入り込んでいるのを見つけた。
(あんなところにまで……)
手を伸ばし引っ張りだす。しかし、少し古い紙を使用しているのか、封筒は少し黄ばんでおり不思議に思っていたが、個人的な手紙かもしれないので余計な詮索をしてはいけないと思い、収集袋に入れて「では、確かにお預かりしていきますね」と声を掛けて、ルーカスの部屋を後にしたのだった。




