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第7話   ピンチ?なにそれ美味しいの?

「まずは一体っと」


「「いやいやいや、まてまてまて!!!」」


俺、逢坂悠斗おうさかゆうとは取り敢えずオーガとやらの首を切り落とし、構えを解いたところで二人の少女達にツッコまれた。


「おかしい、オーガって普通Dランク冒険者三人以上かCランク冒険者が一人で時間をかけて倒す魔物のはずなのに……一撃でなんて……」


「失礼を承知でお伺いします。あなたの名前を教えて下さい」


「ん?俺、逢坂悠斗だよ」


いきなり名前を聞かれたので答えてから、なんでそんなこと聞くのだろうかと考えているとマーレと呼ばれていた栗色の髪の少女は難しい顔をして考え込んでしまう。


「どうだ、マーレ。該当する名前はいたかな?」


「ダメ、思い当たる名前はないわ。……失礼ながらオウサカユウトさん、あなたは何者ですか?」


「悠斗で良いよ。で、俺が何者かって?……ただの通りすがりの冒険者者ですよ?」


「なんで疑問文!?」


いやぁ、だってまさか異世界から来た記憶喪失者~なんて言うわけにもいかないしさ。ねぇ。このままだとしつこく食い下がって来そうなのでなんかユルくなったムードをリセットする。


「まあ取り敢えず、今は戦闘中だ。気ぃ抜くなよっ!」


そう言って俺は、いきなり突撃してきたオーガを斬り捨て、群れの中に向かう。


「君ら、死なないように!援護する方法があるなら援護を頼む。俺は正面突破だ!」


「あ、ちょっ、ユウト!?」


「ユウト様!?」


二人の少女の声が遠くなっていくのを感じながら、俺は群れに向かって正面から突っ込む。この世界に来てからほとんど日は経ってないが、俺はなんか自身が強いことを実感していた。


身体能力などをステータスとして、数字で表すことが出来ないこの世界では自分の強さを感じる術はない。しかし、強いジョブに就いたからか、または地球の人間はこの世界では強くなるのか、そもそも俺が地球にいる時から強かったのか、あるいはその全てか、なんにせよ俺はこの世界かなり強いことは理解した。無論、反則なスキルチートも持っているが……


記憶を無くして異世界に来てから、これ以上無い危機に俺は少しワクワクしていた。別に俺が戦闘狂な訳ではない。ただ、チート過ぎるスキルを得て楽して敵を倒してきた俺は、「本当に異世界だ」と感じるスリルが欲しかったのだ。


口角を吊り上げ、口元に獰猛な笑みを浮かべて俺は走る。スキル<闘気>を纏って体を強化し、<剣製魔法>で両手に一本ずつ片手直剣を生み出し、スキル<魔法剣>で右手の剣に魔法を付与エンチャント、スキル<魔剣>で利き手である左手の剣には特別な力を持つ魔剣を付与する。


さあ、準備は万端だ。踊ろうぜ、モンスターども!!!


「らあああああああ!!」


気合いの声を上げながら目の前のオーガやその他の魔物達を片っ端から斬る、斬る、斬る、斬る、斬る。炎を纏った右手の剣に斬られ、燃えながら息絶えるオーガ。魔剣により黒い魔力を纏った左手の剣に両断されるオーガ。オーク、トレント、ゴブリン、コボルト、etc……、ファンタジーの代名詞ともいえる魔物も現れたが俺はその全てを斬り刻んだ。


一体倒す毎に高揚していく俺の心。自分の中に秘めている眠っていた残虐性が目覚めていく感覚。そして同時に来る自分自身への恐怖。俺はこの感じを知っている、そう感じた。


何体斬っただろうか。かなりの数を殲滅したら、剣が両方とも壊れた。目の前にはオーガが三体。無論、負けるつもりは毛頭無い。


纏っていた<闘気>の魔力を更に高め、勢い良く大地を蹴る。足下が爆ぜ、一瞬で彼我の距離の差が埋まる。その勢いのまま左ストレートをオーガの鼻っ面に見舞う。殴られたオーガは顔面を陥没させ、そのまま倒れる。


残心を解くこと無く、襲ってきたオーガB回し蹴りを見舞い首をへし折る。最後のオーガCには北斗○烈拳ばりの連打を浴びせて倒した。










スキル<索敵>を見るにもう終わり、そう考えた矢先ソイツは現れた。


「コレハ、キサマノシワザカ?」


まるで、絶対零度という言葉を体現している様な底冷えする声を発するソイツのあまりの威圧感に俺は思考を落ち着かせる。


「そうだ。っと言ったらどうする?」


「ドウスルモ、コウスルモ、ナイ。タダ、オレトノ、ケットウ、二、イドンデ、モラウ」


「拒否権は?」


「ナイ」


良く見たら、奴は笑っていた。さっきまでの俺の様な顔だ。俺は……震えていた。怖いのでは無い、武者震いってヤツだ。おそらく、こいつの決闘の目的は強者との闘いだろう。なら、受けて立つ以外の選択肢は無い。


「良いぜ。受けてやる!」

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